神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
196 / 462
神の宿り木~再生~

ソフィアの引出し

しおりを挟む
 翌日、リーンはカザンナ王国のカザナのルークのお屋敷の小屋にいた。
 グオルクのリーンの部屋から魔法陣で繋がっているので、直ぐにたどり着ける。
 そしてミーネのもとに向かった。

「『宿り木』の苗木が欲しいんだ…。頼めるかな…」
 ミーネは過去の『私』キュイが作った『宿り木』
 そして長い時間のなかで、木霊としての自我を持ち、この地域一帯を守る守護神。
『少し時間をください』
「ありがとう」
 リーンは微笑んでミーネの側を離れた。

 ルークの屋敷に戻ると、緊張した様子で執事が出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。リーン様。お客様がお待ちです」
「お客?」
 誰だろう…。
 執事に部屋を案内され中に入ると、見知った人がいた。
「…サラ?」
「リーン様!」
 彼女は立ち上がり駆け寄ってきた。
 サラはカザンナ王国の第一王子ローレンスのお妃様であり、魔女の森の元魔女でもある女性だ。
 そして彼女が少女の頃、魔女の森で会ったことがある為、見知っているのだ。
「眠ったままだとお聞きしていて…目覚められて良かったです」
「心配をかけてごめんね」
 サラは涙ぐんで微笑んだ。

 取りあえず落ち着いてテーブルに付くと、執事がお茶を持ってきてくれた。
「二人にして頂けますか」
 サラはそう言って執事に退室を申し出ると、頭を下げて部屋を出ていった。
 そしてサラは真剣な眼差しでリーンを見る。
「ソフィア様からの伝言です。『右下の引出しを開けなさい』だそうです」
「…。」
 右下の引出し…。
 リーンはハッとした。
 『物質保管庫』の一番右下…ソフィアが、何かあった時の為に一つだけ使わないように言われていた引き出しの事だ。
 リーンは右手をかざした。
「『物質保管庫』」
 リーンがそう言うと、ドーナツ状態の魔方陣が現れる。
 その中心が引き出しになっていて、いろんなモノを保管しておくのだが…。
 引き出しを引かなくても、そこに何が入っているのかわかった。
 それくらい、魔力に溢れている。
「…伝言されて、直接伝えなくてはと思い、ここまで連れてきてもらいました」
「…ありがとう、サラ。…どうやって会いに行こうかと迷っていたところだ…」
 リーンは『物質保管庫』をしまい、ほっとため息をつく。
 魔女の森に行かなくても、よくなった…。
「これで、子供たちとの約束が守れそうだ」
「子供達との約束?」
 リーンは苦笑いする。
「ユーリが、ピクニックがしたいと言い出して、週末までにリオナスに帰ってくるよう念を押されているんだ」
 キラリとサラの目が光る。
「…あんまり我が儘いわないし、それくらいの約束は守ってあげたくて…」
「それ、私たちも御一緒しても良いかしら?」
「サラ?」
 リーンはキョトンとした。
「…あの子も気晴らしが有った方が良いと思って…。ジーンとユーリが一緒なら、気も緩むだろうし…」
 サラの息子のロバート、ジーンとユーリのいとこの事だ。
「ルナ達も来るよ。…獣人には慣れたかな…」
 ロバートは初めて会った獣人ヒイロに驚いて、物影からじっと見ているばかりだった。
 サラがクスリと笑う。
「ソレはね、恥ずかしかったのよ」
「恥ずかしい?」
「あの子、動物好きでね、ふわふわした耳としっぽに触りたかったみたい。でも、獣人は親しい人にしか触らせないと聞いているから、触りたくてムズムズしていたの…」
「はあ…」
 一応、獣人族については簡単な知識が人族にも伝わっている。
「ソレも、カッコいいヒイロさんに緊張して、あの子の中ではいろんな葛藤があったみたいよ…」
 …それで物影から見ていたのか…。
 羨望と、触りたいけどダメだからと…。
「ちゃんと本人に許可をもらえれば、大丈夫だよ。…ルナなら、触らしてくれるかな…」
 聞いてみないと分からないが、知らない人だと嫌がるかも…。
 ジーンとユーリには触らせているが…。 
「週末、ロバートも行きたいと言ったら、同行しても良いかしら」
「…いいけど、最小限の人数でお願いします」
 リーンはそう言って笑った。
 …大変な事になってきたぞ。
 カザンナ王国の第一王子の、第一子ロバートと、お妃様が来るとなると、警護がいっぱい付いてくるんじゃないのか?
 うちの子達も第三王子の子供達だ。
 それに獣人の町グオルクの跡継ぎヒイロと、チイ、子供のルナとなると、ユーリの思い描いたピクニックとは違ってきてしまうかも知れないな…。
 
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...