1 / 3
「確率」
しおりを挟む月が綺麗な夜だった。
「ねぇねぇ、近くの公園に夜桜見にいこうよ!」
バイト帰りの疲れた俺に、紗良は目をキラキラ輝かせてそう言った。
「えー…疲れたから明日じゃ駄目か?」
「ダメーっ!今日じゃないとだめなの!」
「えー…はぁ…分かったよ…」
「やったー!」
「バイトで汗かいたから着替えてくる」
「はーい!」
早く行こうと言わんばかりの彼女を待たせないようなるべく急いで着替え、2人でアパートを出た。
彼女の小さな歩幅に合わせながら、2人で公園に向かう。途中でジュースを買うためにコンビニに寄った。優柔不断な自分とは違って、彼女はもう買うものを決めていたのか、すぐにジュースを選ぶと、「はやくはやくっ」と駆け足で僕を煽る。
会計を済ませ、公園に向けてまた歩き出す。
「ねぇねぇ、地球上で人が出会う確率って知ってる?」
紗良は歩いている途中、僕に聞いた。
「凄く低い確率ってことは知ってるけど、詳しい数字は知らないなぁ」
「0.00000416666%だよ」
彼女はさらりと自慢げな表情で言った。
「れーてんれーれー…?」
「0.00000416666%」
「ふーん。紗良って、どっからそんな情報手に入れてるんだよ」
「ふっふーん。さぁねぇー?」
そう言うと、彼女は駆け出した。その彼女の小さな背中を見ると、なんだか少し寂しくなった。
「ちょ、待って!」
追いかけた先に彼女は立ち止まって上を見ていた。つられて僕も上を見ると強く輝く光が、満開に咲く桜をきらきらと照らしていた。
「うわぁー!すげぇ綺麗だな!」
そう僕は言い、彼女を見ると、彼女は泣いていた。声ひとつあげず、ただ、静かに泣いていた。
なぜ、こんなことを思い出すのか。
僕は目を強く瞑り、無理やり夢の中へと沈んでいった。
to be continuedー
0
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ニュクスの眠りに野花を添えて
獅子座文庫
恋愛
過去のトラウマで人前で声が出せなくなった伯爵令嬢ラニエラ・アンシルヴィアは辺境の男爵、オルテガ・ルファンフォーレとの政略結婚が決まってしまった。
「ーーあなたの幸せが此処にない事を、俺は知っています」
初めて会った美しい教会で、自身の為に一番美しく着飾った妻になる女の、真っ白なヴェールを捲る男は言う。
「それでもあなたには此処にいてもらうしかない」
誓いの口づけを拒んだその口で、そんな残酷なことを囁くオルテガ。
そしてラニエラの憂鬱な結婚生活が始まったーーーー。
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる