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ガノタ無双
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階段を下りると、さっきまでの暑さから打って変わって、今度はひんやりと肌寒い。奥からは強いプレッシャーをいくつも感じる。
この強いプレッシャーはゴブリンジェネラル以上の強さだろう……。それにレッドキャップ級もいるな。
以前ゴブリンキングと戦った時よりも、俺のレベルは上がっているし、レミリナに剣技を指導してもらった。ついでにファンネルも練習して、精度と威力は上がっている。
レッドキャップ級と遭遇しても、俺は以前よりも楽に勝てるだろう。だが、リンゼとレミリナはあのレベルのモンスターに対応できるだろうか?
待てよ? 英雄覇気をオンにすれば、モンスターを弱体化しつつ、二人を強化できるはずだ。あのエロ勇者でもキング種を討伐できるんだし、ここは試してみるか。
「この先のモンスターの強さは、これまでと桁違いだから英雄覇気を使うね。でも危険を感じたらすぐに逃げよう」
リンゼとレミリナに向かってそう言うと「うん、分かった」「了解です」と、それぞれ頷いた。
少し進むと、人の気配を感じる。気配のある岩陰を覗くと、五人組のオッサンが隠れていた。三人は横になっており、二人は岩壁にもたれて座っている。全員怪我をしているようで、装備品は血で汚れていた。
「あなた達が蒼の夢ですか?」
レミリナが問うと、一人が「そうだ」と返事をした。
彼等に話を聞くと、この階層に下りてすぐにオーガ五匹に襲われて、なんとか撃退するも怪我をして動けなくなっていたらしい。
俺はアイテムボックスから水と食料、それに傷薬を取り出して渡す。ちょっと高級な傷薬なので、どうにか歩けるくらいまで回復したようだ。
俺達は、歩けるようになった彼等を階段の所まで連れて戻る。
「銀の彗星殿、ありがとうございます。この恩は一生忘れません」
「いえ、無事で何よりです。気を付けて帰って下さいね」
「はい。そちらもどうかご武運を!」
俺達は、蒼の夢のメンバーが階段を上がっていくのを見送った。
彼等はベテランらしいし、上層のペギィくらいなら自力で何とかするだろう。
さて、一番の目標は達成した。これからどうするか、リンゼとレミリナに聞いてみた。
「一応、任務完了だね。未踏領域の調査もやる?」
「ペギィの相手だけじゃ物足りないよ! もう少しだけ進んでみよう」
「私もリンゼに賛成です」
二人はやる気のようなので、探索を続けることにした。
奥に進んでいくと、ゴブリンジェネラルが二匹出現。しかし、俺の英雄覇気のおかげで弱体化しており、リンゼとレミリナは余裕で一匹づつ倒した。
さらに先に進むと、豚顔の亜人系モンスターが二匹いる。背丈が3mくらいありそうだ。
「あれはオーク? 大きいな……」
俺が呟くとレミリナが答える。
「大きさからすると、オークジェネラルですね。ゴブリンジェネラルより強いです」
「強いの? 私がやろうか?」
俺は心配になったので、前に出ようとするとリンゼが制止する。
「バランセは見ていて! 私とレミリナで倒すから!」
リンゼは天駆で加速し飛び出すと、瞬く間にオークジェネラルに接近した。そしてすれ違いざまに剣を一閃。オークジェネラルの首を斬り落とした。
おお! リンゼ 強い! 俺が感心していると、レミリナも剣を構えていた。
「次は私が行きます!」
レミリナは淀みない動作でオークジェネラルと切り結び、隙を見つけては斬撃を浴びせる。
それを数回繰り返すと、オークジェネラルは姿勢を崩した。そして止めと言わんばかりに、気迫のこもった突きを放ち、オークジェネラルの胸に風穴を開けた。
