20 / 182
森の聖域クルーラ
『コップ』 2
しおりを挟む
アレクさんが『コップ』の入った木の箱を手に持ち、ヒナキさんが、リーンさんが取り出した魔力紙を持ち、再び店を飛び出していった。
「…。」
僕は呆然と二人を見送った。
そして、送り出したリーンさんが苦笑いして、二人が何処に行ったのか教えてくれた。
『コップ』と魔力紙を各館の管理人に配って、館で試し使いをしてもらう為だとか…。
新しい試みは、『クルーラ』全体で共有することによって、いろいろな改善点や新しい発見があるので、楽しいんだそうだ。
えっと…。
確か、今日の昼頃に魔力紙を折って、属性魔力を込めて使えることが分かって…。
まだ、夕方になってないよね…。
さっき、休憩のおやつを食べたところだよね…。
行動力…すごい…。
改めて思うオルガだった。
オルガは、リーンさんに言われて、再び魔力紙の入った箱から、最初に取り出した大きさと同じサイズの魔力紙を取り出すことになった。
まだ、検証段階だから、同じサイズの魔力紙がこれからも必要になるだろうと、言うことだった。
リーンさんが店の奥くから、僕が両手で抱えられるくらいの、フタ付きの、膝丈くらいの木の箱を持ってきてくれた。
オルガは真っ暗な空間に両手を入れて、手の大きさくらいの正方形の紙を思うと、両手で抱えられるくらい紙が姿を表した。
そしてソレを木の箱の中に入れていく…。
オルガは取り出せるだけ、同じ大きさの魔力紙を入れていった。
「もう、魔力紙が出てこなくなったよ」
何度も『これくらいの紙の大きさが欲しい』と、思っても、手の中には現れなくなった。
「今あるのは、ソレで終わりだね」
そう言ってリーンさんが、木の箱を覗く。
「思ったより少なかったな…」
そうなんだ…。
と、言っても、木箱に八分目くらいまで、無造作に魔力紙が入っている。
「これから沢山使うようになるから、専用の箱を作った方が良いかも知れないね」
「専用の箱?」
「そうだよ。いろんな魔力紙が入っている箱みたいにすれば、どれだけでも入るからね」
僕は目の前に有る、中身が真っ暗な空間の箱を見た。
確か空間魔法とか言っていたのだよね…。
「それよりオルガ。日が傾き始めたから、そろそろ帰った方が良いかも」
オルガはハッとして、窓の外を見る。
「本当だ!」
店の中が明るいから、気が付かなかった。
窓から見える外は、建物の影が濃くなり、向かいの店が、ほんのりと赤身を増してきていた。
暗くなる前に『白の館』に帰らないと、まだ慣れない道が分からなくなってしまうからだ。
獣人の人達は夜道でも、よく見えるらしく、村の中には外灯の様なものはほとんど無い。
光の魔道具で道を照らしながら歩くしかないけれど、木々に囲まれた『白の館』へ向かう道を間違えてしまいそうだからだ。
オルガは慌ててソファーの側に置いてある鞄を手に取り、店を出掛けて足を止めた。
そしてリーンさんの方を見る。
「魔力紙を少しもらっていっても良い?」
「良いよ」
リーンさんが微笑んで答えてくれたので、オルガは箱の中から魔力紙を取り出す。
二十枚くらい有れば良いかな…。
もし何か思い出したとき、折ってみるのに少し欲しいと思ったからだ。
オルガが、魔力紙を鞄の中に入れると、リーンさんが言ってきた。
「もし誰かが、魔力紙を欲しいって言ってきても、まだ、あげてはいけないよ。貸し出しをするだけね」
「貸し出し?」
オルガは首を傾げた。
「そう。試してもらって、使った結果や意見を書き留めてもらって、それと交換であげるんだよ」
「さっき言ってた、試し使い…」
リーンさんが微笑む。
「対価だよ。折った魔力紙と交換で、こちらは使ってみた情報をもらう」
「うん。わかった」
いわゆる交換条件になるのだろう。
お互いに欲しいものを手に入れるため、えっと物々交換みたいなモノと、考えれば良いのかな…。
リーンさんは微笑んで言う。
「また、明日ね」
「うん。また明日」
オルガはそう言って、ヒナキの店を出た。
日がゆっくりと沈み、辺り一面を赤く染めていく。
暗くなっちゃう!
