神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
355 / 462
世界樹の実

ヒナキ

しおりを挟む
「…特に面白くもないけどね…」
 ヒナキはそう言って、話し出した。


 ヒナキは少年のこの頃、気が付いたとき森の中にいた。
 それが、何処の森なのか、何故ココにいるのかもわからなかった。
 森の中をさ迷い、木の実を拾って食べ、川の水を飲んで飢えをしのいで歩いていた。
 何処へ向かっているのか分からないまま、歩き続けた。
 まともな食事も出来ず、フラフラになり、歩き疲れて、つまずいた木の根元に座り込んでしまい、立ち上がろうとしても、足が言うことをきかず、木に寄りかかり、眠ってしまった。
 ざわめく音に、ヒナキが目を覚ますと、目の前に大きな熊族の男がいた。
 驚いていると目の前に水の入った水筒を差し出された。
 ヒナキは震える手で水筒を持とうとしたが持てず、熊族の男が水を飲ませてくれた。
 そして彼以外にも何人かいて、何やら話をしていて、熊族の男がヒナキの方を向くと、ヒナキを抱え上げ、歩き始めた。
 何処かに一緒に連れていってくれるらしい。
 ヒナキは熊族の男の体温と、心地よく揺れる振動に、再び眠りについた。

 ヒナキが目を覚ますと、木造の小屋に寝かされていた。
 熊族の男が、どろどろのスープを飲ませてくれて、身体が温まり、ホッと少し満たされた気がした。
 そして人心地落ち着き、周りを見ると、熊族の男が五人いて、一人は苦しそうに身体を横たえていた。
 熊族の男が言っているのをまとめると、魔力酔いを起こしているようだ。
 そんなにココは、魔素に溢れているのだろうか?
 ヒナキはそう思いながら、弱ってしまった身体を横たえた。

 二日ほどするとヒナキは自分で歩けるようになり、食事も食べれるようになった。
 魔力酔いを起こしていた熊族の男も、少し落ち着いたのか、フラフラとは歩けるようになっていた。
 ヒナキを助けてくれた熊族の男が、言った。
「魔力酔いを起こしていないのなら、一緒に『森の聖域』に行ってみるかい」
 ヒナキは『森の聖域』とは何か分からなかったが、置いていかれるのは嫌だったので、行くと答えた。
 小屋の外に出て、森の中の脇道を少し歩くと、突然空気が変わった。
 熊族の男はヒナキの様子を見ながらその奥へと進んで行き、森が開けると、大きな木と小屋が見えた。
「うわぁ~」
 ヒナキは見たことの無い、キラキラとしたモノが空を移動しているのが見えて、思わず声に出していた。
「何か見えるのか?」
「…キラキラしたモノが空を泳いでる」
 ヒナキがそう言うと、熊族の男は不思議そうな顔をした。
 見えないのだろうか?
 熊族の男は、しばらく考えてヒナキを呼んだ。
「…おいで」
 ヒナキが熊族の男の後をついていくと、大きな木の隣にある小屋へと向かった。
 そして男が扉を開け、中へ入って行くのをついていくと、部屋の中にベッドが有り、そこに同世代くらいの男の子が眠っていた。
 痩せた黒髪の可愛らしい男の子だった。
「彼はピット様。森に守られた子供だ」
 熊族の男はそう言った。
「ピット様…」
 その声に反応したのか彼が目を覚ました。
 深い緑色の弱々しい瞳がこちらを見る。
「…だれ…」
 茫然としていると、熊族の男がヒナキをつついて催促してきて、自分に聞かれているのだと慌てて答えた。
「…僕は…ヒナキ…」
「ヒナキ…」
 今にも消えてしまいそうな声で呟いて、彼は目を閉じた。
 熊族の男は、ヒナキを連れて小屋の外に出ると、彼の事を教えてくれた。
 彼、『ピット』は魔素の濃さに耐えれなくて、ほとんどベッドの上で過ごしている。
 外に連れていきたくても、森が彼を離してくれないので、連れていけないのだと教えてくれた。
 ヒナキは魔素の濃さに耐えれるみたいなので、ここで彼の世話をしてくれないかと言われた。
 けれど何をしたら良いのか分からないと答えると、これから教えていくからと言われた。
 一緒に来た五人の内、『森の聖域』に入って普通に過ごせるのが、この熊族の男とヒナキ、もう一人だけで、後の三人は小屋へと戻ったらしい。
 ヒナキは、彼らが拾ってくれたから死なずにすんだので、『良いよ』と返事した。
 そしてヒナキの『森の聖域』での生活が始まった。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...