ゆうみお

あまみや。旧

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6章 三学期。

番外編 岩倉東

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197話の続き。



ーーー


「……真冬って、メンヘラだよな」



別になんとも思ってなかった。


軽い気持ちで言ってみた言葉。




真冬との関係を壊すなんて思ってもいなかったから。 



ーーー


まぁ流石に……メンヘラなんて言われて嫌な思いをしない人は少ないわけで、


それ以来真冬は俺を避けるようになった。



「なあ、ここ分かる?」
「……」フルフル


「一緒に行こうって……なあ、真冬!」



移動教室もあいつは1人で行くようになって、



「まーふーゆ、一緒に帰ろうよ」
「……用事…あるから」



わざとらしく俺を避ける真冬に、俺も段々嫌気が指してきた。




「東お前雪島はいいのかよ」
「…あー……


別いいんじゃね?あいつ無口で会話出来ないし」




自分でも怖いなと思うのは、そんな酷い言葉を悪いと思わずに言ってしまうこと。



いつの間にか俺はあいつと友達だということを忘れていた。




ーーー


卒業するまで会話は一切無かった。


だからあいつが行った高校なんて知らない。



ーーー 


高校生になった。



「へぇ……そうなんですか?」
「そーそー、女の子を堕とす一番のテクニックはやっぱり気遣い☆」


部活の先輩に面白い人がいた。


星奈先輩という、女の子大好きな背の高い3年生の先輩。



「……でも本命にはいつもヘタレでさぁ………」
「星奈先輩でもそういうことあるんですね、どんな人なんですか?」



先輩は「優しくてちょっと天然で天使みたいな子!」と嬉しそうに話してくれた。



………どうしてかその時、真冬の事を思い出した。




(真冬……今何してんだろ)




ふと、気になって、





(そういえば俺、あいつと仲直り……してないや、……うわなんかそう思うとモヤモヤしてきた!)


やっていないことがあるとモヤモヤしてしまう性格らしく、とりあえず謝っておこうと思って真冬を探す事にした。


Limeは機種変更してから新しいアカウントにしてしまったし、電話番号だって知らない。





また会える確率は低かった。




ーーー


他校に行ってみても駄目だった。


「すみませんわからないです」


統合先の学校の生徒にそう言われて……やっぱりもう諦めようとまで思った。



(真冬……もしかして俺のせいで不登校になってたりしたら)




…………怖かった。






ーーー


(李世side)


『岩倉東 中2の時の友達 何事にも無関心な性格』


「「へぇー」」


東さんと会った日の放課後……真冬が東さんについて教えてくれた。


澪先輩も用事がないからって一緒に着いてきて、適当に喫茶店に入ってお茶を飲む。



「ホロ、ホロッホロ」


真冬の飼いリスあずきが真冬持参の胡桃を夢中で食べてる。


「……ところで真冬、どうしてリスにあずきってつけたの?」


考えすぎかもしれないけど………東とあずきという名前は一文字しか違わなくて、  



(もし東さんを思い出してそうつけたんだったら……嫉妬、するなぁ)



なんて考えていたけど、真冬は濁して教えてくれなかった。




「東さんと真冬はなんで仲違いしたの?」


澪先輩が質問する。



『メンヘラって言われて傷付いて避けたらいつの間にか』



……それはまあボクは知ってるけど。



「…あー…それは嫌だね」
「澪先輩経験あるんですか?」 
「直接優馬たちから言われた記憶はないんだけど…なんか、登場人物紹介欄で書かれてたような……」
「……??」


なんの話だろう。




「……李世」
「あっ、うん何?」



真冬がボクの名前を声で呼んでくれた。




「………次会ったら、引き止めといて欲しい。」





……………え





「えっと……真冬がそこにいなかったら?」
「……」コクン


足りない言葉を補って意味を理解した。


「………話してみたい。」

  




………!






