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呼び出しをくらったのです
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モルジアスの街に戻ってきた。まずは冒険者ギルドに向かって歩いている。沢山手に入った魔石を換金しなくてはな。いや、お腹がペコペコだからご飯が先か。
というわけで、まずは冒険者ギルドの一階で食事をすることにした。
テーブルについて一息つくと、疲れをどっと感じた。俺は座席にぐったりともたれかかる。するとリンゼは心配そうに俺を見た。
「バランセ、疲れてる?」
「うん……、強い奴と戦って集中したし、魔法も連続で使いすぎたのかも。少し休めば大丈夫だと思う」
対面に座っているリンゼは、立ち上がって俺の隣に座り手を握る。そして顔を近づけて、チュッと軽く唇を合わせた。
他に人のいるところで、リンゼがキスしてくれるなんて珍しいな。癒されて元気が湧いてくる。
「元気を口移し♡」
そう言ってニコッと笑うリンゼ。うわぁ、なにこれ超かわいいんですが。俺は胸の奥がギュッと締め付けられて「リンゼ! 大好き!!」と、思わずリンゼに抱き着く。すると――。
「お待たせしました。日替わりランチです」
店員のお姉さんが料理を運んで来てくれた。俺は咄嗟にリンゼから離れて、何食わぬ顔でピシッと座る。危ない、公衆の面前でリンゼを襲うところだった。自制しないとな……。
食事が終わると、魔石の換金の為に二階に行く。アイテムボックスの中にしまっておいたゴブリンの魔石をガラガラとカウンターの上に出した。
「きょ、今日はまた大量ですね……」
受付のお姉さんは若干顔を引きつらせている。レッドキャップの魔石は、出すのをやめておこう。これだけあればいい金額になるだろうし、また驚かれるかもしれないから。
しばらく待つと、受付のお姉さんは大量にお金を持ってきてくれた。金貨と銀貨に混ざってミスリル貨もあるな。ホブにシャーマン、ヴァラーにジェネラルと上位種も結構混ざっているから大金だ。
しかし、硬貨ってかさばるよなぁ。なんで紙幣にしないんだろ? やっぱり異世界ファンタジーは、金貨銀貨じゃないといけないのか……。そんなことを思いつつ、お金をアイテムボックスにしまってカウンターから離れた。
さて、無事換金も出来たことだし、買い物するか。レッドキャップと戦った時に、服が破れちゃったもんなぁ。
「リンゼ、今から買い物デートしよ」
「うん、いいよ!」
俺はリンゼに手を引かれて、街を歩き店を巡った。
冒険者向けのショップを覗くと、丈夫そうな鎧が多数展示されている。でも俺にはビームシールド、PS装甲、Iフィールド、プラネイトディフェンサー等々、防御系の魔法も多くあるから、防御力重視じゃなくて見た目重視の服がいい。エロ可愛いいのが好いなぁ。
強敵と戦うと破れてしまうだろうから、余分に買っておこう。そうだ、また今度ルナーナヒダ様に力を借りたときの為に、美味しい食べ物も買い込んでおかなくては。
いろんな店を回って、服や美味しい物をたくさん買い込んで、アイテムボックスにしまった。
* * *
リンゼとデートを楽しんでいると、日も暮れてきた。今晩は何食べようかなーなどと考えていると、レミリナに貰った魔映鏡がポケットの中でブルブル震える。ん? レミリナから着信か。俺は魔映鏡を取り出して、スマホっぽく表示されている通話アイコンをスライドさせ、耳元に当てた。
「レミリナ? どうかしたの?」
「騎士団長がバランセを呼んでいます。申し訳ありませんが、騎士団詰め所まで来て下さい」
「え……、うん分かった。今から行くね」
なんだろう? 今日は勇者とかぶっ飛ばしてないぞ。でもきっと面倒なことを言われるに違いない。気乗りしないが、行かないとレミリナがルディアナさんに怒られるかもしれないから、断るわけにもいかない。
俺はリンゼに騎士団長に呼ばれたことを伝えて、二人で騎士団詰め所に向かった。
