170 / 462
神の宿り木
山小屋『オメガ』
しおりを挟む
リムナード山の山肌が見え、ある程度の平地を確保出来る場所にたどり着くと、セスは魔方陣を大地に写し出し、基盤を整えた。
本来ならダグラスが平地にしてくれるのだが、今の様子では、魔法を使うのが困難だ。
転移魔法を発動させるにも、四人の魔力が必要になる。
リーンとヒイロ、セス、三人では、魔力の消費も激しくなってしまうから、三人のうち、誰かの回復を待つしかなかった。
最初に回復したのは、アレクだった。
風を纏うのに、魔力を使うが、纏っていれさえすれば、身体の影響は無いらしい。
それなら回復しているうちに、転移魔法で山小屋を転移させれば、他のメンバーもゆっくりと休めるだろうと、言うことで、すぐに準備が整えられた。
リーンとヒイロ、セス、アレクが転移魔法を発動させた。
平地に、魔方陣が写し出され、強い光を放ち、いままで何もなかった場所に、突如、山小屋が出現する。
魔方陣の光が収まると、ヒイロはすぐさま、支障が無いか確認を始めた。
山小屋の歪みや破損が無いかを確認し終えると、扉を開けて、ヒイロは小屋の中から杭とハンマーを取り出し、山小屋を固定し始めた。
いつもなら、ダグラスがしてくれるのだが、誰でもやれないことはない。
ただ、腕力が違いすぎるので、少し時間がかかって仕舞うだけだ。
リーンとアレクは、山小屋の中に、スーサーとダグラスを連れていき、ベッドに寝かせる。
重いダグラスは二人がかりで、運んだ。
ぐったりと横たわる二人を寝かせておいて、リーンとアレクは、一緒に運ばれた食料や物資の確認を始め、セスは、山小屋内に取り付けてある通信用の鏡を起動させ、本部へ転移完了の報告と、現在の状況を報告し始めた。
固定の終わったヒイロは、夜営のテントの回収をして、山小屋に戻ってくる。
そして、全員がホッと一息出来たのだ。
山小屋には、いろんなモノの防御魔法が掛けられているので、しばらく休憩して、再度、リムナード山へ向かう予定だ。
リーンとヒイロ、セス、アレクの四人は、ダイニングルームで暖かいコーンスープを飲みなから、現状の整頓をしていた。
「…思ったんだけど、魔力が奪われているのも…」
ふと、アレクがそう言った。
「…魔力酔いか…」
予定無く、急激に魔力を奪われ、身体が付いていかなくなり、体内循環を狂わせて仕舞う現象だ。
訓練などで事前に分かっていれば、奪われる意識が有るので、最小限の魔力で身体のバランスを保つことが出来るのだが…。
「アレクはどれくらいなら、風を纏って進める?」
「…魔力が持つ限り…。でも、帰りの事を思ったら、ある程度、予備の魔力を残しておかないと、動けなくなる」
ふと、アレクはリーンを見る。
「リーンは、大丈夫なの?」
「…無意識に、自動的に、防御の魔法が発動しているみたいで、あまり分からないんだ」
だから、魔力酔いになったことが無い。
症状の出方は個人差があると言う、知識だけはある。
「ヒイロと、セスも?」
「まあ、そうだな」
ヒイロは苦笑いする。
「昔、リーンといろんな魔法の実験をしたから、その名残で、いろんな魔法のモノが、掛けられているんだ」
リーンも思い出して、苦笑いする。
どこまで、魔法を身体に刻み込んで、身体を強化できるか…。
そんなことを一時、二人で実験した事が有る。
…あれは、森の聖域だから出来たことであって、今、そんなことをしようものなら、魔力の枯渇現象が起き、動けなくなってしまう。
「セスは?」
「…俺はアレクと一緒で、風を纏っていれば、防御魔法と一緒の状態になる。…長い年月のうちに、無意識に纏っているから、あまり実感がない」
セスも、かつては各地を回っていた。
今はダグラスに落ち着いて暮らしているだけで、実践経験は豊富だ。
「…実践が有るから…皆、無意識に防御魔法を使っているんだ…」
アレクはため息をつく。
そこは、仕方ない。
「アレクはこれから、経験を積んでいけば良い。…調査隊に加わったことで、同級生よりも、一歩先に出てるよ」
「そうそう、経験を積んでも、実践出来ないヤツもいるから…」
「そうだね…」
四人は見合って、改めて頷く。
「スーサーとダグラスの回復ぐわいを見て、リムナード山へ行くかどうか決めよう」
ヒイロが真剣な眼差しで言うと、セスが、提案をしてきた。
「本部の方から、風を纏って魔力酔いを防げて、体力の有る者を呼び寄せよう。…あまり期待はしていないが…」
「そうだね。…スーサーが回復すれば分かるだろうけれど、地下水が気になる…」
「ああ、アレが影響を及ぼしている可能性は有る」
四人は再び頷く。
「しばらく休憩だ。…リーン、なんか美味しいもの作って…」
ヒイロがそう言って、兄弟に戻り甘えてくる。
リーンはクスッと笑って伝える。
「…チイの手料理が恋しい?…有るよ。焼いたり暖めれば良いように下準備して、食料の中に入ってた」
「何?!」
ヒイロは驚いて、リーンを見てくる。
「本部に連絡が行って、転移までに時間が有ったから、入れてくれたんじゃないかな…」
「…やったぁ!!」
ヒイロは子供のように喜ぶ。
「…それ、俺達も食べれるんですよね…」
「大丈夫だよ。たくさん有るから…」
そう言ってリーンは微笑んだ。
しっかり者のチイは、ヒイロの事をよく分かっている。
ご褒美の嬉しいことが有れば、後は冷静に判断して、良い選択を導いてくれる。
先へ進むために…。
本来ならダグラスが平地にしてくれるのだが、今の様子では、魔法を使うのが困難だ。
転移魔法を発動させるにも、四人の魔力が必要になる。
リーンとヒイロ、セス、三人では、魔力の消費も激しくなってしまうから、三人のうち、誰かの回復を待つしかなかった。
