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第一章 逃走と合流
第10話 洞窟(5)
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そして俺は気がつくと、暗い洞窟に戻っていた。目の前には例の金属製の脱出用ハッチ。
「で? どうするんだ、これ?」
そう言って見ていると、ガチャと大きな機械音が鳴り、ハッチが大きくパカンと開いた。
「これは、入れってことだよな」
俺は照明の魔法でハッチの先を照らし、首を突っ込んで中に何もない事を確認する。そして、恐る恐るその中に通じている梯子を降りていった。すると、先ほどと同じ機械的な声で、「次回からはハッチに手を触れれば、自動的に開きます」と言われる。
「なるほど、この声ってガイドみたいなものか」
「はい」
「わっ! びっくりした!!」
俺は急に返事が来たので、びっくりする。簡単な返事くらいなら出来るみたいだ。
「中々広いな」
魔法で照らされた中の様子は、思ったよりも広い空間だった。大体20メートル四方ぐらいの部屋となっており、岩肌はかなり滑らかに削られている。
「ここがダンジョンに入って最初の部屋となります。準備が出来たら外と繋げますのでおっしゃってください。なお、14日以内に繋げないと」
「繋げないとなんだ?」
「強制的に外とつながりますので注意してください」
「あー、それは大変だ」
なるほど、ここがダンジョンの最初の部屋となるのか……しかし、何にもないな。
そう思っていると、部屋の隅に見慣れたドアがあるのが見えた。
「このドアは……俺んちのアパートのドアだ」
そう、俺が転生前に住んでいた六畳一間のアパート、その入り口と同じドアがそこにあった。
かなり、懐かしい。転生した、あの日以来だ。
「このドアは管理者だけが、認識することができます」
「なるほど、俺にしか見えないのか」
「はい。例外は神様だけです」
「なるほどな」
そりゃ、あんな奴でも一応、神様だもんな。そんな事を思いながら、昔懐かしいそのドアを開ける。
するとそこには、入ってすぐ右側にあるはずのキッチンや風呂などは無く、直接、畳の部屋へとつながっていた。
「靴は……持ってあがるしか無いか」
俺はさすがに畳の上を靴であがるのは抵抗があったので、靴を手に持って部屋にあがる。
その部屋には俺が使用していたノートパソコン、テーブルがあった。と言うか、それしかなかった。
「他の物はどうしたんだろう」
「ダンジョンの管理に必要なものだけ、揃えさせてもらいました」
「うーん、でも靴を置くところが」
俺が靴を手に困っていると、どこからか靴がちょうど入るような、木の箱が畳の上に落ちてきた。
「おー、ありがとな」
返事が無い。
「まあ、俺のわがままだしな」
俺は反応が無い事を少し残念に思いつつも、箱を部屋の隅に置きと靴を入れる。ちょうどいいサイズだ。
そして、周囲を見渡す。
うーん、なんか変だと思ったら、押し入れも窓も無いから全面壁なんだ。自分の部屋なのに、違う部屋みたいな変な気分である。
「よし、このパソコンを動かせばいいんだな」
俺はそんな部屋の真ん中に行くと、テーブルの上のパソコンの前にあぐらをかいて座る。
そして、いつも使っていたようにそれを開き、おもむろに電源ボタンを押した。
すると画面にいきなり四角い空間が映る。
「えっ、起動画面とかないんだ……」
いきなり映った四角い空間。その角には何か青い点が映っていた。いや、その点は四角い空間の少し外にいる。その点を見つめていると、ややあって例の女性の声が聞こえてきた。
「その青い点が今、貴方のいる場所です」
そうか、ならこの四角い空間がさっきの部屋なんだ。そう思って、少しマウスを操作してみる。んっ、転生して手が小さくなったからか、前と少し感覚が違くて動かしづらい。そんな違和感にとらわれながらも、青い点をクリックしてみた。
すると、ピッと言う音が鳴り、そこには「アレー 19歳」と表示された。
「で? どうするんだ、これ?」
そう言って見ていると、ガチャと大きな機械音が鳴り、ハッチが大きくパカンと開いた。
「これは、入れってことだよな」
俺は照明の魔法でハッチの先を照らし、首を突っ込んで中に何もない事を確認する。そして、恐る恐るその中に通じている梯子を降りていった。すると、先ほどと同じ機械的な声で、「次回からはハッチに手を触れれば、自動的に開きます」と言われる。
「なるほど、この声ってガイドみたいなものか」
「はい」
「わっ! びっくりした!!」
俺は急に返事が来たので、びっくりする。簡単な返事くらいなら出来るみたいだ。
「中々広いな」
魔法で照らされた中の様子は、思ったよりも広い空間だった。大体20メートル四方ぐらいの部屋となっており、岩肌はかなり滑らかに削られている。
「ここがダンジョンに入って最初の部屋となります。準備が出来たら外と繋げますのでおっしゃってください。なお、14日以内に繋げないと」
「繋げないとなんだ?」
「強制的に外とつながりますので注意してください」
「あー、それは大変だ」
なるほど、ここがダンジョンの最初の部屋となるのか……しかし、何にもないな。
そう思っていると、部屋の隅に見慣れたドアがあるのが見えた。
「このドアは……俺んちのアパートのドアだ」
そう、俺が転生前に住んでいた六畳一間のアパート、その入り口と同じドアがそこにあった。
かなり、懐かしい。転生した、あの日以来だ。
「このドアは管理者だけが、認識することができます」
「なるほど、俺にしか見えないのか」
「はい。例外は神様だけです」
「なるほどな」
そりゃ、あんな奴でも一応、神様だもんな。そんな事を思いながら、昔懐かしいそのドアを開ける。
するとそこには、入ってすぐ右側にあるはずのキッチンや風呂などは無く、直接、畳の部屋へとつながっていた。
「靴は……持ってあがるしか無いか」
俺はさすがに畳の上を靴であがるのは抵抗があったので、靴を手に持って部屋にあがる。
その部屋には俺が使用していたノートパソコン、テーブルがあった。と言うか、それしかなかった。
「他の物はどうしたんだろう」
「ダンジョンの管理に必要なものだけ、揃えさせてもらいました」
「うーん、でも靴を置くところが」
俺が靴を手に困っていると、どこからか靴がちょうど入るような、木の箱が畳の上に落ちてきた。
「おー、ありがとな」
返事が無い。
「まあ、俺のわがままだしな」
俺は反応が無い事を少し残念に思いつつも、箱を部屋の隅に置きと靴を入れる。ちょうどいいサイズだ。
そして、周囲を見渡す。
うーん、なんか変だと思ったら、押し入れも窓も無いから全面壁なんだ。自分の部屋なのに、違う部屋みたいな変な気分である。
「よし、このパソコンを動かせばいいんだな」
俺はそんな部屋の真ん中に行くと、テーブルの上のパソコンの前にあぐらをかいて座る。
そして、いつも使っていたようにそれを開き、おもむろに電源ボタンを押した。
すると画面にいきなり四角い空間が映る。
「えっ、起動画面とかないんだ……」
いきなり映った四角い空間。その角には何か青い点が映っていた。いや、その点は四角い空間の少し外にいる。その点を見つめていると、ややあって例の女性の声が聞こえてきた。
「その青い点が今、貴方のいる場所です」
そうか、ならこの四角い空間がさっきの部屋なんだ。そう思って、少しマウスを操作してみる。んっ、転生して手が小さくなったからか、前と少し感覚が違くて動かしづらい。そんな違和感にとらわれながらも、青い点をクリックしてみた。
すると、ピッと言う音が鳴り、そこには「アレー 19歳」と表示された。
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