英雄覇気の影響で、モンスターが弱体化しているんだろうけど二人とも強いなぁ。
余裕でオークジェネラルを倒したはずのレミリナは、浮かない顔をしている。
「妙ですね、通常のダンジョンでは、異なる種類の亜人系モンスターが同じ階層に出るはずはないのですが……」
騎士であるレミリナは、モンスターとの戦闘経験や知識が多い。そんな彼女の違和感ってフラグじゃないのか? あえて危険を冒して、フラグ回収することもないだろう。
「そうなんだ。何か異変でも起こっているのかもね。念のため一旦帰る?」
「いえ、バランセの英雄覇気があるので私たちでも戦えますが、他の冒険者がここに来たら、かなりの手練れでも危険です。もう少し調査しましょう」
「分かった。繰り返すけど、危険を感じたらすぐに帰ろうね」
「はい」と頷くレミリナは、険しい表情をしている。
今のところ、俺の脅威になりそうな強さのプレッシャーは感じない。でも、万が一にもリンゼとレミリナに危険が及ばないように、細心の注意を払わなくては。
そんなことを思いながら、先に進んだ。
奥に進むにつれて、モンスターとの遭遇頻度が増してきたように思う。ゴブリン、オーガ、オークの三種類の亜人系モンスターが出てくのだが、今のところリンゼとレミリナの二人だけで対応できている。
レッドキャップや、それと同等の強さのオーガとオークの上位種ですら彼女たちは倒してしまった。
俺が戦ったレッドキャップは魔王覇気で強化されていて、尚且つ俺に英雄覇気も無かったからあんなに苦戦したんだろう。
やっぱり英雄覇気はチートスキルなんだなぁ、と感心せずにはいられない。
苦戦しなくても、出現するのはいずれもジェネラル級以上ばかりなので、大きい魔石がたっぷり手に入る。
俺は拾った魔石をアイテムボックスにしまいながら、二人の後について行くという、覚醒前の追放系主人公みたいなお仕事をこなしていた。
先行するリンゼとレミリナに置いて行かれないように、魔石を収納し終わると小走りで二人を追う。
「このダンジョン美味しいねー。調査が終わっても通おうか?」
「そうだね! バランセのおかげで、モンスターも楽に倒せるし!」
俺とリンゼは、はしゃいでいるが、レミリナは真面目な顔をしている。
「二人とも、気を抜かないで下さい。油断していると、思わぬ失敗をしてしまいますよ」
リンゼは「はいっ」とレミリナに敬礼して返す。俺も素直に「はーい」と返事した。
さらに進むと、ザラっとした嫌な感じが集まっているのを感じる。この先にたくさんのモンスターがいるな。
意識を前方に集中して探ると、ゴブリン、オーガ、オークの上位種が大勢いる広間があるようだ。いずれもかなりのプレッシャーの持ち主で、レッドキャップ級がゴロゴロいる。
あの数は、リンゼとレミリナの二人だけでは厳しいだろう。
三人で戦うにしても、乱戦になったら俺のガノタ系魔法に二人を巻き込んでしまう可能性もある。
帰るか? いや待て、俺なら一人で殲滅できる。ここで魔石を大量入手しておけば、しばらくは遊んで暮らせるだろう。
……やるか。
俺はリンゼとレミリナを呼び止める。
「この先に、強いモンスターが集まっている広間があるよ。私が一人でやるから、リンゼとレミリナはちょっと待ってて」
「でも!」「しかし……」と、二人は心配そうに俺を見る。
「平気だって! 本気出すからすぐに終わるよ! 私の魔法に巻き込まれないように、離れた所で隠れていて」
リンゼとレミリナは、少しだけ顔を見合わせていたが素直に従ってくれるようだ。
二人にプラネイトディフェンサーを配置し、俺一人で先に進む。
モンスターの集団が見えてきた。よーし、いっちょやりますか!!
