神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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二人の約束 ~ジーンの初恋~(番外編)

祝福の光

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 寒い季節から、暖かい日差しが届くようになり、大地が土色から少しづつ緑に変わり、芽吹きの時期がやって来た。
 タミネキ村では『世界樹』と神殿の御披露目の儀式が始まった。
 カザンナ王国から第三王子ルーク一家と、第二王子レオン、シンラの神殿から神官長候補のシノアスが出席し、神殿から『世界樹』に向かう参道の両脇に並んで見守っていた。
 そこにはタミネキ村の代表者達や、ヤマツカ町の領主の一族、ジェスも同行、狼獣人の代表者達も並んでいた。
 神官長代理のアミュールを先頭に、これから勤めをはたす神官が後ろを歩いていた。
 その中には神官服を着たジーンの姿とルベアの姿が有った。
 神官達が『世界樹』の元にたどり着くと、狼姿のロキが姿を現し、アミュールの後ろにいたジーンが前に出て、両腕を『世界樹』に向けて広げる。
「『世界樹』の木霊ジンフリーク『フリク』。我が声を聞き、姿を現してください」
 ジーンがそう言うと、木霊のフリクが顔を覗かせ、辺りを見回し、ジーンを見つけると嬉しそうに、ジーンの腕の中に飛び込んできた。
「フリク」
 ジーンはフリクを受け止めアミュールや参列者の方を向く。
「『世界樹』のジンフリークと共に、この地を守り、大地の恵みを祈ります」
 ジーンがそう言うと、狼姿のロキがジーンの足下にすり寄り、ジーンが頭を撫でる。
「この地に住む狼獣人達も、我らと共に『世界樹』を守り、共に共存し、平和な大地を築いていく事を誓います」
 ジーンがそう言うと、アミュールを中心とした神官達が、祈りの歌を捧げ始める。
 ジーンは『世界樹』の方を向き、フリクに微笑みかける。
「フリク。僕の命が有る限り、ココに一緒にいるからね」
 すると狼姿のロキがジーンの足に頭を擦り付ける。
「ロキさんも一緒だよ」
 ジーンがそう言うと、フリクは微笑み、背中の透明な羽を震わせ、柔らかな光を放ち出した。
 …祝福の光…。
 参列者の方から感嘆の声が上がる。
 光は小さな光玉になって、参列者の回りをいくつも漂い出し、しばらくすると、その光は消えていった。
 『世界樹』からジーンは認められ、この地を守る神官長となった。
 とは言っても、神官に成り立てのジーンは、神官長代理のアミュールに教えてもらいながら、いずれ、正式な神官長へと成長していくことになる。

 『世界樹』の祝福の儀式が終わると、神殿で宴が始まり、村中でお祭り騒ぎになった。
 新たなる『世界樹』に乾杯!!
 村の発展に乾杯!!
 明日から巡礼の一般公開が始まる。

 
 ジーンは神官の衣装を着たまま、アミュールと一緒に、参列者のもとを挨拶しながら回った。
 そしていずれ神官長となるのが、カザンナ王国の第三王子の子息だと分かると、さらに歓声が上がった。
 この声に答えられるくらい、人々に寄り添い、『世界樹』と聖なる地を守るのだと、ジーンは固く決意した。
 挨拶回りが終わり家族の元に行くと、三つ子の弟妹達が駆け寄ってきて叫んだ。
「「「ジーン兄様カッコいい!!」」」
 三つ子の弟妹達は、目をキラキラさせて、ジーンの姿を見上げる。
 ジーンは照れ臭そうに笑って、弟妹の頭を撫でてあげる。
「ありがとう。ココまで遠かっただろ」
「楽しかった!」
「海がキラキラして綺麗だった!」
「いっぱい、お父様と一緒にいれた!」
 三人がそれぞれに感想を言う。
 お父様は三つ子を連れて馬車でタミネキ村までやって来た。
 本来ならヤマツカ町までは、魔法陣を使って一瞬で来ることが出きるが、馬車での移動をあまりしたことの無い三つ子と旅行気分で来たのだ。
 それも護衛を連れて…。
 正式にカザンナ王国の代表として、参列するのだから、仕方ないのだが…。
 そんなお父様の側にはリーンがいた。
 今日の儀式にあわせて、来てくれたのだ。
 息子の晴れ舞台を見逃す分けにはいかない!と、意気込んで来てくれた。
 双子のユーリはココには来ていない。
 獣人の街グオルクへ向かったからだ。
 正式にグオルクの役所で働くようになり、ヒイロさんの奥さんのチイさんの指導のもと、役所の職員になるそうだ。
 だから、当分ユーリには会えないだろう。
 躊躇ちゅうちょ無く、元気にキリトを追いかけて行った。
 
 ジーンが家族達と食事をしながら話をしていると、背後に狼姿のロキさんがフラりとやって来て、尻尾でジーンの背中をたたく。
 それに気が付いたリーンがそっと声をかけてきた。
「ジーン。行ってきなさい」
 ジーンは頬を染め、家族から離れてロキと共に、神殿の外に出る。
 村の方から賑やかな声が聞こえてきて、お祭り騒ぎだなぁ…と、思いながら、ロキと共に『世界樹』のもとに歩いていくと、ざわめきが小さくなっていく…。
 『世界樹』のもとにまで来ると、フリクが顔を出し、微笑んで出てくる。
「これからよろしくね」
 ジーンがフリクの頭を撫でてあげると、嬉しそうに目を細めていた。
 
 ロキはしびれを切らしたみたいに、ジーンの足に頭を擦り付ける。
「どうしたの?」
 今は狼の姿なので言葉は話せない。
 ロキはしゃがみ、頭で自分の背中を指す。
「もしかして、乗れってこと?」
 狼が頷いたので、フリクに別れを告げて、狼に股がり首もとに掴まる。
「これで良いのかな?」
 ジーンがそう言うと、狼姿のロキは立ち上がり、ジーンを乗せて駆け出した。
 
 
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