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公爵邸での初めての朝。
私は小鳥のさえずりではなく、廊下をドタドタと走る足音と、誰かの怒鳴り声で目を覚ました。
「遅い! 廊下の拭き掃除は朝食前に終わらせなさいと言ったでしょう!」
「も、申し訳ありません、マーガレット様!」
窓の外はまだ薄暗い。時計を見ると、午前五時を少し回ったところだ。
私はあくびを噛み殺しながらベッド(昨日、倉庫の奥から発掘した最高級羽毛布団付き)から這い出した。
「ふあぁ……。朝から元気ねえ。労働基準法という概念を教えてあげたいわ」
私は素早く身支度を整えると、愛用の電卓と手帳を携えて部屋を出た。
今日の予定は、屋敷内の「業務フローの視察」だ。
廊下に出ると、若いメイドたちが半泣きで床を磨いていた。
その背後で、マーガレットが鬼軍曹のように仁王立ちしている。
「雑巾の絞り方が甘い! 公爵家の床は、顔が映るほど磨き上げるのが伝統です! そこ、拭き残しがある!」
「は、はいぃぃ!」
マーガレットは私に気づくと、眉を吊り上げて近づいてきた。
「おはようございます、キャンディ様。随分と遅いお目覚めですこと」
「おはようございます、マーガレットさん。私の勤務時間は九時からと契約書に記載されていますが?」
「契約? ここでは『勤勉』こそが美徳です。使用人の模範となるべき経理係が、メイドより遅く起きるなど言語道断」
彼女は鼻を鳴らした。
どうやら、昨日の仕返しを兼ねて、私に「公爵家の厳しさ」を教え込もうとしているらしい。
「いいですか? この屋敷の広さは王城の離宮に匹敵します。五十人の使用人が不眠不休で働いて、ようやく維持されているのです。あなたのような温室育ちの令嬢に、現場の苦労が分かりますか?」
「不眠不休? それは大変」
私は床を磨くメイドたちを見回した。
彼女たちは明らかに疲弊している。目の下にクマを作り、手は荒れ放題だ。
「……ねえ、あなた。その床、何回拭いているの?」
私は近くのメイドに声をかけた。
「えっ? あ、あの……往復で十回です。マーガレット様の教えで、一度の掃除につき十回往復が義務付けられていて……」
「十回?」
私は計算機を叩いた。
「廊下の全長が約二百メートル。幅が三メートル。それを雑巾掛けで十回往復? 一人の担当エリアが二十メートルだとして……移動距離だけで二キロメートル?」
「は、はい……毎日膝が痛くて……」
「馬鹿げているわ」
私はバサリと言い捨てた。
「なっ……馬鹿げているとは何事ですか!」
マーガレットが色めき立つ。
「伝統的な『十回磨き』は、初代公爵様が……」
「いつの時代の話ですか。今は令和……じゃなくて、魔法文明の時代ですよ」
私はポケットから、昨日厨房で見つけた「あるもの」を取り出した。
使い古しのスポンジと、長い棒。そしてボロ布だ。
「アンナ、ちょっと手伝って」
「はい、お嬢様!」
私が目配せすると、後ろに控えていたアンナが、私が昨夜即席で作った「試作品第一号」を持ってきた。
長い柄の先に、水を含ませた特殊な布を取り付けた、いわゆる「モップ」の原型だ。
「見ていなさい。アンナ、行って!」
「了解です! ターボモード、行きます!」
アンナはモップを構えると、廊下を滑るように駆け抜けた。
シャーッ! キュッキュッ!