「いけっ! ファンネル!!」
ファンネルを二十基射出し突撃させ、同時に俺自身も超加速して敵の集団の真ん中に飛び込む。
俺の高速移動で発生した衝撃波に巻き込まれた数匹が、錐揉み状に吹き飛んでいく。
モンスターどもは、突然現れた敵の姿に慌てているようだが、そこはさすがの上位種。すぐさま俺から距離をとり、態勢を整えて包囲する。
だが、俺と奴らの性能差はその程度では埋められない。頭上のファンネルを散開させ撃ちまくると、奴らの陣形は崩れ大混乱だ。
俺はツインバスターライフルを具現化させて、二つに分離しそれぞれを片手で持って、両腕を開きトリガーを引く。
その状態で広間の中央付近でローリングしてやると、ツインバスターライフルから発射された二筋の閃光がモンスターどもを次々なぎ倒す。
「近づかないでって、言ってるだろー!!」
気分が良くなってつい叫んでしまったが、近づける奴は一匹もいない。
鮮明なイメージで具現化されたツインバスターライフルによって、威力が大きく向上しているのが分かる。
中には耐える個体もいたが、そんな奴にはファンネルで寄ってたかって撃ち抜いて、止めを刺してやった。
ものの数分で辺りは静かになり、地面には大量の魔石が転がっていた。
ふぅ、魔力を一気に消費したせいか、疲労感があるな。
でもルナーナヒダ様が言ってたとおり、兵器を具現化させることによって、威力がかなり上がっていた。これなら、どんなモンスターが相手でも負ける気はしない。
戦闘音がおさまったからなのか、リンゼとレミリナが俺の所まで駆けてきた。
「大きな魔石がこんなに……。バランセの強さって、いつもながら半端ないよねー!」
リンゼは、広間に散らばっている魔石を見ながら、楽しそうに笑っている。レミリナは「本当です。底知れないですね」と驚いているようだ。
散らばっている魔石を手分けして回収していると、レミリナが俺を呼ぶ。
「見てください、あそこに階段があります」
レミリナが指差している方向を見ると、広間の隅に下に続く階段があった。奴ら、この階段を守っていたのか。
だがどうする? この先はもっと強いモンスターが出るだろう。俺は多分問題なく戦えるだろうけど、リンゼとレミリナには厳しいかもしれない。
考えていると、リンゼが俺に問う。
「バランセは、さっきの戦いで魔力を使い果たしたよね?」
「ん? まだ、余裕あるけど……」
魔力を一気に使ったので、疲労感はあったけどもう平気だ。多分さっきみたいな全力戦闘が、あと2~3回はできると思う。
「バランセって、魔力も性欲も底無しなんだねー」
リンゼにからかわれてしまったので、苦笑いを浮かべる。レミリナを見ると、真面目な顔をしていた。
「バランセがまだ戦えるのなら、もう少しだけ進んでみましょう。このダンジョンは何かおかしいです。その違和感の正体を、可能なら突き止めましょう」
「了解」
レミリナがやる気なのでつい返事してしまったけど、ヤバそうだったらすぐに引き返そう。
そんなことを思いながら、階段を下りていくのだった。
この強いプレッシャーはゴブリンジェネラル以上の強さだろう……。それにレッドキャップ級もいるな。
以前ゴブリンキングと戦った時よりも、俺のレベルは上がっているし、レミリナに剣技を指導してもらった。ついでにファンネルも練習して、精度と威力は上がっている。
レッドキャップ級と遭遇しても、俺は以前よりも楽に勝てるだろう。だが、リンゼとレミリナはあのレベルのモンスターに対応できるだろうか?
待てよ? 英雄覇気をオンにすれば、モンスターを弱体化しつつ、二人を強化できるはずだ。あのエロ勇者でもキング種を討伐できるんだし、ここは試してみるか。
「この先のモンスターの強さは、これまでと桁違いだから英雄覇気を使うね。でも危険を感じたらすぐに逃げよう」
リンゼとレミリナに向かってそう言うと「うん、分かった」「了解です」と、それぞれ頷いた。
少し進むと、人の気配を感じる。気配のある岩陰を覗くと、五人組のオッサンが隠れていた。三人は横になっており、二人は岩壁にもたれて座っている。全員怪我をしているようで、装備品は血で汚れていた。
「あなた達が蒼の夢ですか?」
レミリナが問うと、一人が「そうだ」と返事をした。
彼等に話を聞くと、この階層に下りてすぐにオーガ五匹に襲われて、なんとか撃退するも怪我をして動けなくなっていたらしい。
俺はアイテムボックスから水と食料、それに傷薬を取り出して渡す。ちょっと高級な傷薬なので、どうにか歩けるくらいまで回復したようだ。
俺達は、歩けるようになった彼等を階段の所まで連れて戻る。
「銀の彗星殿、ありがとうございます。この恩は一生忘れません」
「いえ、無事で何よりです。気を付けて帰って下さいね」
「はい。そちらもどうかご武運を!」
俺達は、蒼の夢のメンバーが階段を上がっていくのを見送った。
彼等はベテランらしいし、上層のペギィくらいなら自力で何とかするだろう。
さて、一番の目標は達成した。これからどうするか、リンゼとレミリナに聞いてみた。
