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1章 一学期。
22.葉月さん
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(海斗side)
「は、葉月…さん?」
「え、と……海斗様?」
2年前、俺がこの学校に転校してすぐに行方不明になった人。
その人が今、目の前にいます……
「ひ、久しぶり…ですね?」
何故か敬語。
「は、はい、久しぶりです………」
葉月さんは引きつった笑みを浮かべて、下を向いていた。
どうして居場所がバレたのか分からない、という顔だ。
そして、すぐに。
「申し訳ございませんでした!!」
と叫んだ。
「え………何が?」
「執事などという分際で、勝手にご主人様に何も告げず姿をくらますなんて真似…っ」
要するに勝手にいなくなったことを謝ってるんですね。
「き、気にしてないですよ………でも、どうして急に……」
あんなに優しくて素直だった葉月さんが俺の元から去るなんておかしい。
その理由を、知りたかった。
「それは……」
なかなか言おうとしない葉月さんを見て、少し考えてみた。
「…俺の通っている学校に、何か葉月さんを困らせるような問題がありましたか?」
自分なりの憶測だけど、昔いじめられてた同級生が先生になってたとか、
生徒の中に会うのを禁止されている離婚した妻の子供がいるとか、
そんな、ちょっとずば抜けた発想が浮かんだ。
「……海斗、葉月さん困ってるし、また今度でもいいんじゃない?」
郁人がそう言った。
葉月さんを見ると、確かに少し頭を痛そうに抱えている。
「大丈夫…?」
「だ、大丈夫です!ここから逃げる気はありません、なので、また今度…来てくださいますか…?」
信用出来ないけど、するしかない。
「わかり、ました……」
大人しく帰ることにした。
ーーー
(澪side)
「へー、ほんとにいるんだね。執事って。」
「まぁそりゃいるだろうけど……」
とりあえず、熱が下がってきて座れるくらいにはなった。
ただ海斗の話を聞いてるのも暇だったから部屋にあったぬいぐるみの頬をつねったりして遊んでいる状態。
「推しが今日も可愛い……」
「僕思ったんだけど、優馬って澪のことなんだと思ってんの……?」
「え?推しと天使と嫁。」
「1つに統一しなよ……まぁその中だったら僕は推しがいいかなぁ………」
「俺の話を聞いてくれますか……」
「「あ、はい」」
ついつい話が脱線してしまう。
「俺……中学で色々あったから疲れてたけど、葉月さんはそんな俺のこと、慰めてくれて…本当に嬉しかったんだ、でも、急にいなくなるから………」
「海斗、慰めるって表現なんか駄目だよ。」
「……は?」
「だって、慰めるってつまり………「あ、何となく分かったから、もういいです。」」
そんな感じで、なかなか話は進まない。
「ふにゃー」
「えっ、推しが可愛い!てかなんの鳴き真似?」
「うさぎって、鳴くのかなーって………」
持っていたのがうさぎのぬいぐるみだった。
「うさぎに声帯はないんだよ、澪。」
「なるほど。」
「でもたまに威嚇する時とか、ふにゃーーっ、て、言うよね~」
「いや、言わないと思う……てか、また話逸れてるから!!」
「……まぁさ、葉月さんにもきっと何か事情があるんだよ。」
「………でも、さ、俺は葉月さんにまた…!」
「我儘だよ。」
「………でも」
「っ…」
その時だった。
「………澪?」
「…ぅ」
突然の事だった。
「ま、ただ……」
手足が、痺れる。
耐えられないくらいに………
「もしかして、座ってたから足痺れた?大丈夫?」
優馬の気使いすら、痺れが酷くて消えない。
「ち、が……」
呼吸も苦しくなる。
なんで………?
「たす、けて………」
「は、葉月…さん?」
「え、と……海斗様?」
2年前、俺がこの学校に転校してすぐに行方不明になった人。
その人が今、目の前にいます……
「ひ、久しぶり…ですね?」
何故か敬語。
「は、はい、久しぶりです………」
葉月さんは引きつった笑みを浮かべて、下を向いていた。
どうして居場所がバレたのか分からない、という顔だ。
そして、すぐに。
「申し訳ございませんでした!!」
と叫んだ。
「え………何が?」
「執事などという分際で、勝手にご主人様に何も告げず姿をくらますなんて真似…っ」
要するに勝手にいなくなったことを謝ってるんですね。
「き、気にしてないですよ………でも、どうして急に……」
あんなに優しくて素直だった葉月さんが俺の元から去るなんておかしい。
その理由を、知りたかった。
「それは……」
なかなか言おうとしない葉月さんを見て、少し考えてみた。
「…俺の通っている学校に、何か葉月さんを困らせるような問題がありましたか?」
自分なりの憶測だけど、昔いじめられてた同級生が先生になってたとか、
生徒の中に会うのを禁止されている離婚した妻の子供がいるとか、
そんな、ちょっとずば抜けた発想が浮かんだ。
「……海斗、葉月さん困ってるし、また今度でもいいんじゃない?」
郁人がそう言った。
葉月さんを見ると、確かに少し頭を痛そうに抱えている。
「大丈夫…?」
「だ、大丈夫です!ここから逃げる気はありません、なので、また今度…来てくださいますか…?」
信用出来ないけど、するしかない。
「わかり、ました……」
大人しく帰ることにした。
ーーー
(澪side)
「へー、ほんとにいるんだね。執事って。」
「まぁそりゃいるだろうけど……」
とりあえず、熱が下がってきて座れるくらいにはなった。
ただ海斗の話を聞いてるのも暇だったから部屋にあったぬいぐるみの頬をつねったりして遊んでいる状態。
「推しが今日も可愛い……」
「僕思ったんだけど、優馬って澪のことなんだと思ってんの……?」
「え?推しと天使と嫁。」
「1つに統一しなよ……まぁその中だったら僕は推しがいいかなぁ………」
「俺の話を聞いてくれますか……」
「「あ、はい」」
ついつい話が脱線してしまう。
「俺……中学で色々あったから疲れてたけど、葉月さんはそんな俺のこと、慰めてくれて…本当に嬉しかったんだ、でも、急にいなくなるから………」
「海斗、慰めるって表現なんか駄目だよ。」
「……は?」
「だって、慰めるってつまり………「あ、何となく分かったから、もういいです。」」
そんな感じで、なかなか話は進まない。
「ふにゃー」
「えっ、推しが可愛い!てかなんの鳴き真似?」
「うさぎって、鳴くのかなーって………」
持っていたのがうさぎのぬいぐるみだった。
「うさぎに声帯はないんだよ、澪。」
「なるほど。」
「でもたまに威嚇する時とか、ふにゃーーっ、て、言うよね~」
「いや、言わないと思う……てか、また話逸れてるから!!」
「……まぁさ、葉月さんにもきっと何か事情があるんだよ。」
「………でも、さ、俺は葉月さんにまた…!」
「我儘だよ。」
「………でも」
「っ…」
その時だった。
「………澪?」
「…ぅ」
突然の事だった。
「ま、ただ……」
手足が、痺れる。
耐えられないくらいに………
「もしかして、座ってたから足痺れた?大丈夫?」
優馬の気使いすら、痺れが酷くて消えない。
「ち、が……」
呼吸も苦しくなる。
なんで………?
「たす、けて………」
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