雑巾がけのように屈む必要がないため、移動速度が段違いだ。
しかも、柄に体重をかけられるので、一度のストロークで汚れがごっそり落ちる。
アンナはわずか三十秒で、メイドたちが十分かけていたエリアをピカピカにして戻ってきた。
「完了しました! 腰も痛くありません!」
「ご苦労さま。さて、マーガレットさん?」
私は唖然としているマーガレットに電卓を見せた。
「今の作業効率の差は二十倍です。つまり、これまで十人で行っていた掃除が、この道具を使えば一人で、しかも半分の時間で終わります」
「そ、そんな……手抜きです! 膝をついて心を込めて磨くことに意味が……」
「心を込めても床は綺麗になりません。綺麗にするのは摩擦係数と洗剤です」
私はメイドたちに向き直った。
「全員、作業中止! 今すぐこの『モップ君一号』を量産します。材料は倉庫にあるガラクタで十分。作り方はアンナが教えます」
「えっ、い、いいんですか!?」
「いいに決まっています。浮いた時間で睡眠を取りなさい。過労はミスの元、ミスは経費の無駄です。しっかり休むことも業務命令です!」
「きゃああああ! ありがとうございますキャンディ様ぁぁぁ!」
メイドたちが歓声を上げてアンナの周りに群がった。
まるで救世主を見る目だ。
「くっ……ぐぬぬ……!」
マーガレットは顔を真っ赤にして震えている。
「まだです……掃除だけがメイドの仕事ではありません! 洗濯、銀食器の手入れ、それに……」
「ああ、銀食器ね」
私は手帳のページをめくった。
「昨日チェックしましたが、倉庫にある『来客用カトラリーセット』、あれ、三日に一度磨いているそうですね?」
「当然です! いつ国王陛下がいらしてもいいように、常に最高級の輝きを維持するのが……」
「国王陛下が最後にいらしたのはいつですか?」
「……七年前です」
「七年前!!」
私は思わずツッコミを入れた。
「七年間使っていないスプーンを、延べ三千回以上磨いたわけですか? その研磨剤代と人件費で、新しい純金のスプーンが買えますよ?」
「うっ……」
「本日より、使用頻度の低い銀食器は『真空保存パック(魔法処理済み)』に入れて封印します。使う時だけ開ければ、酸化もしないし磨く必要もない。これで銀磨きの時間はゼロになります」
「そ、そんな横着な……伝統が……」
マーガレットがよろめく。
彼女の拠り所である「伝統」と「根性論」が、私の「数字」と「効率」の前でガラガラと崩れ落ちていく。
そこへ。
「騒がしいな、何事だ?」
朝の散歩から戻ったジェラルド公爵が現れた。
彼はピカピカになった廊下と、謎の棒(モップ)を持って楽しそうにしているメイドたちを見て、目を丸くした。
「……この廊下、いつもの倍は輝いて見えるが」
「旦那様! 聞いてください、このキャンディ嬢が、神聖な掃除の作法を勝手に変えて……!」
マーガレットが縋るように訴える。
しかし、ジェラルドは廊下を指でなぞり、満足げに頷いた。
「いや、悪くない。いつもより埃がないし、何より……」
彼はメイドたちの顔を見た。
「皆の顔色が良くなったな。いつもは朝から死にそうな顔をしていたが」
「あ……」
マーガレットは言葉を失った。
確かに、メイドたちは生き生きとしている。
「効率化は手抜きではありません。余力を生み出し、より質の高いサービスを提供するための投資です」
私は胸を張って言った。
「浮いた時間で、彼女たちには新しいスキル――例えば、簡単な計算や読み書き、あるいは刺繍などの技術を学ばせようと思います。それが結果的に、公爵家の『品格』を上げることにつながるはずです」
ジェラルドはニヤリと笑った。
「完璧だ。マーガレット、今日から掃除の方針はキャンディに従え。これは当主命令だ」
「……はい、旦那様」
マーガレットは深々と頭を下げた。
