169 / 462
神の宿り木
後退
しおりを挟む
アレクの案内を便りに、リムナード山へと向かった。
人が通った事の無いような、荒れた山道を歩き、三日目に、見上げる視界から、茶色く変色したリムナード山の山肌を見る事になった。
「…枯れてるな」
「…一本処では無いぞ!」
「ああ、もう少し近付いてみないと、どれだけの範囲に及んでいるのか分からないな…」
「…急ごう」
六人は無言で足を動かした。
スーサーが、体調の異変を訴え、足を止めた。
「…ごめん…。なんか…気持ち悪い…」
こんな山の中に一人置いていくことも出来ず、少し戻ることにした。
スーサーの体調が落ち着く場所まで戻り、夜営のテントを張った。
「…大丈夫?」
「…少し、落ち着いた…」
スーサーは、ホットスープの入ってカップを手に取り、ため息をつく。
「…足引っ張って…ごめん…」
「大丈夫だって。それより、どんな感じで、気持ち悪かった?」
スーサーは頭を捻らせ、考え込む。
「…身体の中を、掻き回されるみたいな感じ…船酔いするみたいと、言うか…」
「…。」
身体の平衡感覚を失ってしまうような感じだろうか…。
「…身体が重くなって、力が抜けると言うか…」
「…。」
どちらにしろ、スーサーはここまでだ。
「ココに山小屋を転移させよう。もしかしたら、これ以上、進むのは危険かもしれない…」
ヒイロは真剣な眼差しで、リーンを見る。
リーンも頷き、目指していた山の方を見る。
「そうだね。一度、落ち着いた方が良いかもしれない。…アレク。ココからアノ山肌は見える?」
アレクは空に浮かび上がり、木々の上にまで一気に昇る。
「見えるよ」
アレクはそう言って、戻ってくる。
「ダグラス。この近くで山小屋を転移出来そうな場所、探してきて。少し木が邪魔だったら、木霊に話を付けるから…」
「わかった」
ダグラスはそう言って、森の中に入っていく。
「セスは本部に連絡をとって、転移の山小屋の手配を頼む」
「了解です」
そう言って、魔法を操出し始める。
「…スーサーは落ち着いたら、地下水の様子を探って。…これが、当たりかもしれない…」
「…分かりました」
そう言って、スーサーはマグカップを置くと、青い顔をして、夜営のテントに身体を横たえた。
まだ、少し辛いのかもしれない…。
地下水の水量を見れば、状態が分かる…。
スーサーは魚人と獣人の血を引いている。
…水が…体内を巡る水分が、何かに反応しているのかもしれない…。
どちらにしろ、一旦ココで休憩だ。
アレクとリーンは、何か食べれるモノがないかを探しに森の中へ入っていった。
「ねえ、リーン」
「何?」
「僕もココから先には行けないかも…」
「…。」
リーンが足を止めると、アレクも立ち止まった。
「…風をまとっているときは、大丈夫だけど…地上に降りると、力が抜けていく…」
リーンはアレクを見た。
よく見ると、身体全体に小さな風を纏わせて、ほんの少し浮いている。
「風を纏っていれば、大丈夫?」
「長時間はダメ。僕の魔力が持たない…」
アレクが、しょんぼりと項垂れる。
「もう少し、下へ降りようか…。山小屋の位置を下げよう」
リーンとアレクはすぐに夜営のテントまで戻り、ヒイロに事訳を話した。
「…セスは大丈夫なのか?」
「…取りあえずは、大丈夫ですが、通信にノイズが入ります。…これも、その影響でしょうか…」
…そうかもしれない。
未だ、夜営のテントで、スーサーは横たわっている。
「…ダグラスは…森の中に入ったままか…」
「探してくる」
リーンは足早に、ダグラスの後を追った。
「『風霊』ダグラスがどこにいるか、教えて…」
…返答が無い。
いや、ざわざわと風は動いているから、答えてくれているのだろうが、聞き取りにくくなっている。
すると、風が背中を押す。
時間はかかるが、一生懸命、教えてくれようとしている。
リーンは風の案内を頼りに、ダグラスを探した。
ダグラスは大きな身体を抱え、踞っていた。
「ダグラス!!」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
呼吸困難になって、苦しそうに顔を歪めている。
「ダグラス。風を纏えるか?」
ダグラスはゆっくりと目を閉じ、小さな風を纏い始める。
「…少し…楽に…なった…」
そうは言うが、顔色は悪いまま…。
「戻るぞ」
ダグラスは頷いて、立ち上がり、ヒイロ達の元へ戻った。
そこから、さらに山を下り、アレクが地上に降りれる場所まで、後退した。
山小屋の転移は少し後になりそうだ。
皆の回復を待って、場所を探して、これが最後の山小屋になるのかもしれない。
最後を意味する『オメガ』。
ソレがこれから転移する山小屋の名前になるだろう…。
人が通った事の無いような、荒れた山道を歩き、三日目に、見上げる視界から、茶色く変色したリムナード山の山肌を見る事になった。
「…枯れてるな」
「…一本処では無いぞ!」
「ああ、もう少し近付いてみないと、どれだけの範囲に及んでいるのか分からないな…」
「…急ごう」
六人は無言で足を動かした。
