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第4章 それぞれの思い
28 特訓とトーク
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この世界での決闘は魔法も武術も持てる力全てを使って戦うのが常識ということだったが、ツヴァイが魔法を使えないため最初は魔法を使用しない武術の試合形式で特訓をしようという話をツヴァイとアストライアは食事中にしていた。
そのためアストライアは魔法を一切使わずにツヴァイの特訓の相手をすることになったのだが、ツヴァイは先にある話を聞いていた。
アストライアが持つ長大な銀槍は槍の形をしているが実は魔法を撃つために杖のように使うのがメインの使用方法であり、基本的には追い込まれたときにしか槍として使わないというのだ。
その話を聞いたツヴァイは最後の手段というのなら槍としては使い慣れていなくて素人の俺でも少しはやり合えるかな? というようなことを思いながらアストライアとの特訓を始め。
特訓を開始して1秒も経たずにそれが完全な思い違いであるということを身体で理解することになった。
ツヴァイの想像とは全く逆だったのだ。
アストライアの槍撃は最後の手段だからこそ────何よりも研ぎ澄まされていた。
「……っ!」
刀を弾かれた際の衝撃をもろに受け、転ぶように地面に倒れたツヴァイの喉元に槍の切っ先が突きつけられた。
「わたしの17連勝」
試合形式の特訓を始めてから30分。ツヴァイはアストライアに一度も土をつけることができないまま、17回目の敗北を噛み締めた。
「はぁ、はぁっ……! ははっ、本当に強いな……!」
息を乱しながらツヴァイは自分が予想した通りの手も足も出ない状況を笑った。
ツヴァイは最初、アストライアの武器である槍を狙って攻撃する際に、アストライアの身体に当たる可能性があるような攻撃はしないようにしていた。しかし戦っているうちにアストライアの強さが本物であることを理解したツヴァイは、4試合目からは槍を攻撃する際にアストライアの身体に当たるかも知れない少し無茶な攻撃も行うようになった。
そういった攻撃は防御か回避をされ、身体には絶対に当たらないだろう。と、そんな風にツヴァイが思うぐらい、アストライアの強さはあまりにも圧倒的だったのだ。
そして、そのツヴァイの予想は当たり、刀がアストライアの身体に触れることは一度もなく、槍を叩き落とすことも一度も出来ず、現在に至る。
「っはぁ……はぁ……」
疲労し、乱れに乱れた呼吸。着ている服は土まみれ。少女相手に手も足も出ず17回もの敗北。ツヴァイの今の状態は散々だった。普通なら恥ずかしいや悔しいという感情しか湧いてこないようなそんな状況だ。
けれども。
「……何か嬉しいことでもあった?」
アストライアがそう声を掛けてしまうぐらい満足げな表情をツヴァイは浮かべていた。
「ああ、特訓をして貰ってるのに何一つ成果がないことは本当に申し訳ないと思ってるが────身体を動かすことが、とても楽しいってことを思い出せた」
前の世界では座り仕事と商用車での移動ばかり。数年前まではバイトを掛け持ちしまくって昼夜問わず体を動かしてはいたが、それは金のための労働でしかなかった。
最後にこんな風に運動をしたのは学生の頃の体育の授業以来であり、その頃の感覚をツヴァイは思い出していたのだ。
この特訓、高校生の頃にやった剣道やフェンシングみたいで凄く楽しい……! と、そんなことを思いながら18回目の試合をするためにツヴァイが立ち上がろうとした、そのとき。
「わかる」
少し表情を和らげたアストライアがツヴァイの言葉に同意した。
「体を動かすって良いよね。余計なことを考えず、真っ直ぐに取り組める。けれどやり過ぎると体って簡単に壊れてしまうから、時には止まることも重要。ツヴァイの腕、ちょっと悲鳴あげてる」
そして、ツヴァイの意見に同意はしたものの、刀を振り回すという慣れない動作でツヴァイの腕に負担が掛かっていることを見抜いていたアストライアが戦闘態勢を解き。
「────休憩しよう。ツヴァイの実力はだいたいわかったから、これからについての話もしたいし」
特訓は一旦終了と宣言した。
「ツヴァイさん。お疲れさまです」
「お……。ありがとうリア」
するとすぐに特訓中は少し離れた場所で待機していたリアが駆け寄ってきて部活のマネージャーのようにツヴァイに水筒を手渡した。
「……ふぅ。生き返る」
朝食と一緒に社の館から持ってきていた竹で出来た水筒の蓋を開け、一気に半分ほど水を飲んだツヴァイが自分と同じようにリアから水筒を受け取ったアストライアに視線を向けると、その視線に気付いたアストライアが口を開き。