騎士団詰め所の門にはレミリナが待っていて、俺とリンゼは騎士団長の執務室に通された。俺達が部屋に入ると、ルディアナさんは机に着いたまま、ニッコリ笑って俺に問う。
「ゴブリンの拠点の洞窟が破壊されて内部がむき出しになり、ゴブリンキングが死んで魔石になっていました。バランセはこの件に関して何か知りませんか?」
ギクリ。だが俺は何も知らない。知らないんだからね? 当然ここはしらばっくれる。
「キングが倒されたんですか? へー、それは良かったですね」
ルディアナさんは机に両肘をついて、両手を口元付近で合わせて俺の目を真っ直ぐ見ている。ゲンドウポーズだな……。しばらく見つめられた後、ルディアナさんは立ち上がって俺に微笑みかけた。
「砦で警戒していた複数の冒険者や騎士から、現場付近で巨大な光の柱が観測されたと報告がありました。あの光の魔法、どこかで見たことないかなー?」
ルディアナさんの声色は変に明るく、妙なプレッシャーを感じてしまう。
「さ、さぁ……? 知りません」
俺がすっとぼけると、ルディアナさんは語気を強めた。
「あなたが知らないわけないでしょう! 勇者と勝負した時に使った魔法と、全く同じものだったわよっ! 勇者の力も借りずにゴブリンキングをたった一人の冒険者が倒したとか、どうやって国王に報告するんですか!?」
ぐぅ、やっぱり怒られた。頑張って倒したのに面白くない。
「だから、報告とかそんなこと私は知りませんって! 大体、あのエロ勇者がキングを倒さないから仕方なく倒しに行ったんですよ? それなのに、なんで文句を言われなきゃいけないんですか!?」
「ふーん、逆切れですか。そもそもバランセが勇者を叩きのめすから、拗ねて王都に帰ってしまったんでしょう!? 大人しく勇者に頭を下げて謝っていれば、こんな面倒なことにならなかったのに!」
「そんなの嫌ですよ! あのエロ勇者におっぱいを揉ませろとでも言うんですか!?」
「それですべて丸く収まるなら、おっぱいの一つや二つ揉ませればいいでしょ!?」
「うわー、セクハラだー! とても騎士団長閣下の発言とは思えませんねー!」
「騎士団長だって人間なの! ただでさえ忙しいのに、余計な仕事を増やされる私の身にもなってよ!」
ヒートアップするルディアナさんをレミリナがなだめ、リンゼは俺をなだめる。
「それにしても……勇者の力を借りずにキング種を倒せる強さとなれば、騎士団長格よりも強い可能性があるということ。それほどの強さの冒険者が突然現れたなど、どうやって報告したら良いのやら……」
ルディアナさんは頭を抱えている。
「あの、完全に私一人で倒したというわけでもないんですよ。月の女神、ルナーナヒダ様に力を借りてどうにか……」
「はぁ!? ルナーナヒダ様に力を借りたですって!? 寝言は寝てから言ってください」
ルディアナさんは、一瞬目を見開いて驚いた後、ジト目になって俺を小馬鹿にした。それを見たリンゼは大きめの声をあげる。
「本当です。私も一部始終を見ていました! ルナーナヒダ様はバランセのことを気に入ったとおっしゃっていました!」
そうそう。嘘なんかついてませんって。
「あと、気に入られたついでに、英雄覇気を授けてもらいました」
俺がリンゼに付け足してそう言うと、ルディアナさんは口をパクパクしながら絶句している。美人の間抜け面って可愛いなぁ。
「そんなに驚かなくても? やっぱり女神様に認められるってのは珍しいんですか?」
言葉を出せないルディアナさんに代わって、レミリナが「珍しいどころの話ではありませんよ。そもそも女神様に会うなんて、普通ではありえませんから」と言ってクスリと笑った。
「ルナーナヒダ様は天空の三女神の一柱です。太陽の女神『サンルバアル』様、星の女神『スタラロルス』様、月の女神『ルナーナヒダ』様。勇者ガイオルッシュ殿は太陽の女神サンルバアル様の祝福を賜っているのです」
ふむふむ。俺とリンゼはレミリナの説明を聞くことにした。
この国ではキング種に対抗するため、20年に一度召喚の儀を行うらしい。その際に天空の三女神に祈りと供物を授け、祈りに応えた女神の祝福を受けた異世界の人物が召喚されるらしい。勇者ガイオルッシュは3年前に召喚された新しい勇者とのことだ。