その顔には屈辱の色が浮かんでいたが、同時に、反論できないという諦めも見えた。
「よし、解散! 朝食の時間だ!」
ジェラルドが手を叩く。
私は小さくガッツポーズをした。
第一ラウンド、完全勝利。
だが、去り際にマーガレットが私に向けた視線は、まだ死んでいなかった。
(……このまま終わる私ではありませんよ、キャンディ様……)
そんな声が聞こえてきそうだった。
「望むところですわ。次は洗濯場の改革でお相手しましょう」
私は不敵に笑い返し、ジェラルドの後を追って食堂へと向かった。
私の「公爵家改造計画」は、まだ始まったばかりなのだ。
私は小鳥のさえずりではなく、廊下をドタドタと走る足音と、誰かの怒鳴り声で目を覚ました。
「遅い! 廊下の拭き掃除は朝食前に終わらせなさいと言ったでしょう!」
「も、申し訳ありません、マーガレット様!」
窓の外はまだ薄暗い。時計を見ると、午前五時を少し回ったところだ。
私はあくびを噛み殺しながらベッド(昨日、倉庫の奥から発掘した最高級羽毛布団付き)から這い出した。
「ふあぁ……。朝から元気ねえ。労働基準法という概念を教えてあげたいわ」
私は素早く身支度を整えると、愛用の電卓と手帳を携えて部屋を出た。
今日の予定は、屋敷内の「業務フローの視察」だ。
廊下に出ると、若いメイドたちが半泣きで床を磨いていた。
その背後で、マーガレットが鬼軍曹のように仁王立ちしている。
「雑巾の絞り方が甘い! 公爵家の床は、顔が映るほど磨き上げるのが伝統です! そこ、拭き残しがある!」
「は、はいぃぃ!」
マーガレットは私に気づくと、眉を吊り上げて近づいてきた。
「おはようございます、キャンディ様。随分と遅いお目覚めですこと」
「おはようございます、マーガレットさん。私の勤務時間は九時からと契約書に記載されていますが?」
「契約? ここでは『勤勉』こそが美徳です。使用人の模範となるべき経理係が、メイドより遅く起きるなど言語道断」
彼女は鼻を鳴らした。
どうやら、昨日の仕返しを兼ねて、私に「公爵家の厳しさ」を教え込もうとしているらしい。
「いいですか? この屋敷の広さは王城の離宮に匹敵します。五十人の使用人が不眠不休で働いて、ようやく維持されているのです。あなたのような温室育ちの令嬢に、現場の苦労が分かりますか?」
「不眠不休? それは大変」
私は床を磨くメイドたちを見回した。
彼女たちは明らかに疲弊している。目の下にクマを作り、手は荒れ放題だ。
「……ねえ、あなた。その床、何回拭いているの?」
私は近くのメイドに声をかけた。
「えっ? あ、あの……往復で十回です。マーガレット様の教えで、一度の掃除につき十回往復が義務付けられていて……」
「十回?」
私は計算機を叩いた。
「廊下の全長が約二百メートル。幅が三メートル。それを雑巾掛けで十回往復? 一人の担当エリアが二十メートルだとして……移動距離だけで二キロメートル?」
「は、はい……毎日膝が痛くて……」
「馬鹿げているわ」
私はバサリと言い捨てた。
「なっ……馬鹿げているとは何事ですか!」
マーガレットが色めき立つ。
「伝統的な『十回磨き』は、初代公爵様が……」
「いつの時代の話ですか。今は令和……じゃなくて、魔法文明の時代ですよ」
私はポケットから、昨日厨房で見つけた「あるもの」を取り出した。
使い古しのスポンジと、長い棒。そしてボロ布だ。
「アンナ、ちょっと手伝って」
「はい、お嬢様!」
私が目配せすると、後ろに控えていたアンナが、私が昨夜即席で作った「試作品第一号」を持ってきた。
長い柄の先に、水を含ませた特殊な布を取り付けた、いわゆる「モップ」の原型だ。
「見ていなさい。アンナ、行って!」
「了解です! ターボモード、行きます!」
アンナはモップを構えると、廊下を滑るように駆け抜けた。
シャーッ! キュッキュッ!