それって……………





「……李世?」


俯くボクを澪先輩が隣で心配していた。

でもすぐに顔を上げて、



「うん…っ!分かったよ、今度からは引き止めておくね…!」  




そう言って明るく微笑んだ。





ーーー



真冬がトイレに行ってあずきを監視しながら澪先輩と話をした。



「李世、頼まれたらちゃんとやるんだね」
「……先輩って、真冬と同じですね」
「え……?」


この先輩って本当に………



「勉強は出来るのに馬鹿ってことです。」
「え"……」



素直に馬鹿だと思った事を言ってあげた。




「ボクが真冬と真冬の友達を会わせてあげるなんて……馬鹿な事言わないでくださいよ、 

まあ馬鹿だから馬鹿なことしか言えないのは分かりますけど。」

「待って李世そろそろ僕のメンタルにヒビ入りそう……」



正直澪先輩の前なら素を表してもいい気がしてきた。…馬鹿だし。



「李世……もしかして性格悪い?」
「よく気付きませんでしたね……作ってても性格の悪さは気付くと思うんですけど」


いつまで後輩の純粋さを期待してるんだか………




「……ていうか先輩、真冬にもあの男にも余計な事しないで下さいね」
「分かってるよ……まあ東さんはまた会えるか分からないけど」





ーーー

(澪side)

それから数日経った日のこと。


(今日も優馬達用事………)


裏門から1人で帰ろうとしていたら、ある人を見かけた。



「………」




赤い髪に青い目………東さんだ。

見ていたら話しかけられた。



「あの……すみません、人探ししてるんですけど、」


この前は李世に聞いてたから僕の事は覚えてないのか、同じことを聞いてきた。


「雪島真冬です、知りませんか?」

「っ……し…知りません……!」



余計な事言ったら李世が怖い………





「……そうですか」



………というか、



(真冬が言うには無関心な人って聞いたけど、でも………)



こんなに友達の事を探している人が無関心だとは思えない。



「…あの」



なにか言おうと口を開きかけた瞬間、……ふと、僕のすぐ横を誰かが通り抜けた。



「……!」


僕より少し低い背。

その子は目の前の東さんの袖を掴んで、その目を真っ直ぐに見上げていた。




「…あずま」





息切れしていて苦しそうな声。




「……え、」



東さんが漏らすように声を出した。




「真冬……?なんで」
「………よかった、間に合った」



何やら急いで来たらしい。




「……ッ、」
「東…お願い、もう、」




息切れした状態で無理に喋るからどんどん呼吸が荒くなっていく。



言いかけた途端、





「………」ふら…




「……!真冬、」



袖を掴んでいた東さんにもたれかかって、気を失った。



「真冬…?!大丈夫か?!」

心配する僕と東さん、そこに、







「……大丈夫です、少し気を失ってるだけですから。」




……と、もたれかかる真冬を自分の方に寄せて何か確認する。



「……李世」




ーーー


「ここじゃなんです、近くのカフェにでも行きましょう?」



にこにこしながらそう話す李世。何故か僕もついてきてしまった。



昨日も来た住宅街の中の人があまりいないカフェ。



「コーヒーください!澪先輩は?」
「えっと……じゃあ、僕も」



コーヒー飲めないけど………





「あ……東さんは?」
「えっと…ウィンナーコーヒー…?で」




ーーー

注文していたコーヒーが来た。



(……?肉じゃなくて生クリーム……??)
(苦そう……)



一口コーヒーを飲んでから、李世が隣で眠る真冬を一瞥した。


ちなみに真冬を運んだのは東さん。僕達は力が無いから持てなかった。



「……さて、本題です。どうして今更真冬を探してたんですか?」



微笑みながら、でも目は笑っていない。



「それは………ふと気になって」



その目に耐えられないのか、東さんは目を逸らした。



「……それだけ?」
「はい……」
「ふぅん……」




そこからの沈黙。

こっちまで緊張してくる。



「……~だよね。」



李世がぶつぶつ何か言ってる。でも聞き取れない。


でも、すぐに笑った。



「そうだったんですね!びっくりしたんですよ、真冬が帰りのHRが終わるなり1人で先に走っていっちゃうから」



………だから息切れしてたのか。



「真冬の席から見えたんでしょうね、裏門は2年生のところから良く見えますから」
「あぁ……正門はちょっと緊張するなと思って………」



まあ、他校生は緊張するだろうな。



「ふふ…それだけ聞ければよかったんですけど、わざわざすみません」
「えっ、……あ、すみません、俺もこんな………」



………あれ



(これで終わり……?)