英雄覇気は召喚された勇者のみが持っているスキルで、そうでない者が天空の三女神に気に入られたから与えられたという前例はない。そもそも天空の三女神に直接遭遇するなど、極めて稀なことなのだそうだ。
レミリナが説明を終えると、ルディアナさんはまだ疑っているのか、ジト目のまま俺を見ている。
レミリナは「本当かどうか、まずは鑑定してみませんか」とルディアナさんに提案した後、魔映鏡を使って誰かに連絡をする。そしてしばらくすると、部屋に水晶玉が運ばれて来た。
「冒険者ギルドの受付で使われている物よりも、高性能な物です。さぁ、これに触れてみてください。」
俺はレミリナに勧められるまま、水晶玉に手を触れる。すると水晶玉は一瞬ぱぁっと光った。
ルディアナさんとレミリナとリンゼは、魔映鏡に表示された鑑定結果を見て目を見開いている。俺も魔映鏡を覗き込むと、そこに表示されていたのは……。
レベル137 魔力量53万 スキル『ニュータイプ』『ガノタ系魔法』『アイテムボックス』『英雄覇気』『月の女神の加護』
なんかレベル上がってる? この世界に来て、色々な経験をしたからなぁ……。それに魔力量53万って……、宇宙一強そうだな。あとは月の女神の加護? ああ、月の魔力を一日一回使っていいっていうあれか。
「バランセ、あなたはいったい何者なんですか?」
レミリナが問う。彼女には俺が転生者であることを言っても大丈夫な気もするが、ルディアナさんもいるのでここはひとまず誤魔化すか。
「リンゼとレミリナのことが大好きな、普通の女の子」
「ふふっ、バランセらしいですね」
レミリナが楽し気に笑うと、ルディアナさんは目じりをぴくぴくさせながら、大きな声をあげた。
「ふふっ、じゃねーよ! そんなぶっ壊れスペックの普通な女の子がどこにいるんだよ!」
ルディアナさん、言葉使いが荒れてるよ……。俺のジト目に気が付いたルディアナさんは「ゴホン」と咳払いをして続ける。
「バランセ、私があなたを見極めます。訓練場まで一緒に来てください」
何する気だろう。まさか戦うとか? 俺達はルディアナさんの後に付いて、訓練場に移動した。
というわけで、まずは冒険者ギルドの一階で食事をすることにした。
テーブルについて一息つくと、疲れをどっと感じた。俺は座席にぐったりともたれかかる。するとリンゼは心配そうに俺を見た。
「バランセ、疲れてる?」
「うん……、強い奴と戦って集中したし、魔法も連続で使いすぎたのかも。少し休めば大丈夫だと思う」
対面に座っているリンゼは、立ち上がって俺の隣に座り手を握る。そして顔を近づけて、チュッと軽く唇を合わせた。
他に人のいるところで、リンゼがキスしてくれるなんて珍しいな。癒されて元気が湧いてくる。
「元気を口移し♡」
そう言ってニコッと笑うリンゼ。うわぁ、なにこれ超かわいいんですが。俺は胸の奥がギュッと締め付けられて「リンゼ! 大好き!!」と、思わずリンゼに抱き着く。すると――。
「お待たせしました。日替わりランチです」
店員のお姉さんが料理を運んで来てくれた。俺は咄嗟にリンゼから離れて、何食わぬ顔でピシッと座る。危ない、公衆の面前でリンゼを襲うところだった。自制しないとな……。
食事が終わると、魔石の換金の為に二階に行く。アイテムボックスの中にしまっておいたゴブリンの魔石をガラガラとカウンターの上に出した。
「きょ、今日はまた大量ですね……」
受付のお姉さんは若干顔を引きつらせている。レッドキャップの魔石は、出すのをやめておこう。これだけあればいい金額になるだろうし、また驚かれるかもしれないから。
しばらく待つと、受付のお姉さんは大量にお金を持ってきてくれた。金貨と銀貨に混ざってミスリル貨もあるな。ホブにシャーマン、ヴァラーにジェネラルと上位種も結構混ざっているから大金だ。
しかし、硬貨ってかさばるよなぁ。なんで紙幣にしないんだろ? やっぱり異世界ファンタジーは、金貨銀貨じゃないといけないのか……。そんなことを思いつつ、お金をアイテムボックスにしまってカウンターから離れた。
