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- 30章 -
- 窓から槍 -
しおりを挟む「あ、あと観葉植物はヤシ系は使わない様にお願いしたいです。レモンライムとかサンセベリアみたいなのが良いですね。トネリコを所々使って、少しふわっとさせるのも良いかもしれません」
「承知いたしました。お詳しいんですね、観葉植物」
「好きなんです、観葉植物!自宅にもいくつか置いてあるんですよ!あ、あとモンステラも良いですね!ストレリチアニコ…ライ…とか、も…」
喋りながらもスラスラと動かしていた依頼者の手が不意に止まり、何事かと目を向けると、苦虫を噛み潰したような、なんとも言えない表情を浮かべていた。
「…どうかしました?」
「いえ、ただ…追跡者に始末されてれば良いなと」
「はい?」
「ラートム…」
「えっと…」
「いえ、お気になさらず」
「……はぁ」
彼の依頼を受けた回数は少なくはない。その度に、時折こう言った良く分からない会話が投下される。理解できず対応に困るが、だからと言って気分を害している様子もなく、そこまで作業が中断されるわけでもない。
なので、申し訳ない気持ちは存分にあるけれど、この人はこういう人なんだと納得するようにしていた。
一応、後で調べてみようと思うのだが、仕事が終わる頃には大抵忘れてしまっており、それが実行された事は1度もない…
「大体のイメージはこんな感じで」
「綺麗ですね。承知いたしました。では使う花はー…」
大体のイメージが掴めた所で、良く使われる花や取り扱いのある花をまとめたファイル、図鑑やWeb等を駆使しながら、あやふやな部分を1つ1つ埋めていく。
こうして自分達のイメージが、絵と言う形でどんどんと形になっていくのは、見ていて気持ちが良いものかある。
「では、メインは紫のデルフィニウム、青、紫系統の矢車菊やダリア等でグラデーション作りながら花束っぽくして、オンシジュームでメリハリ出しましょう」
「良いですねっ、凄く綺麗です!ダリアはなしだなって思ってましたけど、一言でダリアと言ってもこんなに種類があるなんて…花はあまり明るくないので、お任せして良かったです!」
「…ありがとうございます」
依頼者の嬉しそうな笑顔につられて、自然と自分の顔にも笑顔が浮かぶのが分かる。メインに一本立ちのデルフォニウムを使うのが決まった時、花束っぽくしたいと言う言葉から浮かんだイメージにダリアは必然で…
しかし、ダリアはなしだと言っていたし…と悩んだ結果、駄目元で数種類のダリアを見せた所、結果的に喜んで貰らえるものが出来た。
こうして今までの知識や経験で依頼者を満足させられた瞬間と言うのは、仕事への手応えを感じ、俄然やる気も出る。
「でも、なにか足りないんですよねぇー…」
「なにか?」
「流れが、足りない気がして」
「…確かに」
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