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「――さて、公爵様。結婚式の準備も整いましたが、その前にやるべきことがあります」
ある日の午後。
お祭り騒ぎが一段落し、静けさを取り戻した書斎で、私は羊皮紙をテーブルに広げた。
「……何だ、それは。またコンサルタント契約か?」
ギルバート様が、少し警戒したように眉をひそめる。
彼は最近、私が紙とペンを持つと「また誰かから金をむしり取るのか」と身構える癖がついていた。失礼な話だ。
「違います。これは、私たち二人のための『婚姻生活協定書』です」
「きょうていしょ……?」
「はい。円満な夫婦生活を維持するためには、事前のルール作りが不可欠です。感情論ではなく、明文化された契約によってトラブルを回避する。これが私の流儀です」
私は眼鏡(伊達)をかけ直し、ペンを握った。
「では、第一条から読み上げます。異論があればその場で申し立ててください」
「……わかった。お手柔らかに頼む」
ギルバート様は諦めたように椅子に座り直した。
「【第一条:睡眠の不可侵条約】」
私は厳かに宣言した。
「『妻(メアモリ)の朝の睡眠は、何人たりとも妨げてはならない。ただし、火災、地震、魔獣の襲撃などの緊急事態はこの限りではない』」
「……」
「これに関しては、譲歩できません。朝、布団の中でまどろむ時間は、私の人生における最重要リソースです。『おはようのキス』などで起こすのも禁止です。やるなら寝ている間にこっそりやってください」
「……こっそりやるのは犯罪っぽくないか?」
「私が許可します。とにかく、安眠妨害は重罪です。違反した場合、夕食のおかずが一品減ります」
「厳しいな……。わかった、承認しよう。私も朝は弱い方だ」
「よし。交渉成立」
私はサラサラと署名欄にチェックを入れた。
「【第二条:業務分掌の明確化】」
「『領地の経営に関する書類作成、予算管理、対外折衝は妻が担当する。対して、夫(ギルバート)は土木工事、魔獣討伐、重い荷物の運搬、および高所作業を担当する』」
「……完全に私が肉体労働担当だな」
「適材適所です。あなたの魔力は物理的な干渉力に優れています。対して、私の魔力は『計算』と『論理』に特化しています」
私はギルバート様の腕(袖の上からでもわかる筋肉)をツンと突いた。
「それに、汗を流して働くあなたの姿は……その、とても魅力的ですから」
「……っ」
不意打ちで褒めると、ギルバート様はわかりやすく狼狽える。
「そ、そうか。なら、もっと働こう。山一つくらいなら更地にしてみせる」
「ほどほどにお願いします。地形が変わると地図を書き直すのが大変ですので」
「わかった」
「【第三条:健康管理の義務】」
「『互いに健康診断を定期的に受診し、過労死ラインを超える労働は禁止とする。また、週に一度は必ず二人で温泉に入り、心身のメンテナンスを行うこと』」
「温泉は……一緒にか?」
「はい。背中の流し合いっこは、効率的なコミュニケーションであり、スキンシップです。恥ずかしがっている場合ではありません」
「……努力する。だが、湯気で前が見えないように設定させてくれ」
「許可します。では、以上三点。これで契約締結としたいのですが……」
私はペンを置こうとした。
しかし、ギルバート様が私の手を止めた。
「待て、メアモリ」
「はい? 何か不備が?」
「不備ではないが……追加したい条項がある」
彼は、少し言いにくそうに視線を泳がせ、それから意を決したように私を見つめた。
「私の希望も、入れてもらえるんだろうな?」
「もちろんです。対等なパートナーシップですから。どうぞ、何なりと」
私は新しい羊皮紙を用意した。
「掃除の頻度ですか? それとも食事のメニューについて?」
「いや、違う」
彼は立ち上がり、テーブル越しに身を乗り出した。
その顔が、近い。
アイスブルーの瞳が、至近距離で私を捕らえる。
「【第四条:愛情表現の義務化】」
「……は?」
私はペンを取り落としそうになった。