「一応、任務完了だね。未踏領域の調査もやる?」
「ペギィの相手だけじゃ物足りないよ! もう少しだけ進んでみよう」
「私もリンゼに賛成です」
二人はやる気のようなので、探索を続けることにした。
奥に進んでいくと、ゴブリンジェネラルが二匹出現。しかし、俺の英雄覇気のおかげで弱体化しており、リンゼとレミリナは余裕で一匹づつ倒した。
さらに先に進むと、豚顔の亜人系モンスターが二匹いる。背丈が3mくらいありそうだ。
「あれはオーク? 大きいな……」
俺が呟くとレミリナが答える。
「大きさからすると、オークジェネラルですね。ゴブリンジェネラルより強いです」
「強いの? 私がやろうか?」
俺は心配になったので、前に出ようとするとリンゼが制止する。
「バランセは見ていて! 私とレミリナで倒すから!」
リンゼは天駆で加速し飛び出すと、瞬く間にオークジェネラルに接近した。そしてすれ違いざまに剣を一閃。オークジェネラルの首を斬り落とした。
おお! リンゼ 強い! 俺が感心していると、レミリナも剣を構えていた。
「次は私が行きます!」
レミリナは淀みない動作でオークジェネラルと切り結び、隙を見つけては斬撃を浴びせる。
それを数回繰り返すと、オークジェネラルは姿勢を崩した。そして止めと言わんばかりに、気迫のこもった突きを放ち、オークジェネラルの胸に風穴を開けた。
英雄覇気の影響で、モンスターが弱体化しているんだろうけど二人とも強いなぁ。
余裕でオークジェネラルを倒したはずのレミリナは、浮かない顔をしている。
「妙ですね、通常のダンジョンでは、異なる種類の亜人系モンスターが同じ階層に出るはずはないのですが……」
騎士であるレミリナは、モンスターとの戦闘経験や知識が多い。そんな彼女の違和感ってフラグじゃないのか? あえて危険を冒して、フラグ回収することもないだろう。
「そうなんだ。何か異変でも起こっているのかもね。念のため一旦帰る?」
「いえ、バランセの英雄覇気があるので私たちでも戦えますが、他の冒険者がここに来たら、かなりの手練れでも危険です。もう少し調査しましょう」
「分かった。繰り返すけど、危険を感じたらすぐに帰ろうね」
「はい」と頷くレミリナは、険しい表情をしている。
今のところ、俺の脅威になりそうな強さのプレッシャーは感じない。でも、万が一にもリンゼとレミリナに危険が及ばないように、細心の注意を払わなくては。
そんなことを思いながら、先に進んだ。
奥に進むにつれて、モンスターとの遭遇頻度が増してきたように思う。ゴブリン、オーガ、オークの三種類の亜人系モンスターが出てくのだが、今のところリンゼとレミリナの二人だけで対応できている。
レッドキャップや、それと同等の強さのオーガとオークの上位種ですら彼女たちは倒してしまった。
俺が戦ったレッドキャップは魔王覇気で強化されていて、尚且つ俺に英雄覇気も無かったからあんなに苦戦したんだろう。
やっぱり英雄覇気はチートスキルなんだなぁ、と感心せずにはいられない。
苦戦しなくても、出現するのはいずれもジェネラル級以上ばかりなので、大きい魔石がたっぷり手に入る。
俺は拾った魔石をアイテムボックスにしまいながら、二人の後について行くという、覚醒前の追放系主人公みたいなお仕事をこなしていた。
先行するリンゼとレミリナに置いて行かれないように、魔石を収納し終わると小走りで二人を追う。
「このダンジョン美味しいねー。調査が終わっても通おうか?」
「そうだね! バランセのおかげで、モンスターも楽に倒せるし!」
俺とリンゼは、はしゃいでいるが、レミリナは真面目な顔をしている。
「二人とも、気を抜かないで下さい。油断していると、思わぬ失敗をしてしまいますよ」
リンゼは「はいっ」とレミリナに敬礼して返す。俺も素直に「はーい」と返事した。
さらに進むと、ザラっとした嫌な感じが集まっているのを感じる。この先にたくさんのモンスターがいるな。
意識を前方に集中して探ると、ゴブリン、オーガ、オークの上位種が大勢いる広間があるようだ。いずれもかなりのプレッシャーの持ち主で、レッドキャップ級がゴロゴロいる。
あの数は、リンゼとレミリナの二人だけでは厳しいだろう。
三人で戦うにしても、乱戦になったら俺のガノタ系魔法に二人を巻き込んでしまう可能性もある。
帰るか? いや待て、俺なら一人で殲滅できる。ここで魔石を大量入手しておけば、しばらくは遊んで暮らせるだろう。
……やるか。
俺はリンゼとレミリナを呼び止める。
「この先に、強いモンスターが集まっている広間があるよ。私が一人でやるから、リンゼとレミリナはちょっと待ってて」
「でも!」「しかし……」と、二人は心配そうに俺を見る。
「平気だって! 本気出すからすぐに終わるよ! 私の魔法に巻き込まれないように、離れた所で隠れていて」
リンゼとレミリナは、少しだけ顔を見合わせていたが素直に従ってくれるようだ。
二人にプラネイトディフェンサーを配置し、俺一人で先に進む。
モンスターの集団が見えてきた。よーし、いっちょやりますか!!
