眠っていた魔力紙を折紙みたいに折ったら、新しい魔法の使い方が出来たので、役立てます。

ゆう

文字の大きさ
91 / 182
熊族の町ベイエル

アレイの家

しおりを挟む
 オルガの乗った獣馬車は、昼過ぎに、何事も無く、熊族の町にたどり着いた。


 熊族の町は、山間に有る盆地に作られた町で、周囲が山で囲まれていて、町に入る道は三ヶ所。
 一つは『クルーラ』に繋がる整備された道、獣馬車が通れる正門。 
 後の二つは他の村に続く山道。
 正門側から中心地に向けて、町の商店街や市場が広がり、いつも賑わいを見せている。
 オルガの乗る獣馬車が正門を抜け、門前の小さな広場の獣馬車乗り場で停まると、オルガはそこで獣馬車を降りた。
 チラリと獣馬車の方を見ると、シュウベルさんが御者席から、心配そうに、こちらを覗いている。
 僕は微笑んで、声を出さずに「行ってきます」と言った。


 獣馬車乗り場には、僕が来るのを迎えに来てくれたアレイが待っていた。
 アレイは僕より頭一つ分背が高く、アレクさんの子供で、僕と兄弟のように一緒に遊んだり、転げ回って怒られたりするほど仲が良い。
 出会った頃は同じくらいの身長だったのに、アレイの方が背が高くなり、ちょっと悔しかった…。
 アレイは熊族だし、僕は人族だからか、種族の違いの差なので仕方がないと言えば仕方がない…。
 そして、一番、気を許せる友達だ。
 次に獣馬車が来るのは四日後。
 僕は五泊六日、熊族のアレイの家で泊まることになる。

 
 オルガとアレイは、獣馬車乗り場から少し歩き、町中を走ってる馬車乗り場に向かい、獣馬車より少し小さめの、移動用の馬車に乗り換えた。
 アレイの家は中心地から少し離れていて、どちらかと言えば山側に有る。
 二人を乗せた馬車は、正門から町の山側を走り、農地を横切って大きな川を渡る。
 川の横道から町の外に向かえば、犬族の村へ向かう道が見えてきて、その横道を横切って、橋を渡り、果樹園を抜ければアレイが住む住宅地だ。
 『クルーラ』にいるアレクさんは、熊族の族長の縁戚に当たり、一族の分家として、兄弟が果樹園側の管理を任されていると言っていた。
 それと、犬族側の道を守る門番も兼ねていると…。
 なので、犬族の村に向かう街道の近くに屋敷が有る。
 アレクさんの兄弟が何人もいるなかで、アレクさんだけが魔素に耐えきり、『クルーラ』で暮らすことが出来るのだとか…。
 アレイは、アレクさんの兄弟の子供達と一緒に、大きな屋敷の敷地内で暮らしていた。
 敷地内には大きなお屋敷が有り、ソコからそれぞれ渡り廊下を渡ると家が有り、普段はそこで家族と暮らしている。

 屋敷に住んでいるのは、アレクさんの兄弟、長男のアラカさんと次男のアリキさん。
 アレクさんは三男だ。  
 そして、長男アラカさんの奥さん、熊族のラスエルさんとその子供達、五歳になったばかりの双子のライカとライク。
 ライカは獣人の中でも少数の女性体だ。
 なので皆、甘やかししてまう…。
 僕もだけれど…。

 次男、アリキさんの子供達、リキヤとリシト。
 二人は僕たちよりも少し年上なので、剣の練習をしてもらっている。
 『クルーラ』では、大人ばかりなので、あまり打ち合いなどの稽古をしていない…。
 どちらかと言えば、剣の稽古は苦手だけれど…。

 アレクさんの奥さん、人族のレイラさんと、アレイ。
 レイラさんは身体が弱く、あまり外には出ない。
 と、言うか、熊族に比べたら…だと思うけれど。
 普通に食事をして、掃除をして、洗濯をして…。
 家の事をしたり、ラスエルさんの補佐をしている姿はよく見ていた。
 まあ…僕と一緒で体力は無いけれどね…。

 後は、さすがに屋敷が広いし多人数なので、掃除とか食事をしてくれる屋敷の使用人が何人かいる。
 中心の屋敷で食事をしたり、状況報告など、果樹園に関する事をしているが、夜、眠るときは各家に帰る。
 オルガはアレイの家に泊まる予定だ。
 
「こんにちわ」
 屋敷の門を潜り、お屋敷の玄関からオルガが声をかけると、アレイは「ただいま」と、靴を脱いで屋敷に上がる。
「いらっしゃい」
 そう言って出迎えてくれたのは、熊族のラスエルさん。
 この屋敷を切り盛りしている人だ。
 オルガは靴を脱いで屋敷に上がる。
 知った家なので、いつもの広間に行き、今後の予定を決めることになった。

 この後、今日は市場の方に行って、ぶらりと買い物。
 新しい本が出ていたら欲しいんだよね…。
 明日は、果樹園の手伝い。
 アレイ達も一緒に収穫の手伝いだ。
 次の日と、次の次の日は学校。
 午前中は授業が有り、午後からは帰って家の手伝いや、そのまま学校で、習いたいことを教わる自由課題だ。
 五日目はアレイとの約束の釣りに行く。
 熊族の町から、少し犬族の村に向かった所に、大きな湖が有って、暑い季節に、水浴びに行った場所だ。
 そして六日目の朝、獣馬車が『クルーラ』に帰るので、それに乗って帰る…。
 シュウベルさんのお迎え付きだけど…。

 短い時間だけど、めいいっぱい楽しもう!
 
 

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

処理中です...