さて、無事換金も出来たことだし、買い物するか。レッドキャップと戦った時に、服が破れちゃったもんなぁ。
「リンゼ、今から買い物デートしよ」
「うん、いいよ!」
俺はリンゼに手を引かれて、街を歩き店を巡った。
冒険者向けのショップを覗くと、丈夫そうな鎧が多数展示されている。でも俺にはビームシールド、PS装甲、Iフィールド、プラネイトディフェンサー等々、防御系の魔法も多くあるから、防御力重視じゃなくて見た目重視の服がいい。エロ可愛いいのが好いなぁ。
強敵と戦うと破れてしまうだろうから、余分に買っておこう。そうだ、また今度ルナーナヒダ様に力を借りたときの為に、美味しい食べ物も買い込んでおかなくては。
いろんな店を回って、服や美味しい物をたくさん買い込んで、アイテムボックスにしまった。
* * *
リンゼとデートを楽しんでいると、日も暮れてきた。今晩は何食べようかなーなどと考えていると、レミリナに貰った魔映鏡がポケットの中でブルブル震える。ん? レミリナから着信か。俺は魔映鏡を取り出して、スマホっぽく表示されている通話アイコンをスライドさせ、耳元に当てた。
「レミリナ? どうかしたの?」
「騎士団長がバランセを呼んでいます。申し訳ありませんが、騎士団詰め所まで来て下さい」
「え……、うん分かった。今から行くね」
なんだろう? 今日は勇者とかぶっ飛ばしてないぞ。でもきっと面倒なことを言われるに違いない。気乗りしないが、行かないとレミリナがルディアナさんに怒られるかもしれないから、断るわけにもいかない。
俺はリンゼに騎士団長に呼ばれたことを伝えて、二人で騎士団詰め所に向かった。
騎士団詰め所の門にはレミリナが待っていて、俺とリンゼは騎士団長の執務室に通された。俺達が部屋に入ると、ルディアナさんは机に着いたまま、ニッコリ笑って俺に問う。
「ゴブリンの拠点の洞窟が破壊されて内部がむき出しになり、ゴブリンキングが死んで魔石になっていました。バランセはこの件に関して何か知りませんか?」
ギクリ。だが俺は何も知らない。知らないんだからね? 当然ここはしらばっくれる。
「キングが倒されたんですか? へー、それは良かったですね」
ルディアナさんは机に両肘をついて、両手を口元付近で合わせて俺の目を真っ直ぐ見ている。ゲンドウポーズだな……。しばらく見つめられた後、ルディアナさんは立ち上がって俺に微笑みかけた。
「砦で警戒していた複数の冒険者や騎士から、現場付近で巨大な光の柱が観測されたと報告がありました。あの光の魔法、どこかで見たことないかなー?」
ルディアナさんの声色は変に明るく、妙なプレッシャーを感じてしまう。
「さ、さぁ……? 知りません」
俺がすっとぼけると、ルディアナさんは語気を強めた。
「あなたが知らないわけないでしょう! 勇者と勝負した時に使った魔法と、全く同じものだったわよっ! 勇者の力も借りずにゴブリンキングをたった一人の冒険者が倒したとか、どうやって国王に報告するんですか!?」
ぐぅ、やっぱり怒られた。頑張って倒したのに面白くない。
「だから、報告とかそんなこと私は知りませんって! 大体、あのエロ勇者がキングを倒さないから仕方なく倒しに行ったんですよ? それなのに、なんで文句を言われなきゃいけないんですか!?」
「ふーん、逆切れですか。そもそもバランセが勇者を叩きのめすから、拗ねて王都に帰ってしまったんでしょう!? 大人しく勇者に頭を下げて謝っていれば、こんな面倒なことにならなかったのに!」
「そんなの嫌ですよ! あのエロ勇者におっぱいを揉ませろとでも言うんですか!?」
「それですべて丸く収まるなら、おっぱいの一つや二つ揉ませればいいでしょ!?」
「うわー、セクハラだー! とても騎士団長閣下の発言とは思えませんねー!」
「騎士団長だって人間なの! ただでさえ忙しいのに、余計な仕事を増やされる私の身にもなってよ!」
ヒートアップするルディアナさんをレミリナがなだめ、リンゼは俺をなだめる。
「それにしても……勇者の力を借りずにキング種を倒せる強さとなれば、騎士団長格よりも強い可能性があるということ。それほどの強さの冒険者が突然現れたなど、どうやって報告したら良いのやら……」