「いけっ! ファンネル!!」
ファンネルを二十基射出し突撃させ、同時に俺自身も超加速して敵の集団の真ん中に飛び込む。
俺の高速移動で発生した衝撃波に巻き込まれた数匹が、錐揉み状に吹き飛んでいく。
モンスターどもは、突然現れた敵の姿に慌てているようだが、そこはさすがの上位種。すぐさま俺から距離をとり、態勢を整えて包囲する。
だが、俺と奴らの性能差はその程度では埋められない。頭上のファンネルを散開させ撃ちまくると、奴らの陣形は崩れ大混乱だ。
俺はツインバスターライフルを具現化させて、二つに分離しそれぞれを片手で持って、両腕を開きトリガーを引く。
その状態で広間の中央付近でローリングしてやると、ツインバスターライフルから発射された二筋の閃光がモンスターどもを次々なぎ倒す。
「近づかないでって、言ってるだろー!!」
気分が良くなってつい叫んでしまったが、近づける奴は一匹もいない。
鮮明なイメージで具現化されたツインバスターライフルによって、威力が大きく向上しているのが分かる。
中には耐える個体もいたが、そんな奴にはファンネルで寄ってたかって撃ち抜いて、止めを刺してやった。
ものの数分で辺りは静かになり、地面には大量の魔石が転がっていた。
ふぅ、魔力を一気に消費したせいか、疲労感があるな。
でもルナーナヒダ様が言ってたとおり、兵器を具現化させることによって、威力がかなり上がっていた。これなら、どんなモンスターが相手でも負ける気はしない。
戦闘音がおさまったからなのか、リンゼとレミリナが俺の所まで駆けてきた。
「大きな魔石がこんなに……。バランセの強さって、いつもながら半端ないよねー!」
リンゼは、広間に散らばっている魔石を見ながら、楽しそうに笑っている。レミリナは「本当です。底知れないですね」と驚いているようだ。
散らばっている魔石を手分けして回収していると、レミリナが俺を呼ぶ。
「見てください、あそこに階段があります」
レミリナが指差している方向を見ると、広間の隅に下に続く階段があった。奴ら、この階段を守っていたのか。
だがどうする? この先はもっと強いモンスターが出るだろう。俺は多分問題なく戦えるだろうけど、リンゼとレミリナには厳しいかもしれない。
考えていると、リンゼが俺に問う。
「バランセは、さっきの戦いで魔力を使い果たしたよね?」
「ん? まだ、余裕あるけど……」
魔力を一気に使ったので、疲労感はあったけどもう平気だ。多分さっきみたいな全力戦闘が、あと2~3回はできると思う。
「バランセって、魔力も性欲も底無しなんだねー」
リンゼにからかわれてしまったので、苦笑いを浮かべる。レミリナを見ると、真面目な顔をしていた。
「バランセがまだ戦えるのなら、もう少しだけ進んでみましょう。このダンジョンは何かおかしいです。その違和感の正体を、可能なら突き止めましょう」
「了解」
レミリナがやる気なのでつい返事してしまったけど、ヤバそうだったらすぐに引き返そう。
そんなことを思いながら、階段を下りていくのだった。
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皆様ありがとうございます😘
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めっちゃ感謝を込めて💕
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