人食い熊、襲来!

Mr.ビギニング

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決戦 その2

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「撃て!」
剛田さんが銃を向けながら叫び、室内で二丁の銃が火を噴いた。
ダァン! ダァン!

クマの右腕からパッと鮮血が散った。
「ヲオオオオ・・・」クマは苦痛に顔をゆがめて唸ると、
窓から頭と腕をひっこめ、夜の闇に姿を消した。
「手ごたえはあったけど、致命傷にはなってないな」と下塚。
「血の跡が雪の上に残ってるはずだ。日が昇るのを待って、血の跡を辿ろう」

翌朝、剛田さんには猟師小屋に残ってもらい、俺と下塚で雪の上に残る
血の跡を追うことにした。
「気をつけろよ。相手は頭がいい。用心するんだ」
と言い、剛田さんは俺たちを送り出した。血のあとは緩く右側にカーブしながら、
森の奥へと消えて行っている。
この先に、あのクマがいる。

俺たち二人は会話を交わすこともなく、黙々と追跡を続けていた。
木々の間を抜けながら、やはり跡は右にカーブしている。
追跡を始めて一時間が経った頃、下塚がふいにつぶやいた。
「田島のニイさん、もしかしてこの血痕、俺たちの猟師小屋のほうに
向かってないかな」
「はあ? 何言ってんだ。んな訳ねえだろ。・・・・・あ」
そう。この血の跡はずーっと右にカーブしている。
このまま右にずっと曲がって行ったら、Uターンしてしまうだろう。そして
その先にあるのは・・・・・

「奴はUターンして猟師小屋に戻って行ったんだ。剛田さんが危ない!」
俺と下塚は顔を見合わせ、雪に足を取られながら、猟師小屋に向かって
走り出した。

小屋まであと数百メートルというところまで戻ってきたとき、
小屋のほうから銃声が数発、聞こえてきた。

遅かった!
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