割とあっさりしてた。




「真冬、起きて?…駄目か」



まだ気を失っている。




「……じゃあ仕方ないです、せっかくこうやってお知り合いになれたわけですし、親交を深めましょう!」


 ………親交?



「……?」
「ちょっと雑談しようってことです。東さんの趣味も聞きたいですし」



ーーー


それから、真冬が起きるまで他愛のない話をした。


ついでに僕と東さんも仲良くなった。



「……」パチ
「あ、おはよ!真冬」



真冬が起きた。



「……あ、じゃあ俺はもう帰るよ。」
「………ずま」



起きてすぐ東さんをじっと見て何か言いたがっている真冬。

けど気まずいのか東さんは帰る準備をしていた。



「真冬、ボク達も帰ろ?」
「………」




ーーー

(東side)


「それではまた!」



李世達に手を振って、別方向の道を歩く。


(一応李世と真冬とは駅だから同じだけど、……ちょっと寄り道していくか)



なんとなく、あの2人と一緒にいるのは………





「……………」



(……なんで、俺、話してる時ずっと)








...







「……なんで、あんなにビビってたんだろう……………」







怖い。




(なんなんだあいつのあの目………なんであんな笑顔で冷たい目が出来るんだ)



高山李世が怖い。




あの冷たい目が、張り付けたような笑顔が、





(もう……関わりたくない)





全部全部、不思議なくらい怖くて仕方なかった。







ーーー


それから数日後。

(真冬side)



「お母さんちょっとここ見てくるね」
「……」コク


休日。今日は母親の買い物の付き合いで荷物持ちをしてる。


「ホロロロロ、ホロロ」
「……あずき」



今日はリスも一緒に買い物。
パーカーのポケットの中に潜んでた。



服屋に入った母親の帰りをぼーっと待っていると、




「………!」


目の前を歩く人混みの中に、知っている人を見つけた。



(……え、どうして、)



その人と目が合う。


お互い驚いていたと思う。





「……あずま」




目が合った途端、東はすぐにこっちに来た。



「ッ……!」




今は会いたくない、心の準備ができてない。



逃げようと咄嗟に体が動いていた。


………けど、



「…ッ!に……げんじゃねぇ真冬!!!」
「~~~ッ!!」ビク--




すごい速さで走ってきた。





「つかまえたっ」
「…!」ビクン



腕を掴まれてもう逃げられなくなる。



「なんで逃げるんだよ、前はそっちから来てくれたのに」
「……」



話すのが怖い。


この人と話すのはすごく神経を使う。




「………」
(……って、俺…咄嗟とはいえ何して)



手が離れた。




「……!」
「ごめん、もう俺の顔なんて見たくもないよな」



……違う


そうじゃないけど、強く否定もできない




あんなに仲直りしたかったはずの東と目を合わせるのが怖い。




「………」



と、その時。





「ホッローー!!」



ポケットに入っていたあずきが飛び出した。


「……!」
「え…、」


東の方に飛び移る。

驚いて背を向けていた東の方に振り向いた。



「ホロー、ホロロロロロ」
「な……なんで、真冬のポケットから………」


人懐こい性格だとは分かっているけど、



(その人は………)
「久しぶりだなトムヤムクン……!」





...





「……は?」


トムヤムクン?





「おう!俺が飼ってたリス、トムヤムクン!」



...