「ツヴァイ。はっきり言うとこのままじゃフレグランスには勝てない」
当然とも言える結論をツヴァイに突きつけた。
そのためアストライアは魔法を一切使わずにツヴァイの特訓の相手をすることになったのだが、ツヴァイは先にある話を聞いていた。
アストライアが持つ長大な銀槍は槍の形をしているが実は魔法を撃つために杖のように使うのがメインの使用方法であり、基本的には追い込まれたときにしか槍として使わないというのだ。
その話を聞いたツヴァイは最後の手段というのなら槍としては使い慣れていなくて素人の俺でも少しはやり合えるかな? というようなことを思いながらアストライアとの特訓を始め。
特訓を開始して1秒も経たずにそれが完全な思い違いであるということを身体で理解することになった。
ツヴァイの想像とは全く逆だったのだ。
アストライアの槍撃は最後の手段だからこそ────何よりも研ぎ澄まされていた。
「……っ!」
刀を弾かれた際の衝撃をもろに受け、転ぶように地面に倒れたツヴァイの喉元に槍の切っ先が突きつけられた。
「わたしの17連勝」
試合形式の特訓を始めてから30分。ツヴァイはアストライアに一度も土をつけることができないまま、17回目の敗北を噛み締めた。
「はぁ、はぁっ……! ははっ、本当に強いな……!」
息を乱しながらツヴァイは自分が予想した通りの手も足も出ない状況を笑った。
ツヴァイは最初、アストライアの武器である槍を狙って攻撃する際に、アストライアの身体に当たる可能性があるような攻撃はしないようにしていた。しかし戦っているうちにアストライアの強さが本物であることを理解したツヴァイは、4試合目からは槍を攻撃する際にアストライアの身体に当たるかも知れない少し無茶な攻撃も行うようになった。
そういった攻撃は防御か回避をされ、身体には絶対に当たらないだろう。と、そんな風にツヴァイが思うぐらい、アストライアの強さはあまりにも圧倒的だったのだ。
そして、そのツヴァイの予想は当たり、刀がアストライアの身体に触れることは一度もなく、槍を叩き落とすことも一度も出来ず、現在に至る。
「っはぁ……はぁ……」
疲労し、乱れに乱れた呼吸。着ている服は土まみれ。少女相手に手も足も出ず17回もの敗北。ツヴァイの今の状態は散々だった。普通なら恥ずかしいや悔しいという感情しか湧いてこないようなそんな状況だ。
けれども。
「……何か嬉しいことでもあった?」
アストライアがそう声を掛けてしまうぐらい満足げな表情をツヴァイは浮かべていた。
「ああ、特訓をして貰ってるのに何一つ成果がないことは本当に申し訳ないと思ってるが────身体を動かすことが、とても楽しいってことを思い出せた」
前の世界では座り仕事と商用車での移動ばかり。数年前まではバイトを掛け持ちしまくって昼夜問わず体を動かしてはいたが、それは金のための労働でしかなかった。
最後にこんな風に運動をしたのは学生の頃の体育の授業以来であり、その頃の感覚をツヴァイは思い出していたのだ。
この特訓、高校生の頃にやった剣道やフェンシングみたいで凄く楽しい……! と、そんなことを思いながら18回目の試合をするためにツヴァイが立ち上がろうとした、そのとき。
「わかる」
少し表情を和らげたアストライアがツヴァイの言葉に同意した。
「体を動かすって良いよね。余計なことを考えず、真っ直ぐに取り組める。けれどやり過ぎると体って簡単に壊れてしまうから、時には止まることも重要。ツヴァイの腕、ちょっと悲鳴あげてる」
そして、ツヴァイの意見に同意はしたものの、刀を振り回すという慣れない動作でツヴァイの腕に負担が掛かっていることを見抜いていたアストライアが戦闘態勢を解き。
「────休憩しよう。ツヴァイの実力はだいたいわかったから、これからについての話もしたいし」
特訓は一旦終了と宣言した。
「ツヴァイさん。お疲れさまです」
「お……。ありがとうリア」
するとすぐに特訓中は少し離れた場所で待機していたリアが駆け寄ってきて部活のマネージャーのようにツヴァイに水筒を手渡した。
「……ふぅ。生き返る」
朝食と一緒に社の館から持ってきていた竹で出来た水筒の蓋を開け、一気に半分ほど水を飲んだツヴァイが自分と同じようにリアから水筒を受け取ったアストライアに視線を向けると、その視線に気付いたアストライアが口を開き。
「ツヴァイ。はっきり言うとこのままじゃフレグランスには勝てない」
当然とも言える結論をツヴァイに突きつけた。
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