神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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神の宿り木

ヒイロの叫び

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 ヒイロは役所内が一望できる、二階の階段上に向かい、アオがその後を追って付いて来た。
 見守り人として、付いてきたのだろう。
 二階の階段上に来ると、ヒイロは深呼吸して、大声を上げた。
「てめえら!!いい加減にしやがれ!!」
 ヒイロの声が役所内に響き渡り、しーんと静まり返る。
 アオは驚いて、目を見開いている。
 獣人族にカツをいれるには、どうしても、こう言ったやり方になってしまう。
 一階を覗けば、すべての者達がこちらを見ている。
 最初の目的は達成させた。
「自分達で解決できることは自分達で始末を付けろ!」
 ざわざわと一階が騒ぎ出す。
「出来ないから来てるんだろ!」
「何とか出来ないのか?!」
 獣人達は口々に言いたい放題言い出す。
「お前達は、ココで一旗上げたくて、来たのでは無いのか?ただ、ゴネる為に来たのか?!」
「…。」
 彼らは、本来の目的を忘れている。
 新しい町で、新しい生活をするために、ココに来たのではないのか?
「…でもよ…人族が仕切ってるって…頼りなくて…」
「…何で獣人族で、ないのだ…」
 やっぱり、最終的にはそこに来るんだな。
 人族と獣人族と仲良く協力し合って、新しい町を作る、始まりの町にするために、ココに集ったはずなのに…。
「…リオナスのリーダーが人族なのが、気に入らないのか?それが、人族の王族だとしても…」
 ヒイロは怪訝に思った。
 この町に集うものは、知っているはずの事を知らない…。
「それは、人族ではだろう…」
 ぼそぼそと呟く声が聞こえる。
 …知らないのだ。
 やはり、この町を作った目的を…。
 だったら、やはり仕方ない。
「…ならば、森の管理者リーンの、魔力のつがいであってもか?!」
「…。」
「…リーンだと…」
「リーンの番…?!」
 再び、ざわめきが起こり始める。
 やはり、それすら知らない。
 新しく入居する住民には、しっかりとその事を伝える場を作った方が良いのかもしれない。
 特に獣人には…。
「…何でルークが、このリオナスのリーダーに選ばれたのか、後から来た奴らは知らないんだな…」
 ヒイロはため息をついた。
 リオナスが出来た当初から、この町作りを手伝ってくれた者達は皆、知っている事…。
 改めて、言うことになるとは思わなかった。
「ルークは人族のカザンナ王国の第三王子だ。それと同時に、森の管理者リーンの魔力のつがいでもあり、二人の間には二人の子供もいる!それがどう言うことか、獣人なら分かるだろう!」
 そしてヒイロは叫んだ。
「そのつがいのリーンが十日以上、眠ったまま目覚めないんだ!憔悴して仕事にならないくらい、追い込まれているんだ!少しは仕事を減らしてやれ!」
 ヒイロの叫びに、獣人達は硬直して黙ってしまった。
 そしてヒイロは、ため息を付いて静かに言う。
「リーンが眠ったままと言うことが、どう言う事か分かるだろう。森で何かあっても助けてはくれない。自分達で森を守るしかないんだぞ…。小競り合いしている場合じゃない…」
 一階がざわざわとざわめき出す。
「一度家に帰って、頭を冷やしてこい!それでも、解決できないなら、グオルクのヒイロが面倒を見てやる!」
 ヒイロがそう言い放つと、一人二人と、役所を出ていく獣人達の姿が増え始め、最終的には、騒いでいた獣人全てが一度帰って行った。
 ヒイロは大きいため息をついた。
「俺だって調査から帰ってきて、疲れてるんだ。少しはゆっくりとさせてくれ…」
 ボソリと言ったヒイロに、側にいたアオが苦笑いした。
『お疲れさまでした。俺たちでは、なかなか言えない事です』
 アオが紙にそう書いて、ヒイロに見せてくる。
「…お前も結局、休まずココに来ているんだな…」
 声が出なくなって、魔力も戻らず、養生していると思っていたが…。
『じっとしているのは、一日で飽きました。ルーク様も心配ですし、雑用くらいは出来ますから』
 アオはそう書いて微笑んだ。
「無理するなよ…。さてと…」
 ヒイロは執務室に戻りながら、これからの段取りを考えた。
 何とかして、ルークをいつもの状態に戻さないと、こちらにも皺寄しわよせが来てしまう。
 ルークを正気に戻らせることが出来るもの…。
 一番はリーンが目覚めること…。
 その次は…。
 ヒイロは思い付き、アオを見て提案した。
「ジーンとユーリをココに連れてこれないか?」
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