最初に回復したのは、アレクだった。
風を纏うのに、魔力を使うが、纏っていれさえすれば、身体の影響は無いらしい。
それなら回復しているうちに、転移魔法で山小屋を転移させれば、他のメンバーもゆっくりと休めるだろうと、言うことで、すぐに準備が整えられた。
リーンとヒイロ、セス、アレクが転移魔法を発動させた。
平地に、魔方陣が写し出され、強い光を放ち、いままで何もなかった場所に、突如、山小屋が出現する。
魔方陣の光が収まると、ヒイロはすぐさま、支障が無いか確認を始めた。
山小屋の歪みや破損が無いかを確認し終えると、扉を開けて、ヒイロは小屋の中から杭とハンマーを取り出し、山小屋を固定し始めた。
いつもなら、ダグラスがしてくれるのだが、誰でもやれないことはない。
ただ、腕力が違いすぎるので、少し時間がかかって仕舞うだけだ。
リーンとアレクは、山小屋の中に、スーサーとダグラスを連れていき、ベッドに寝かせる。
重いダグラスは二人がかりで、運んだ。
ぐったりと横たわる二人を寝かせておいて、リーンとアレクは、一緒に運ばれた食料や物資の確認を始め、セスは、山小屋内に取り付けてある通信用の鏡を起動させ、本部へ転移完了の報告と、現在の状況を報告し始めた。
固定の終わったヒイロは、夜営のテントの回収をして、山小屋に戻ってくる。
そして、全員がホッと一息出来たのだ。
山小屋には、いろんなモノの防御魔法が掛けられているので、しばらく休憩して、再度、リムナード山へ向かう予定だ。
リーンとヒイロ、セス、アレクの四人は、ダイニングルームで暖かいコーンスープを飲みなから、現状の整頓をしていた。
「…思ったんだけど、魔力が奪われているのも…」
ふと、アレクがそう言った。
「…魔力酔いか…」
予定無く、急激に魔力を奪われ、身体が付いていかなくなり、体内循環を狂わせて仕舞う現象だ。
訓練などで事前に分かっていれば、奪われる意識が有るので、最小限の魔力で身体のバランスを保つことが出来るのだが…。
「アレクはどれくらいなら、風を纏って進める?」
「…魔力が持つ限り…。でも、帰りの事を思ったら、ある程度、予備の魔力を残しておかないと、動けなくなる」
ふと、アレクはリーンを見る。
「リーンは、大丈夫なの?」
「…無意識に、自動的に、防御の魔法が発動しているみたいで、あまり分からないんだ」
だから、魔力酔いになったことが無い。
症状の出方は個人差があると言う、知識だけはある。
「ヒイロと、セスも?」
「まあ、そうだな」
ヒイロは苦笑いする。
「昔、リーンといろんな魔法の実験をしたから、その名残で、いろんな魔法のモノが、掛けられているんだ」
リーンも思い出して、苦笑いする。
どこまで、魔法を身体に刻み込んで、身体を強化できるか…。
そんなことを一時、二人で実験した事が有る。
…あれは、森の聖域だから出来たことであって、今、そんなことをしようものなら、魔力の枯渇現象が起き、動けなくなってしまう。
「セスは?」
「…俺はアレクと一緒で、風を纏っていれば、防御魔法と一緒の状態になる。…長い年月のうちに、無意識に纏っているから、あまり実感がない」
セスも、かつては各地を回っていた。
今はダグラスに落ち着いて暮らしているだけで、実践経験は豊富だ。
「…実践が有るから…皆、無意識に防御魔法を使っているんだ…」
アレクはため息をつく。
そこは、仕方ない。
「アレクはこれから、経験を積んでいけば良い。…調査隊に加わったことで、同級生よりも、一歩先に出てるよ」
「そうそう、経験を積んでも、実践出来ないヤツもいるから…」
「そうだね…」
四人は見合って、改めて頷く。
「スーサーとダグラスの回復ぐわいを見て、リムナード山へ行くかどうか決めよう」
ヒイロが真剣な眼差しで言うと、セスが、提案をしてきた。
「本部の方から、風を纏って魔力酔いを防げて、体力の有る者を呼び寄せよう。…あまり期待はしていないが…」
「そうだね。…スーサーが回復すれば分かるだろうけれど、地下水が気になる…」
「ああ、アレが影響を及ぼしている可能性は有る」
四人は再び頷く。
「しばらく休憩だ。…リーン、なんか美味しいもの作って…」
ヒイロがそう言って、兄弟に戻り甘えてくる。
リーンはクスッと笑って伝える。
「…チイの手料理が恋しい?…有るよ。焼いたり暖めれば良いように下準備して、食料の中に入ってた」
「何?!」
ヒイロは驚いて、リーンを見てくる。
「本部に連絡が行って、転移までに時間が有ったから、入れてくれたんじゃないかな…」
「…やったぁ!!」
ヒイロは子供のように喜ぶ。
「…それ、俺達も食べれるんですよね…」
「大丈夫だよ。たくさん有るから…」
そう言ってリーンは微笑んだ。
しっかり者のチイは、ヒイロの事をよく分かっている。
ご褒美の嬉しいことが有れば、後は冷静に判断して、良い選択を導いてくれる。
先へ進むために…。
0
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
僕に双子の義兄が出来まして
サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。
そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。
ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。
…仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。
え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる