美少女エルフ隊長へ転生した俺は、無能な指揮官に愛想がついたので軍隊を抜けました ~可愛い部下たちとスキル【ダンジョン管理】で生きのびます~

二野宮伊織

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第一章 逃走と合流

第27話 ラフランとアレー(2)

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「おい、何かあったか」

 男の太い声で目を覚ました。どうも近くの街道で誰か話をしているらしい。
 少し離れた場所で寝ていた俺は、草むらもあり彼らには見つかっていないようだった。

「はい。これだけ買ってきました」

「おー、これで十分だ」

 声のするほうへとそっと近づき、草むらのかげから様子をうかがう。
 男が三人、酒と魚や肉を手に持って話していた。

「あいつら、結構金持ってたな」

「そうですね。四人のうち、一人は取り逃がしましたが」

「あー、あいつだけ妙に強かったな。冒険者か?」

「そうかもしれません」

 俺はその会話から山賊だと思った。
 エリーたち四人なら、簡単には山賊なんかに捕まらないはずだが……万が一の場合もあるのか。
 そう思って彼らの話を聞いていると、後ろから魚を持ったラフランが現れた。

「あっ、たいちょ……うっ」

 声をかけようとしたラフランの口をふさいで、草むらへと引きずり込む。見つからないようにだ。

「あれ? 今、声がしたような?」

 三人の中で一番年上と思われる人物がこっちに近づいてくる。
 それに合わせて他の二人もこっちをのぞき込んだ。

「誰もいないようですぜ」

「ああ、動物か何かか」

「たぶん、そうですよ」

「こんなところに人がいるわけないな」

「そうですよ」

 三人はそんな会話をすると、すぐさま元の道の方へと戻っていく。

「はあ、危なかった」

 男たちが少し離れてくれた事で、ラフランの口を押さえていた手を離した。
 すると、相手に聞こえないようにラフランが俺の耳元でささやく。

「あいつら、なんなんですか?」

「たぶん、山賊だ」

「山賊ですか……さっきのやつとは違いますね」

「ああ、仲間かもな」

 草むらのかげから、会話の続きを聞いていると気になる言葉が聞こえる。

「女四人で冒険者とか、よくやるな」

「そうだよな。でも、逃げた奴がギルドに報告されると面倒ですぜ」

「あー、そうだな」

 そう言って、男たちはこの後をどうするか相談し始める。

「隊長、女四人って」

「エリーたちかもな」

「でも、あんな奴らにやられます?」

「でも仲間に強いやつがいるのかもしれないしな」

「あー、その可能性もありますね……さすが、隊長」

「あいつらの跡をつけてみるか」

「はい」

 俺たち二人がそんな事を話しているうちに、男たちも話がまとまったようだった。

「じゃ、今夜、残りの三人はやっちまおう」

「そうですね。どこか山の中にでも埋めちまいましょう」

 そう言うと、男たちは今夜の宴会の話をしながら去っていく。
 俺たちは急いで荷物を草むらに隠した後、三人の跡を追う。見つからないように注意した。

 ☆

「ずいぶん、山の中に入ってくんだな」

「そうですね」

 男たちはかなり山奥へと足を進める。たぶん、地元の者でもめったに来ないであろう場所。そこにアジトと言えそうな建物があった。
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