記憶喪失後すぐ思い出したけど、もう好きに生きます!

minaumi

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1章

1話

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差し込む光に目を開けると、そこは見知らぬ部屋のベッドの上だった。

起き上がろうとしたが思ったように体が動かず、奮闘していたら派手な音を立ててそのまま寝台から落ちた。
全ての体力を使い果たし指一本動かすことが出来ずにいると、騒ぎを聞き付けたのか誰かが走ってくる音が聞こえた。
息を殺していると、足音が止まり勢い良くドアが開く。

恐る恐る目線をあげた先には、整った顔をした見知らぬ黒髪の青年がいた。

目を見開き立ち止まる青年の頬を一雫の涙が伝う。
彼は、ゆっくりと怯える僕に近付き抱き起こすと両手で頬を挟み覗き込んできた。
自然と目が合うとホッとしたように微笑みを浮かべる。

「良かった」

震えた声で呟き、ギュッと抱き締めた彼に「誰ですか?」何て不粋なことは聞けなかった。

どこの誰かも分からなかったけど不思議と安心感があり、彼の温もりに包まれながら夢の中へと落ちていった。




目が覚めると先程と同じベッドの上で、ふと横を見ると窓枠に腰を掛けて青年が本を読んでいた。

ページの捲る音にそよぐ風。
濡羽色の髪がふわっと舞い上がり、ページがパラパラと捲れる。

カーテンの隙間から差し込む光に照らされた横顔がとても綺麗で、見惚れていた。

視線に気付いたのか青年が顔を上げると目が合った。

彼は本を閉じ窓枠からスッと地面に足を下ろし、こちらに向かって来た。

「お加減はいかがですか」

寝起きなのもあり上手く声が出ず、頷く。

「貴方様が寝ている間に一度医者に診てもらいましたが、特に異常は無いということでした。勝手に行ってしまい申し訳ございません。」

「ありがとうございます。」

掠れた声で礼を言うと、彼は一礼して作業に取り掛かった。

朝餉の準備をする執事を見ながら周りを見渡した。

一度目が覚めた時と同じ部屋で、先程と変わったことはなかった。

ここはどこ?

あの青年は誰?

ぐるぐると疑問が頭を埋め尽くし、パンクしそうになる。




僕は……僕は「誰」?


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