ゆうみお

あまみや。旧

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2章 夏休み。

91.トラウマ

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(海斗side)


郁人と澪の声で、目が覚めた。


(………………)




ふと2人に気付かれないように横目で見て、それからまたすぐに視線を戻す。



(小声で話してくれるのはいいけど…………俺、逆に小声の方が起きやすいんだよな……)



小声……ささやき声の、なんか……こそばゆい感じ。


あれが気になって目が覚める。




反対側の隣にはいつもは未来斗なのに優馬がいて、幸せそうに爆睡している。



「ふひ……澪、だめだって……むにゃ、…そのゆで卵燻製………」






……………どんな夢だよ……………






その次に優馬の後ろ…未来斗の方から、





「澪!!澪は燻製卵を食べたらお腹壊すから別のにしなさい!!」






この2人、同じ夢でも見てんのかよ………






「なんで僕の事ばっか………」
「燻製って美味しーよね」





2人の寝言の声の大きさに、郁人と澪も気付いて呆れていた。




 

「……………ん………」



しばらくして、優馬が目が覚めたのかぼーっとした表情で俺を見ていた。



「……?」






不思議に思っていると、優馬がふにゃ、と笑って……………






「おはよ……澪、朝から可愛い………っ」



「っ……!!」ゾワァ






どうやら澪と勘違いしたらしい。



抱きしめられた、息の根止められるくらいの強さで。






「ぐ………ぎッ……………」
「ゆ…優馬!!何してんの!!」



澪が慌てて止めに入ろうと布団から出て、ぐいぐいと俺と寝ぼける優馬を離そうとしてくれた。



「んーー…ふひ………かわいい………」




駄目だ効いてない……………





「ッ!足をいれるな!!殴るぞこの童貞………!!」





俺も必死で抵抗したけど………首に絡められた腕、同様で足も動かなくて……………







「やめろ……この変態…ッ!!」






郁人が殴って止めた。







ーーー




「え……?なんで俺縛られとるん……??」
「変態だから」



その後の優馬は郁人が持ってた手錠をつけられて、部屋の隅に正座させられていた。



「たく……さっきみたいなこと、俺の兄さんの前で絶対すんなよ?」
「なんでーー?お兄さんブラコンなのーー??ウケるーーっ」





腹蹴られた。






「ん……おはよ~、みんなぁ………って、何この状況」


未来斗は目覚めてすぐ優馬が拘束されてるのを見て唖然としてた。




「さて、朝ごはん食べに行こっか、4人で!」
「え、ちょっとま……」






ばたん。







ーーー



(優馬side)



「うわあいつらまじで置いていきやがった………」



数分しても戻ってくる様子はない。




(暇だし………こいつらの鞄でもあさるか)




手錠は普通に鍵がかかってなかったから外れた。

でも………このチャンス、逃すわけにいかないしな……?





「この際………あいつらの黒歴史になりそうな持ち物見つけて脅しに使ってやる!!!」










………





……………







……………10分後





「なんか………飽きた」




未来斗と海斗の持ち物を漁っていたけど、予想以上につまらなかった。


もう1回だけ見てみようと、死んだ目でぐだぐだ荷物を漁り始める。



「はいはい未来斗はBLですねーっと、何冊持ってきてんだよ………」



リュックの中がBLまみれ。
読んでみたけどよく分からなかった。




「海斗は………うっわふつー……やっぱあいつつまんねえな」




旅行用のアニメティグッズ、着替え、暑さ対策の持ち歩きの小型扇風機と、よく分かんない殺菌スプレー………



(あ、去年新型ウイルスが流行ったから持ってきたんかな)




ま、なんでもいっか





「………ん?何この袋」



クズだからなんの躊躇もなく着替えを漁っていると………奥に、なにか布でできた巾着袋みたいなものがあった。



中には、






「………あー、なんだ……ティッシュとかハンカチとかね……………しっかりしてんな、あいつ………」






そう思っていると、ハンカチの裏に何かがつけられていることに気が付いた。







「……………」





え、これって……………







「盗聴K………ぐふッッ」




言葉にした途端、ハンカチから電流みたいなものが流れてきた。




「!!?なに!?え"ぇ!!?」




急いでハンカチを投げて、2歩引きずり下がる。





「………えっと……今のは一体………誰がしかけて……………」






本人がやったわけないのは分かるし、だとすると……………







『たく……さっきみたいなこと、俺の兄さんの前で絶対すんなよ?』
『なんでーー?お兄さんブラコンなのーー??ウケるーーっ』






……………





………………









「さて……



今度は郁人の漁るかっ!」









深く考えるな俺ーーー☆






ーーー





「ふむふむ………おー!流石郁人!見渡す限り拘束器具!」




これは……もう見ちゃ駄目なやつだなっ☆







「まあでも着替えくらい漁らせてもらっても………って俺は変態じゃない変態じゃない……」ブツブツ






どんな下着履いてるか見るだけだよ……!!






