絵本作家は砂糖菓子の夢を見る

宮野愛理

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第九話

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「リチェル、うるさい」

 栗鼠の獣人のリチェルと、その相棒である兎獣人のロッティだ。二人とも、元々の獣種が小柄だから佐藤の肩くらいまでしか身長がない。佐藤自身もそれほど大きなほうではないが、百七十センチはある。ちなみに、ブライクは百九十センチ近いのでこの二人が並ぶと本当に子供のように見えてしまう。それでもしっかりと成人済みなので、獣種は人種の違いよりも差が大きい。

「だって、ようやくだぞ? ロッティはもう本になっているじゃないか!」
「そりゃロッティ様は可愛いからね」
「むきぃ!!」

 すぐ喧嘩をするが、〝喧嘩するほど仲が良い〟の典型的な二人である。こんな会話をしていても険悪な雰囲気はなく、どちらかというとじゃれ合っている様子にほっこりとしてしまう。

「遅くなってすみませんでした。まだ本という形にはなっていませんが、印刷は決定しましたよ」
「サトー、あんまり根詰めちゃ駄目だよ?」
「ロッティさん、ありがとうございます。楽しくやれているので大丈夫ですよ」

 佐藤は少しだけズルをしている。
 ブライクとも仲の良い二人とは早い段階から顔を合わせていて、生気の薄い佐藤を元気づけるためにか色々な話をしてくれていた。そんな話の中には色々と興味深いものも多く、二人に許可を得て、絵本の内容を考えている。
 第一弾はロッティをモチーフにした。本人をそのままにしてしまうと少々子供向けではない――なんせ皮肉屋で辛辣な面がある――ので、もう少し可愛らしくしているがそのあたりは濁している。
 第二弾はリチェル。いたずらっ子でちょっとおっちょこちょいなキャラクターにしたのだが、こちらは大きく違っていないように思う。とはいえこれも本人に言えるわけがない。

「これでボクもデビューだな! かっこよく書いてくれたんだろ?!」

 絶対に本の内容を言ってはならない、と佐藤は心に誓った。この世界への物質移動が出来なくて良かった。

「二人とも。サトーの報告があったから呼んだけれど、あまり騒いではならないよ。サトーは疲れているんだから」
「はぁい。……ブライクってちょっと過保護だよね。それだけサトーが心配なんだろうけどさ」
「サトーが来ないとずっとソワソワしてるもんな!」

 にしし、と笑う二人に対して「ロッティ、リチェル」と低い声を出したブライクは、少し照れているようだった。
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