「『夫は妻に対し、毎日欠かさず愛を囁き、抱擁すること。また、妻もこれに対し、可能な限り誠実に応えること』」
「……」
「……」
沈黙。
書斎の空気が、急激に糖度を増していく。
「あ、あの……公爵様?」
「どうした。君は『明文化された契約』が好きなんだろう? なら、これも明文化しておくべきだ」
彼は真顔だった。
「私は不器用だ。放っておくと、研究や作業に没頭して、君を放置してしまうかもしれない。だから、これを『義務』として課してほしい」
「義務って……」
「『おはよう、愛している』。『おやすみ、愛している』。……これをタスクとして処理する。そうすれば、君も寂しくないだろう?」
彼は、私の手を取り、指先に唇を寄せた。
「それとも……私の愛の言葉は、不要か?」
上目遣い。
反則だ。この絶世の美形に、そんな子犬のような目で見つめられて、「不要です」と言える人間がこの世にいるだろうか。
私の心拍数が、またしても警告音を鳴らし始めた。
「……ふ、不要では……ありませんが……」
「なら、承認だな?」
「しかし、毎日というのは……その、慣れていないので、心臓への負担が……」
「慣れろ。リハビリだと思えばいい」
彼はニッコリと笑った。
悪魔的だ。この人、実は私より一枚上手なのではないだろうか。
「……わかりました。第四条、追加します」
私は震える手で書き加えた。
文字が少し歪んでしまったのは、動揺のせいだ。
「よし。では早速、本日のノルマを達成しよう」
「えっ、今ですか?」
「契約は即時発効だ」
彼はテーブルを回り込み、私を椅子の背もたれごと抱きしめた。
「メアモリ。……愛している。君が私の妻になってくれて、本当に嬉しい」
耳元での低音ボイス。
吐息がかかる距離。
温かい体温。
「ふぁ……」
私は変な声を出して、茹でダコのように真っ赤になった。
事務処理能力も、計算高さも、全て吹き飛ぶ破壊力。
「……こ、公爵様……いえ、ギルバート様……」
「なんだ?」
「……私も……です」
蚊の鳴くような声で答えるのが精一杯だった。
「聞こえないな。契約違反だぞ?」
「……っ! 私も、愛しています! これで満足ですか!?」
私が半ばヤケクソで叫ぶと、彼は満足げに頷いた。
「ああ。大変よくできました」
彼は私の頬にキスを落とし、離れた。
「……心臓が持ちません」
私は机に突っ伏した。
「これも訓練だ。新婚生活は、戦場だからな」
彼は楽しそうに笑い、私の頭を撫でた。
その時。
ガラッ!
窓の外から、物音がした。
「うわぁぁぁぁ! 見たくない! 私はこんなものを見たくないぞぉぉぉ!」
聞き覚えのある、情けない悲鳴。
見ると、窓の外で庭掃除をしていたクラーク(見習い)が、箒を抱えて耳を塞ぎ、のたうち回っていた。
「な、なんだあの甘い空間は! 砂糖を吐きそうだ! 私の知っている冷徹なメアモリじゃない! あんな可愛い声、聞いたことがないぞ!」
「……クラーク殿下」
私は一瞬で冷静になり、眼鏡を光らせた。
「盗み聞きとは、良い趣味ですね。休憩時間はまだですよ?」
「ち、違う! 掃除をしてたら聞こえてしまったんだ! 『愛してる』とか『私もです』とか! くそぉぉぉ! なんで私は馬糞まみれなのに、あいつらはイチャイチャしてるんだ!」
「それが『勝者』と『敗者』の違いです」
私は窓を開け放ち、冷酷に見下ろした。
「悔しかったら、早く仕事を終わらせなさい。今日のノルマは『馬小屋の屋根の修理』ですよ」
「鬼! 悪魔! バカップル!」
クラークは泣きながら走り去っていった。
「……騒がしい奴だ」
ギルバート様が苦笑する。
「ええ。でも、おかげで冷静さを取り戻せました」
私は咳払いをして、契約書を筒に入れた。
「では、この協定書は、寝室の壁に貼っておきます。毎朝、確認できるように」
「……恥ずかしいから、もっと目立たない場所にしてくれないか?」
「ダメです。契約は絶対です」
こうして、ドラグニル公爵家の「新婚生活ルール」は制定された。
第一条から第三条までは合理的だが、第四条だけが異様に浮いている不思議な契約書。
