人食い熊、襲来！

出発

「しかし、そんな危険な事、いったい誰がやるんだ？」
消防団長の問いに剛田さんは
「少数精鋭でいくしかないな。特に射撃が上手い人間が3人。
それ以上の人数だと奴は警戒して出てこないだろう。
M村猟友会会長として、俺が行く。後の２人は・・・・」
「俺が行きます」とっさに俺は声を上げた。
「M村駐在として、討伐に同行させてください」
「田島巡査、これは非常に危険なんだ。命を落とすかもしれないんだぞ」
「承知の上でお願いします！ 自分は警察官でありながら、目の前で
警備員さんがクマに殺されるのを見ていることしかできませんでした。
俺もカタをつけたいんです。お願いします！」
俺は必死で頼み、頭を深々と下げた。
剛田さんはふうっとため息をつき、仕方ないというように
「分かった。田島巡査も同行してくれ」と言ってくれた。
そして「あとの一人は、射撃の上手い下塚だな」と呟いた。
「よし。討伐は君らに任せよう。くれぐれも気を付けてくれ」
久瀬村長が真剣な表情でこちらを見ながら言った。

翌朝、下塚のジープに乗り込んだ俺たちは、人食い熊討伐のため、
山に入って行った。