雑巾がけのように屈む必要がないため、移動速度が段違いだ。
しかも、柄に体重をかけられるので、一度のストロークで汚れがごっそり落ちる。
アンナはわずか三十秒で、メイドたちが十分かけていたエリアをピカピカにして戻ってきた。
「完了しました! 腰も痛くありません!」
「ご苦労さま。さて、マーガレットさん?」
私は唖然としているマーガレットに電卓を見せた。
「今の作業効率の差は二十倍です。つまり、これまで十人で行っていた掃除が、この道具を使えば一人で、しかも半分の時間で終わります」
「そ、そんな……手抜きです! 膝をついて心を込めて磨くことに意味が……」
「心を込めても床は綺麗になりません。綺麗にするのは摩擦係数と洗剤です」
私はメイドたちに向き直った。
「全員、作業中止! 今すぐこの『モップ君一号』を量産します。材料は倉庫にあるガラクタで十分。作り方はアンナが教えます」
「えっ、い、いいんですか!?」
「いいに決まっています。浮いた時間で睡眠を取りなさい。過労はミスの元、ミスは経費の無駄です。しっかり休むことも業務命令です!」
「きゃああああ! ありがとうございますキャンディ様ぁぁぁ!」
メイドたちが歓声を上げてアンナの周りに群がった。
まるで救世主を見る目だ。
「くっ……ぐぬぬ……!」
マーガレットは顔を真っ赤にして震えている。
「まだです……掃除だけがメイドの仕事ではありません! 洗濯、銀食器の手入れ、それに……」
「ああ、銀食器ね」
私は手帳のページをめくった。
「昨日チェックしましたが、倉庫にある『来客用カトラリーセット』、あれ、三日に一度磨いているそうですね?」
「当然です! いつ国王陛下がいらしてもいいように、常に最高級の輝きを維持するのが……」
「国王陛下が最後にいらしたのはいつですか?」
「……七年前です」
「七年前!!」
私は思わずツッコミを入れた。
「七年間使っていないスプーンを、延べ三千回以上磨いたわけですか? その研磨剤代と人件費で、新しい純金のスプーンが買えますよ?」
「うっ……」
「本日より、使用頻度の低い銀食器は『真空保存パック(魔法処理済み)』に入れて封印します。使う時だけ開ければ、酸化もしないし磨く必要もない。これで銀磨きの時間はゼロになります」
「そ、そんな横着な……伝統が……」
マーガレットがよろめく。
彼女の拠り所である「伝統」と「根性論」が、私の「数字」と「効率」の前でガラガラと崩れ落ちていく。
そこへ。
「騒がしいな、何事だ?」
朝の散歩から戻ったジェラルド公爵が現れた。
彼はピカピカになった廊下と、謎の棒(モップ)を持って楽しそうにしているメイドたちを見て、目を丸くした。
「……この廊下、いつもの倍は輝いて見えるが」
「旦那様! 聞いてください、このキャンディ嬢が、神聖な掃除の作法を勝手に変えて……!」
マーガレットが縋るように訴える。
しかし、ジェラルドは廊下を指でなぞり、満足げに頷いた。
「いや、悪くない。いつもより埃がないし、何より……」
彼はメイドたちの顔を見た。
「皆の顔色が良くなったな。いつもは朝から死にそうな顔をしていたが」
「あ……」
マーガレットは言葉を失った。
確かに、メイドたちは生き生きとしている。
「効率化は手抜きではありません。余力を生み出し、より質の高いサービスを提供するための投資です」
私は胸を張って言った。
「浮いた時間で、彼女たちには新しいスキル――例えば、簡単な計算や読み書き、あるいは刺繍などの技術を学ばせようと思います。それが結果的に、公爵家の『品格』を上げることにつながるはずです」
ジェラルドはニヤリと笑った。
「完璧だ。マーガレット、今日から掃除の方針はキャンディに従え。これは当主命令だ」
「……はい、旦那様」
マーガレットは深々と頭を下げた。
その顔には屈辱の色が浮かんでいたが、同時に、反論できないという諦めも見えた。
「よし、解散! 朝食の時間だ!」
ジェラルドが手を叩く。
私は小さくガッツポーズをした。
第一ラウンド、完全勝利。
だが、去り際にマーガレットが私に向けた視線は、まだ死んでいなかった。
(……このまま終わる私ではありませんよ、キャンディ様……)
そんな声が聞こえてきそうだった。
「望むところですわ。次は洗濯場の改革でお相手しましょう」
私は不敵に笑い返し、ジェラルドの後を追って食堂へと向かった。
私の「公爵家改造計画」は、まだ始まったばかりなのだ。
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