それが、私たちの愛の証となるのだった。
ある日の午後。
お祭り騒ぎが一段落し、静けさを取り戻した書斎で、私は羊皮紙をテーブルに広げた。
「……何だ、それは。またコンサルタント契約か?」
ギルバート様が、少し警戒したように眉をひそめる。
彼は最近、私が紙とペンを持つと「また誰かから金をむしり取るのか」と身構える癖がついていた。失礼な話だ。
「違います。これは、私たち二人のための『婚姻生活協定書』です」
「きょうていしょ……?」
「はい。円満な夫婦生活を維持するためには、事前のルール作りが不可欠です。感情論ではなく、明文化された契約によってトラブルを回避する。これが私の流儀です」
私は眼鏡(伊達)をかけ直し、ペンを握った。
「では、第一条から読み上げます。異論があればその場で申し立ててください」
「……わかった。お手柔らかに頼む」
ギルバート様は諦めたように椅子に座り直した。
「【第一条:睡眠の不可侵条約】」
私は厳かに宣言した。
「『妻(メアモリ)の朝の睡眠は、何人たりとも妨げてはならない。ただし、火災、地震、魔獣の襲撃などの緊急事態はこの限りではない』」
「……」
「これに関しては、譲歩できません。朝、布団の中でまどろむ時間は、私の人生における最重要リソースです。『おはようのキス』などで起こすのも禁止です。やるなら寝ている間にこっそりやってください」
「……こっそりやるのは犯罪っぽくないか?」
「私が許可します。とにかく、安眠妨害は重罪です。違反した場合、夕食のおかずが一品減ります」
「厳しいな……。わかった、承認しよう。私も朝は弱い方だ」
「よし。交渉成立」
私はサラサラと署名欄にチェックを入れた。
「【第二条:業務分掌の明確化】」
「『領地の経営に関する書類作成、予算管理、対外折衝は妻が担当する。対して、夫(ギルバート)は土木工事、魔獣討伐、重い荷物の運搬、および高所作業を担当する』」
「……完全に私が肉体労働担当だな」
「適材適所です。あなたの魔力は物理的な干渉力に優れています。対して、私の魔力は『計算』と『論理』に特化しています」
私はギルバート様の腕(袖の上からでもわかる筋肉)をツンと突いた。
「それに、汗を流して働くあなたの姿は……その、とても魅力的ですから」
「……っ」
不意打ちで褒めると、ギルバート様はわかりやすく狼狽える。
「そ、そうか。なら、もっと働こう。山一つくらいなら更地にしてみせる」
「ほどほどにお願いします。地形が変わると地図を書き直すのが大変ですので」
「わかった」
「【第三条:健康管理の義務】」
「『互いに健康診断を定期的に受診し、過労死ラインを超える労働は禁止とする。また、週に一度は必ず二人で温泉に入り、心身のメンテナンスを行うこと』」
「温泉は……一緒にか?」
「はい。背中の流し合いっこは、効率的なコミュニケーションであり、スキンシップです。恥ずかしがっている場合ではありません」
「……努力する。だが、湯気で前が見えないように設定させてくれ」
「許可します。では、以上三点。これで契約締結としたいのですが……」
私はペンを置こうとした。
しかし、ギルバート様が私の手を止めた。
「待て、メアモリ」
「はい? 何か不備が?」
「不備ではないが……追加したい条項がある」
彼は、少し言いにくそうに視線を泳がせ、それから意を決したように私を見つめた。
「私の希望も、入れてもらえるんだろうな?」
「もちろんです。対等なパートナーシップですから。どうぞ、何なりと」
私は新しい羊皮紙を用意した。
「掃除の頻度ですか? それとも食事のメニューについて?」
「いや、違う」
彼は立ち上がり、テーブル越しに身を乗り出した。
その顔が、近い。
アイスブルーの瞳が、至近距離で私を捕らえる。
「【第四条:愛情表現の義務化】」
「……は?」
私はペンを取り落としそうになった。
「『夫は妻に対し、毎日欠かさず愛を囁き、抱擁すること。また、妻もこれに対し、可能な限り誠実に応えること』」
「……」
「……」
沈黙。
書斎の空気が、急激に糖度を増していく。
「あ、あの……公爵様?」
「どうした。君は『明文化された契約』が好きなんだろう? なら、これも明文化しておくべきだ」
彼は真顔だった。
「私は不器用だ。放っておくと、研究や作業に没頭して、君を放置してしまうかもしれない。だから、これを『義務』として課してほしい」
「義務って……」
「『おはよう、愛している』。『おやすみ、愛している』。……これをタスクとして処理する。そうすれば、君も寂しくないだろう?」
彼は、私の手を取り、指先に唇を寄せた。
「それとも……私の愛の言葉は、不要か?」
上目遣い。
反則だ。この絶世の美形に、そんな子犬のような目で見つめられて、「不要です」と言える人間がこの世にいるだろうか。
私の心拍数が、またしても警告音を鳴らし始めた。
「……ふ、不要では……ありませんが……」
「なら、承認だな?」
「しかし、毎日というのは……その、慣れていないので、心臓への負担が……」
「慣れろ。リハビリだと思えばいい」
彼はニッコリと笑った。
悪魔的だ。この人、実は私より一枚上手なのではないだろうか。
「……わかりました。第四条、追加します」
私は震える手で書き加えた。
文字が少し歪んでしまったのは、動揺のせいだ。
「よし。では早速、本日のノルマを達成しよう」
「えっ、今ですか?」
「契約は即時発効だ」
彼はテーブルを回り込み、私を椅子の背もたれごと抱きしめた。
「メアモリ。……愛している。君が私の妻になってくれて、本当に嬉しい」
耳元での低音ボイス。
吐息がかかる距離。
温かい体温。
「ふぁ……」
私は変な声を出して、茹でダコのように真っ赤になった。
事務処理能力も、計算高さも、全て吹き飛ぶ破壊力。
「……こ、公爵様……いえ、ギルバート様……」
「なんだ?」
「……私も……です」
蚊の鳴くような声で答えるのが精一杯だった。
「聞こえないな。契約違反だぞ?」
「……っ! 私も、愛しています! これで満足ですか!?」
私が半ばヤケクソで叫ぶと、彼は満足げに頷いた。
「ああ。大変よくできました」
彼は私の頬にキスを落とし、離れた。
「……心臓が持ちません」
私は机に突っ伏した。
「これも訓練だ。新婚生活は、戦場だからな」
彼は楽しそうに笑い、私の頭を撫でた。
その時。
ガラッ!
窓の外から、物音がした。
「うわぁぁぁぁ! 見たくない! 私はこんなものを見たくないぞぉぉぉ!」
聞き覚えのある、情けない悲鳴。
見ると、窓の外で庭掃除をしていたクラーク(見習い)が、箒を抱えて耳を塞ぎ、のたうち回っていた。
「な、なんだあの甘い空間は! 砂糖を吐きそうだ! 私の知っている冷徹なメアモリじゃない! あんな可愛い声、聞いたことがないぞ!」
「……クラーク殿下」
私は一瞬で冷静になり、眼鏡を光らせた。
「盗み聞きとは、良い趣味ですね。休憩時間はまだですよ?」
「ち、違う! 掃除をしてたら聞こえてしまったんだ! 『愛してる』とか『私もです』とか! くそぉぉぉ! なんで私は馬糞まみれなのに、あいつらはイチャイチャしてるんだ!」
「それが『勝者』と『敗者』の違いです」
私は窓を開け放ち、冷酷に見下ろした。
「悔しかったら、早く仕事を終わらせなさい。今日のノルマは『馬小屋の屋根の修理』ですよ」
「鬼! 悪魔! バカップル!」
クラークは泣きながら走り去っていった。
「……騒がしい奴だ」
ギルバート様が苦笑する。
「ええ。でも、おかげで冷静さを取り戻せました」
私は咳払いをして、契約書を筒に入れた。
「では、この協定書は、寝室の壁に貼っておきます。毎朝、確認できるように」
「……恥ずかしいから、もっと目立たない場所にしてくれないか?」
「ダメです。契約は絶対です」
こうして、ドラグニル公爵家の「新婚生活ルール」は制定された。
第一条から第三条までは合理的だが、第四条だけが異様に浮いている不思議な契約書。
それが、私たちの愛の証となるのだった。
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