スーサーが、体調の異変を訴え、足を止めた。
「…ごめん…。なんか…気持ち悪い…」
こんな山の中に一人置いていくことも出来ず、少し戻ることにした。
スーサーの体調が落ち着く場所まで戻り、夜営のテントを張った。
「…大丈夫?」
「…少し、落ち着いた…」
スーサーは、ホットスープの入ってカップを手に取り、ため息をつく。
「…足引っ張って…ごめん…」
「大丈夫だって。それより、どんな感じで、気持ち悪かった?」
スーサーは頭を捻らせ、考え込む。
「…身体の中を、掻き回されるみたいな感じ…船酔いするみたいと、言うか…」
「…。」
身体の平衡感覚を失ってしまうような感じだろうか…。
「…身体が重くなって、力が抜けると言うか…」
「…。」
どちらにしろ、スーサーはここまでだ。
「ココに山小屋を転移させよう。もしかしたら、これ以上、進むのは危険かもしれない…」
ヒイロは真剣な眼差しで、リーンを見る。
リーンも頷き、目指していた山の方を見る。
「そうだね。一度、落ち着いた方が良いかもしれない。…アレク。ココからアノ山肌は見える?」
アレクは空に浮かび上がり、木々の上にまで一気に昇る。
「見えるよ」
アレクはそう言って、戻ってくる。
「ダグラス。この近くで山小屋を転移出来そうな場所、探してきて。少し木が邪魔だったら、木霊に話を付けるから…」
「わかった」
ダグラスはそう言って、森の中に入っていく。
「セスは本部に連絡をとって、転移の山小屋の手配を頼む」
「了解です」
そう言って、魔法を操出し始める。
「…スーサーは落ち着いたら、地下水の様子を探って。…これが、当たりかもしれない…」
「…分かりました」
そう言って、スーサーはマグカップを置くと、青い顔をして、夜営のテントに身体を横たえた。
まだ、少し辛いのかもしれない…。
地下水の水量を見れば、状態が分かる…。
スーサーは魚人と獣人の血を引いている。
…水が…体内を巡る水分が、何かに反応しているのかもしれない…。
どちらにしろ、一旦ココで休憩だ。
アレクとリーンは、何か食べれるモノがないかを探しに森の中へ入っていった。
「ねえ、リーン」
「何?」
「僕もココから先には行けないかも…」
「…。」
リーンが足を止めると、アレクも立ち止まった。
「…風をまとっているときは、大丈夫だけど…地上に降りると、力が抜けていく…」
リーンはアレクを見た。
よく見ると、身体全体に小さな風を纏わせて、ほんの少し浮いている。
「風を纏っていれば、大丈夫?」
「長時間はダメ。僕の魔力が持たない…」
アレクが、しょんぼりと項垂れる。
「もう少し、下へ降りようか…。山小屋の位置を下げよう」
リーンとアレクはすぐに夜営のテントまで戻り、ヒイロに事訳を話した。
「…セスは大丈夫なのか?」
「…取りあえずは、大丈夫ですが、通信にノイズが入ります。…これも、その影響でしょうか…」
…そうかもしれない。
未だ、夜営のテントで、スーサーは横たわっている。
「…ダグラスは…森の中に入ったままか…」
「探してくる」
リーンは足早に、ダグラスの後を追った。
「『風霊』ダグラスがどこにいるか、教えて…」
…返答が無い。
いや、ざわざわと風は動いているから、答えてくれているのだろうが、聞き取りにくくなっている。
すると、風が背中を押す。
時間はかかるが、一生懸命、教えてくれようとしている。
リーンは風の案内を頼りに、ダグラスを探した。
ダグラスは大きな身体を抱え、踞っていた。
「ダグラス!!」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
呼吸困難になって、苦しそうに顔を歪めている。
「ダグラス。風を纏えるか?」
ダグラスはゆっくりと目を閉じ、小さな風を纏い始める。
「…少し…楽に…なった…」
そうは言うが、顔色は悪いまま…。
「戻るぞ」
ダグラスは頷いて、立ち上がり、ヒイロ達の元へ戻った。
そこから、さらに山を下り、アレクが地上に降りれる場所まで、後退した。
山小屋の転移は少し後になりそうだ。
皆の回復を待って、場所を探して、これが最後の山小屋になるのかもしれない。
最後を意味する『オメガ』。
ソレがこれから転移する山小屋の名前になるだろう…。
0
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
僕に双子の義兄が出来まして
サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。
そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。
ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。
…仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。
え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる