ゆうみお

あまみや。旧

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1章 一学期。

38.ド変態教師

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(優馬side)

目が覚めると、天井が見えた。
ベッドで寝ていたことに気付き、ここが保健室だということに気付くのも遅くはなかった。

「……あ、そっか……俺、郁人に運ばれてる間に寝てたん、だっけ………」

保健室の中は静かで、自分1人しかいない……?ことに気が付いた。


(1人、か。) 

あんまり、  1人は好きじゃない。

(教室に戻りたい……授業受けたい、澪と話したい………)




熱のせいか、いつも以上に素直に言葉が出てくる。





その時だった。






「あっ、目が覚めた?優馬君。」
「えっ」


カーテンがいきなり開いて、保健室の先生が出てきた。


「………あ、の、えと……」
「熱があるから起き上がらないで、横になってた方が楽だと思うから。」

上半身を起こそうとすると、先生に止められた。


「は、はい……あ、でも俺、もう大丈夫です、授業行ってもいいですか?」

先生がため息をついた。
「駄目に決まってる、まだ顔赤いぞ。」
「そ、そんな事ないです!!……っ」


少しだけ、目眩がした。
頭痛もして頭を抑える。

「ほら、大人しく休みなさい。」


「い、嫌です……「休め」…ッ」

「お友達たち、HR終わったら来るらしいからとりあえず落ち着いて寝てろ、…っと、その前に、診察、だな?」









………えっ?






しん、さつ…………?







「ひぅッ…!」
「熱はまだあるみたいだな。」

急に額を触られて、びくんと体が跳ねておかしな声が出た。

(最悪だ……)







「……なあ、上、脱いだ方がいいんじゃないか?」

「へ……あ、はい、そうします……」


とりあえずボタンはいつも外しているブレザーを脱いだ。

(シャツだけになるの、衣替え以来だな。)





………そういえば。





去年の夏の衣替えの季節に、澪がシャツの上にも長袖のカーディガンを着ていて怒られたことがある。
澪が冷え性だからって珍しく反抗して職員室に連れていかれた後、「なんとか許可得た…」ってまだカーディガンを着てた。

なんとなく触れずにいたけど、なんでそんなにカーディガンを着たがるんだろう……


あんまり肌を見せたくないとかかな……?




「ネクタイも外した方がいいんじゃないか?苦しいだろ。」
「あ…はい。」
確かに、少し苦しい。
汗もすごいし……

「ついでにボタンも2、3個外しとけ。」
「はい………?」


熱でくらくらだったこともあって、言われたらなんでもしてしまう。


(にしても、汗やば……)


「はぁ、は…あ、っ…げほ」
「咳も出てきたか…、大丈夫か?」

先生冷たい手がまた触れる。


「…?」



何故か………鎖骨に。





「せんせい………?」
「吐息熱いぞ、大丈夫か。」

いや、そういう事言ってる場合じゃなくてさ……



「もういっそボタン全部外した方がいいと思う、外してやる。」
「……へ?はっ、ちょ…やめ」





ーーー
(郁人side)



『優馬、大丈夫かな……』
『きっと大丈夫だよ、にしてもHRながすぎ……』


今日はいつもよりも何故かHRが長くて、澪と隠れてLimeをしながら時間を潰していた。



『保健の先生もいるしきっと大丈夫だよね…』



その時、澪からの返信がたまたま目に入った隣の席の男子が驚いた顔をした。

そして、こっそりと耳打ちしてきた。


「早苗、まさか保健室行ったのかよ…?」

少し焦っているようにも見え、「う、うん、どうしたの?」と小声で返すと、その男子の顔色が青ざめていった。




「……ば、馬鹿、お前知らないのかよ…?!この学校の保健の先生は……ッ」




「……!!」






「これで、HRを終わります。」
先生のその声と同時に、澪を連れて急いで保健室へ向かった。




「い、郁人……!?どうしたの!?」
「説明は後!やばい……急がないと、優馬が………」




廊下で話す生徒達を上手く避けて、焦る澪の手首をしっかり握りながら走った。







ーーー


「失礼します…ッ!!」

勢いよくドアを開けた。



「……ッ!」



遅かった……………



ベッドの上でシャツのボタンを外そうと顔を近づける先生と、熱のせいで抵抗しきれていない優馬。
既にブレザーはベッドの下に落ちていた。


しかも、優馬が熱で色々と……やばい。


息が荒いし、涙目だし、汗が首をつたうのが……なんというか、






(エロい………)





  


「……………ぁ……」
「っ澪、見ちゃ駄目!!」

隣で唖然とする澪の目を隠した。





「遅かったな、お前達。」
「な、何してるんですか!生徒に手出すなんて犯罪ですよ!?」




やっぱり、あの男子の言ったことは本当だったんだ………




(この先生は、イケメンフェチの超ド変態……!!!)






とりあえず、このままじゃ優馬が……


かと言って、澪の目を抑えていたらろくに動けない。


(どうしたら………)






そう思っていた矢先。


先生がこちらへ来た。



(…っ!まずい、澪までこいつの犠牲に……!!)



自分より背の高いヤツに何故か怖くて足が動かず、澪を抱きしめて固まっていた。




(僕が、守らないと……!!)








しかし、





「……可愛いな、お前。」
「………はぁ?」






先生と目が合ったのは、澪じゃなくて………僕。





「可愛い系イケメンもいいな……目が細くて色気もあって、男子高校生とは思えないエロ…「それ以上はアウトだから!!?」」





え……澪じゃ、ないの?


唖然としていると、先生は


 
「あぁ、ちなみにその黒髪は俺のタイプじゃない、身長が小さすぎるし、かっこよくもない、女子みたいな男はどちらかと言えば嫌いの部類に入る。」



ええぇ………


希少価値だな、この人……



「って、澪をそんな言い方しないでください!可愛いは正義です!!」


「はは、まあそれより……お前が俺の相手をしてくれるというのか?」
「は……?ちょ、やめ……っ、やめろ…!」



すると先生は、体をゾクゾクと震わせて息を荒くした。


「はぁ、はぁ…っ、その低音ボイスで攻められるのは、かなり性癖に刺さるぞ…ッ!!」



「………………っ、うわぁぁぁぁっ!!!」




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