(僕もある方だとは思わないけど、ネーミングセンスがなさすぎる………)




「トムヤムクン、どうしてこんなところに?」
「……僕の」
「え、あぁ?」



………まさか、




(あずきって………東が飼ってたんだ)


通りであんな所にいると思った。




「心配したんだぞトムヤムクン……もう駄目かと……、真冬が拾ってくれたのか?」


……



「ホロ!」
「そうか!優しい人に拾ってもらえて良かったな」



………あれ、




「………取り返さないの…?」




全くそんな気配がない。


あずきだって本当の飼い主のところに戻りたいはずなのに………



「……うん、今の方が幸せそうだから」





……………





「それに母さんと父さんにもすごい怒られた。逃がすくらいならもう二度と飼うなって」


東の両親はすごく優しい人達だった。


母親も、父親も、すごく優しい。





「ところで名前、なんて付けた?」
「………え」



あずき、なんてこの人に教えたら引かれてしまう気がする。



(だって、この名前は)






『……あずま、あず…、……あずき』




この人のことを考えてつけた名前だから。




(こんな僕と友達になってくれた東が大好きだった、優しい人だと思った)



だから引かれた時は怖かった。





昔から僕はやりすぎる性格だから。






「……あ…」
「あ?」


でも会話が途切れるのも嫌で教えてしまった。




「……あずき」




東はその名前を聞いて、少ししてから、



「いい名前じゃん…!」




そう言って微笑んだ。





「確かによく見るとあずきっぽい色だもんな」
「……」コク



本当の事は言えない。


言ってまた引かれるのが怖い。




「………」





だからこの事は絶対に言わない。






(仲直りしたいなんて、きっと李世が嫌な顔するから)



名前の事も仲直りのことも、自分の中だけにとどめておくことにした。





ーーー


「じゃあ俺、そろそろ帰るな。人待たせてるから」
「……」コク


人を待たせてたらしい。



「また話そうな、…出来れば2人で。あとあずき、よろしく」


頷いて、見送る。



「………誰、待たせてるの?」





……気になったことが口にでてた。

ハッとして口を抑える。




「ん?…あぁ、彼女と友達。これからダブルデートするんだ」




………





「……ッ!!」ゾッ…




リア充……………






「真冬、おまたせ」
「…お母さん、今すぐここ出よ……」
「あら?」



リア充は敵。






ーーー

おまけ…高校


ゆうみおキャラが沢山いて困惑するのでとりあえず学校名でわけていきます。

学校の名前は全て県以外は架空です!頑張りました(´>∀<`)ゝ

中学校と高校です


【中学】
福島県立三坂中学校…澪 未来斗 郁人 西原 美優 明日香 うた
福島県三坂市立服地中学校…真冬 二階堂 莉音 東
福島県西三坂市立宮宇治中学校…李世 和樹 愛梨沙
福島県北三坂市立千凪中学校…瞬 星奈 
東京都立陸所中学校…海斗
宮城県蒼都市立菊野中学校…郁人(後半)
雛河大学附属中学校…優馬 優妃 うた(前半) ゆりえ

【高校】
福島県立三坂東男子高等学校…澪 優馬 未来斗 海斗(中半)郁人(後半) 西原 二階堂 李世 真冬 瞬 莉音
福島県立三坂総合高等学校(合併後)…美優 明日香 うた
福島県西三坂市立高等学校…和樹 愛梨沙 星奈 東
雛河大学附属高等学校…優妃 ゆりえ


郁人の前半の高校は番外編「暇部」に登場しましたがちょっとダサかったので変えました。



制服です(決まってるところのみ)

三坂中→黒の学ラン 黒セーラー
服地→クリームっぽい白の学ラン(不良じゃないよ!) 白セーラー
宮宇治→白シャツ赤ネクタイ

高校はざっとしか決めてません。
雛河附属は白を基調としたブレザーとかがありました(多分)


中学時代は澪 未来斗 郁人が学ラン、海斗と優馬はブレザーです。



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