ルディアナさんは頭を抱えている。
「あの、完全に私一人で倒したというわけでもないんですよ。月の女神、ルナーナヒダ様に力を借りてどうにか……」
「はぁ!? ルナーナヒダ様に力を借りたですって!? 寝言は寝てから言ってください」
ルディアナさんは、一瞬目を見開いて驚いた後、ジト目になって俺を小馬鹿にした。それを見たリンゼは大きめの声をあげる。
「本当です。私も一部始終を見ていました! ルナーナヒダ様はバランセのことを気に入ったとおっしゃっていました!」
そうそう。嘘なんかついてませんって。
「あと、気に入られたついでに、英雄覇気を授けてもらいました」
俺がリンゼに付け足してそう言うと、ルディアナさんは口をパクパクしながら絶句している。美人の間抜け面って可愛いなぁ。
「そんなに驚かなくても? やっぱり女神様に認められるってのは珍しいんですか?」
言葉を出せないルディアナさんに代わって、レミリナが「珍しいどころの話ではありませんよ。そもそも女神様に会うなんて、普通ではありえませんから」と言ってクスリと笑った。
「ルナーナヒダ様は天空の三女神の一柱です。太陽の女神『サンルバアル』様、星の女神『スタラロルス』様、月の女神『ルナーナヒダ』様。勇者ガイオルッシュ殿は太陽の女神サンルバアル様の祝福を賜っているのです」
ふむふむ。俺とリンゼはレミリナの説明を聞くことにした。
この国ではキング種に対抗するため、20年に一度召喚の儀を行うらしい。その際に天空の三女神に祈りと供物を授け、祈りに応えた女神の祝福を受けた異世界の人物が召喚されるらしい。勇者ガイオルッシュは3年前に召喚された新しい勇者とのことだ。
英雄覇気は召喚された勇者のみが持っているスキルで、そうでない者が天空の三女神に気に入られたから与えられたという前例はない。そもそも天空の三女神に直接遭遇するなど、極めて稀なことなのだそうだ。
レミリナが説明を終えると、ルディアナさんはまだ疑っているのか、ジト目のまま俺を見ている。
レミリナは「本当かどうか、まずは鑑定してみませんか」とルディアナさんに提案した後、魔映鏡を使って誰かに連絡をする。そしてしばらくすると、部屋に水晶玉が運ばれて来た。
「冒険者ギルドの受付で使われている物よりも、高性能な物です。さぁ、これに触れてみてください。」
俺はレミリナに勧められるまま、水晶玉に手を触れる。すると水晶玉は一瞬ぱぁっと光った。
ルディアナさんとレミリナとリンゼは、魔映鏡に表示された鑑定結果を見て目を見開いている。俺も魔映鏡を覗き込むと、そこに表示されていたのは……。
レベル137 魔力量53万 スキル『ニュータイプ』『ガノタ系魔法』『アイテムボックス』『英雄覇気』『月の女神の加護』
なんかレベル上がってる? この世界に来て、色々な経験をしたからなぁ……。それに魔力量53万って……、宇宙一強そうだな。あとは月の女神の加護? ああ、月の魔力を一日一回使っていいっていうあれか。
「バランセ、あなたはいったい何者なんですか?」
レミリナが問う。彼女には俺が転生者であることを言っても大丈夫な気もするが、ルディアナさんもいるのでここはひとまず誤魔化すか。
「リンゼとレミリナのことが大好きな、普通の女の子」
「ふふっ、バランセらしいですね」
レミリナが楽し気に笑うと、ルディアナさんは目じりをぴくぴくさせながら、大きな声をあげた。
「ふふっ、じゃねーよ! そんなぶっ壊れスペックの普通な女の子がどこにいるんだよ!」
ルディアナさん、言葉使いが荒れてるよ……。俺のジト目に気が付いたルディアナさんは「ゴホン」と咳払いをして続ける。
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皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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