世間ではそれを変態っていうらしいです。








………………







「んーー、、そっかそっか……なるほどね~」



まあ、こういうところは男子高校生なんだなって感じ。





「さてっ、じゃあ最後は澪!」




ーーー





「わー、カーディガン多っ………1泊2日でこんな必要ないだろ…………」




5着ぐらいある………………




「あとは……メロンパンと、あと色々…………」




あ、下着発見。




「まあ澪は健全なの履いてるよなー、なんかそういうところは面白みないし…………」



俺は公認のクズなので好きな子のことも余裕でディスります☆




「よいしょと、」






手に取って、たたんであったから確認しようと広げた………………









その、時











「優馬ーー…………その手錠普通に外せるらしいから、はやくご飯食べに…………」






その声でそのままの体制で咄嗟に振り向いて、








澪と………………目が、合った。











ーーー





「………何……してるの…………?」
「…………ア、エト」






見られた………………









「こ……これは!!外に出てたから戻そうと……「戻すだけなのに、なんでそんなに周りに皆の服が散らばってるの……?」あ……」





片付けんの忘れてた…………





「え、えっと…………」
「郁人。こいつ現行犯、捕まえて」







oh......








ーーー



「今度はしっかり鍵も閉めといたからね~」
「ちょ ほんと許してください…………その、まじで……反省してる「じゃあ澪、朝ごはん食べに行こっか!」」





ばたん!!!!






「ひえっ」







容赦とは………………










ーーー



(澪side)


数時間後………




「よしじゃあそろそろ帰る準備しなきゃだな!忘れ物しないようにしないと………………」



ご飯を食べ終わったあと部屋で少し話して、そろそろ帰る頃になった。



「楽しかったよね、ほんと……また行きたい…!」
「成人してから楽しみだな!海斗も来るだろ?」
「み…未来斗が行くなら」




ちなみに未来斗と海斗には、さっきの優馬の変態行為のことは教えていない。



ちゃんとバレないように片付けさせたし。




優馬は…………部屋の押し入れの中にでもいれといた。





...




いれたけど…………





(手錠しかつけられてないから逃げるのは簡単なはず、でも……声すら出さないなんて)

 


様子がおかしい…………




もしかして……熱中症…………?






そう思った途端我に返って、それは隣にいた郁人も同じだったみたいで…………






「ゆ………………優馬!!!!」







僕よりも先に、郁人が押し入れの扉を開いた………………、







次の瞬間、







「え…………」






瞬きすら出来ないような速さで、中にいたはずの優馬が郁人に飛びかかってきた。





「…………!」




そこにいた全員が驚いて…………特に郁人が、目を見開いて唖然としていた。





「は…?何……?」

「……………………だ。」
  







………………!








  



(泣い…………てる………………?)







「1人にしないで……、お願い…だから、暗いのは、嫌だ…………」






郁人が着ているベストに顔をうずめて、珍しく…………弱っている。




「父さん……母さん、早く帰って…きて」








(…………!)








「と……とりあえず落ち着いて、僕、優馬の父さんでも母さんでもないから……」 



焦った郁人がとりあえず落ち着かせようと子供みたいに頭を撫でて、背中をさすっていた。




「………………ごめん…………」
「全然大丈夫だし、流石にやりすぎたかも……僕こそ、ごめん」



「ぼ、僕もごめん………優馬、暗いの苦手だって知らなくて……」



謝る僕達を未来斗達が不思議そうに見ていたけど、こうなった経緯を話すのは言いにくくて言わなかった。






「………もう大丈夫だから気にすんなって!」





……少し違うけど、いつもの優馬だ…………







「……ていうかいつまで抱きついてんの?」
「あ、めんご」









ーーー






数時間後…………旅館を出て、駅についた。





「うぅ………重い……」
「大丈夫?半分もとっか?」



未来斗がずっと辛そうな顔で袋を両手に持っていて、それを隣で海斗が不安そうに見ている。



そりゃあんなに本買ったら重いだろうな…………なんて思いながら電車を待った。




「海斗は力ないんだから持てないよ……優馬、持って?」
「え、あ、うん」





ずっと僕の頭に顎を乗せてうりうりとしていた優馬が、郁人にそう言われて重そうな袋を2袋持たされた。



「電車に乗るまでの辛抱だぞ!頑張れ優馬!!」
「お…おう」




さっきから優馬が可哀想なことになってる。










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