オルガは足早に『白の館』へ帰っていった。
「…。」
僕は呆然と二人を見送った。
そして、送り出したリーンさんが苦笑いして、二人が何処に行ったのか教えてくれた。
『コップ』と魔力紙を各館の管理人に配って、館で試し使いをしてもらう為だとか…。
新しい試みは、『クルーラ』全体で共有することによって、いろいろな改善点や新しい発見があるので、楽しいんだそうだ。
えっと…。
確か、今日の昼頃に魔力紙を折って、属性魔力を込めて使えることが分かって…。
まだ、夕方になってないよね…。
さっき、休憩のおやつを食べたところだよね…。
行動力…すごい…。
改めて思うオルガだった。
オルガは、リーンさんに言われて、再び魔力紙の入った箱から、最初に取り出した大きさと同じサイズの魔力紙を取り出すことになった。
まだ、検証段階だから、同じサイズの魔力紙がこれからも必要になるだろうと、言うことだった。
リーンさんが店の奥くから、僕が両手で抱えられるくらいの、フタ付きの、膝丈くらいの木の箱を持ってきてくれた。
オルガは真っ暗な空間に両手を入れて、手の大きさくらいの正方形の紙を思うと、両手で抱えられるくらい紙が姿を表した。
そしてソレを木の箱の中に入れていく…。
オルガは取り出せるだけ、同じ大きさの魔力紙を入れていった。
「もう、魔力紙が出てこなくなったよ」
何度も『これくらいの紙の大きさが欲しい』と、思っても、手の中には現れなくなった。
「今あるのは、ソレで終わりだね」
そう言ってリーンさんが、木の箱を覗く。
「思ったより少なかったな…」
そうなんだ…。
と、言っても、木箱に八分目くらいまで、無造作に魔力紙が入っている。
「これから沢山使うようになるから、専用の箱を作った方が良いかも知れないね」
「専用の箱?」
「そうだよ。いろんな魔力紙が入っている箱みたいにすれば、どれだけでも入るからね」
僕は目の前に有る、中身が真っ暗な空間の箱を見た。
確か空間魔法とか言っていたのだよね…。
「それよりオルガ。日が傾き始めたから、そろそろ帰った方が良いかも」
オルガはハッとして、窓の外を見る。
「本当だ!」
店の中が明るいから、気が付かなかった。
窓から見える外は、建物の影が濃くなり、向かいの店が、ほんのりと赤身を増してきていた。
暗くなる前に『白の館』に帰らないと、まだ慣れない道が分からなくなってしまうからだ。
獣人の人達は夜道でも、よく見えるらしく、村の中には外灯の様なものはほとんど無い。
光の魔道具で道を照らしながら歩くしかないけれど、木々に囲まれた『白の館』へ向かう道を間違えてしまいそうだからだ。
オルガは慌ててソファーの側に置いてある鞄を手に取り、店を出掛けて足を止めた。
そしてリーンさんの方を見る。
「魔力紙を少しもらっていっても良い?」
「良いよ」
リーンさんが微笑んで答えてくれたので、オルガは箱の中から魔力紙を取り出す。
二十枚くらい有れば良いかな…。
もし何か思い出したとき、折ってみるのに少し欲しいと思ったからだ。
オルガが、魔力紙を鞄の中に入れると、リーンさんが言ってきた。
「もし誰かが、魔力紙を欲しいって言ってきても、まだ、あげてはいけないよ。貸し出しをするだけね」
「貸し出し?」
オルガは首を傾げた。
「そう。試してもらって、使った結果や意見を書き留めてもらって、それと交換であげるんだよ」
「さっき言ってた、試し使い…」
リーンさんが微笑む。
「対価だよ。折った魔力紙と交換で、こちらは使ってみた情報をもらう」
「うん。わかった」
いわゆる交換条件になるのだろう。
お互いに欲しいものを手に入れるため、えっと物々交換みたいなモノと、考えれば良いのかな…。
リーンさんは微笑んで言う。
「また、明日ね」
「うん。また明日」
オルガはそう言って、ヒナキの店を出た。
日がゆっくりと沈み、辺り一面を赤く染めていく。
暗くなっちゃう!
オルガは足早に『白の館』へ帰っていった。
46
あなたにおすすめの小説
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。
それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。
「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」
『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。
しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。
家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。
メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。
努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。
『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
※別サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる