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ジェラルドの風邪が完治してから数日後。
私は執務室に呼び出されていた。
「……入りたまえ」
重厚な扉の向こうから、いつもより少し硬い声が聞こえる。
中に入ると、ジェラルドが窓辺に立っていた。
背筋を伸ばし、真剣な面持ちで外の庭園を見つめている。
机の上には、書類の山も、飲みかけのコーヒーもない。綺麗に片付いている。
(……おや? この空気は)
私の「危機管理センサー」が反応した。
(まさか、リストラ? いいえ、私の業務実績は完璧。むしろ黒字化の立役者よ。ということは……給与交渉の決裂? あるいは、実家からのクレーム対応?)
私が頭の中で様々な「悪い予測」をシミュレーションしていると、ジェラルドがゆっくりと振り返った。
「座ってくれ、キャンディ」
勧められたソファに座る。
ジェラルドも対面のソファに腰を下ろした。
沈黙。
時計の針の音だけが響く。
「……キャンディ。君がここに来てから、約二ヶ月が経つな」
「はい。正確には五十八日と六時間です。試用期間(三ヶ月)の終了まで、あと約一ヶ月ですね」
「……そうか。もうそんなになるか」
ジェラルドは膝の上で手を組んだ。
その指が、わずかに震えているように見える。
「単刀直入に言おう。……私は、君との契約について再考したいと思っている」
「契約の再考?」
私は身構えた。
やはり、条件変更か。
「具体的には、期間についてだ。私は、君に……もっと長く、いや、ずっとここにいてほしいと考えている」
「ずっと?」
「ああ。三ヶ月や一年更新ではない。……無期限で、私のそばにいてくれないか?」
ジェラルドの青い瞳が、私を真っ直ぐに射抜く。
「つまり……キャンディ・ヴァイオレット。私と結婚してほしい」
ドキン。
心臓が大きく跳ねた。
結婚。
その二文字が、脳内で反響する。
(け、結婚……!?)
普通の令嬢なら、ここで頬を染めて「はい、喜んで!」と答える場面だ。
あるいは、「急すぎますわ」と恥じらう場面だ。
しかし、私の脳内CPUは、そのロマンチックな提案を瞬時に「ビジネス用語」へと翻訳した。
『結婚』
↓翻訳中……
『恒久的パートナーシップ協定』
『法的拘束力を持つ専属契約』
『他社への転職不可(競業避止義務)』
『契約期間:死ぬまで(終身雇用)』
「……なるほど」
私はゴクリと唾を飲み込み、冷静に問い返した。
「つまり、有期雇用契約から、無期雇用契約(正社員)への登用打診、ということでよろしいですね?」
「……は?」
ジェラルドがポカンとする。
「いや、雇用というか……結婚だぞ? 夫婦になるんだ」
「ええ、存じております。法的には『夫婦』という枠組みを利用した、最強の業務提携(アライアンス)ですね」
私は懐から手帳とペンを取り出した。
「確かに、今の『経理係』という立場のままでは、領地の重要機密にアクセスする権限が限られています。公爵夫人(CEO夫人)という役職に就けば、決裁権限も拡大し、よりスピーディな経営改革が可能になります」
「うむ……まあ、そうなるが……」
「それに、私にとってもメリットがあります。公爵夫人となれば、社交界での信用度(クレジット)が爆上がりします。新規事業の融資も受けやすくなるでしょう」
私は手帳に「メリット:社会的信用の獲得」と書き込んだ。
「しかし、ジェラルド様。無期雇用となれば、条件面も大幅な見直しが必要です」
私はペン先を彼に向けた。
「提示された『終身雇用』に対し、こちらの要求スペックを確認させてください」
「よ、要求スペック……?」
「まず、福利厚生です。年間の有給休暇日数は? 産休・育休の取得実績は? まさか『妻だから二十四時間三百六十五日働け』なんてブラックな条件ではありませんよね?」
「ち、違う! 休みは好きなだけ取っていい! 育児に関しても、乳母を雇う予算は十分にあるし、私も協力するつもりだ!」
「言質を取りました。では次、退職金について」
「退職金!?」
ジェラルドが仰け反る。
「結婚の話をしているのに、もう離婚の時の話か!?」
「リスク管理(ヘッジ)です。万が一、契約解除(離婚)となった場合、私の再就職は年齢的に厳しくなります。その際の『解決金』および『慰謝料』の算定基準を明確にしておきたいのです」
「……離婚するつもりはないが、万が一の時は、財産の半分を分与しよう」
「半分! ……公爵家の資産規模を考えれば、破格の条件ですね」
私は素早く計算した。
アイゼンハルト公爵家の総資産は、国家予算並みだ。その半分なら、遊んで暮らすどころか、小国を買える。
(これは……極めて優良なオファーだわ)
私は手帳を閉じ、真剣な眼差しでジェラルドを見つめた。
「ジェラルド様。……提示された条件、魅力的です」
「そ、そうか?」
「はい。安定した経営基盤、充実した福利厚生、そして何より……」
私は少しだけ口元を緩めた。
「最高経営責任者(あなた)の人柄を、私は高く評価しています。先日の看病の件もそうですが、従業員(私)を大切にする姿勢は、ブラック企業(実家や王家)とは大違いです」
「……従業員扱いなのは納得いかないが、評価されたならよしとするか」
ジェラルドは苦笑しながら、ポケットから小さな箱を取り出した。
パカッ。
中には、まばゆいばかりのダイヤモンドの指輪が入っていた。
「……これは?」
「契約金(サインボーナス)だと思ってくれ」
彼は指輪を摘み上げ、私の左手を取った。
「キャンディ・ヴァイオレット。改めて申し込む。……私の人生という名の企業に、永久就職してくれないか?」
「……」
ロマンチックなセリフだ。
でも、内容は完全に「ヘッドハンティング」だ。
私は自分の薬指に収まったダイヤを見つめた。
推定5カラット。クラリティIF。カットはエクセレント。
時価、金貨三千枚相当。
(……断る理由が、一ミクロンもない)
私は顔を上げ、満面の笑みで答えた。
「謹んでお受けいたします、ボス! ……いいえ、旦那様!」
「ああ、契約成立だ」
ジェラルドは安堵したように息を吐き、私の手を強く握りしめた。
「これで君は逃げられないぞ。……死ぬまでこき使ってやるからな(愛してやるからな)」
「望むところです! 骨の髄までしゃぶり尽くして(利益を出して)みせますわ!」
こうして。
私たちの婚約は成立した。
傍から見れば、公爵と令嬢の美しい愛の誓い。
実態は、超好条件の「終身雇用契約」の締結。
だが、互いに手を握り合うその体温だけは、契約書よりも確かに温かかった。
「……あ、そうだジェラルド様」
「ん? なんだ、まだ何か条件があるのか?」
「結婚式の費用ですが、スポンサーを募りませんか? ドレスや引き出物に企業のロゴを入れれば、広告収入で式代が実質タダになりますよ」
「……却下だ。一生に一度の式だぞ、金は俺が出す」
「ちぇっ。せっかくのビジネスチャンスなのに」
前途多難(主にジェラルドの胃にとって)な結婚生活の幕開けである。
私は執務室に呼び出されていた。
「……入りたまえ」
重厚な扉の向こうから、いつもより少し硬い声が聞こえる。
中に入ると、ジェラルドが窓辺に立っていた。
背筋を伸ばし、真剣な面持ちで外の庭園を見つめている。
机の上には、書類の山も、飲みかけのコーヒーもない。綺麗に片付いている。
(……おや? この空気は)
私の「危機管理センサー」が反応した。
(まさか、リストラ? いいえ、私の業務実績は完璧。むしろ黒字化の立役者よ。ということは……給与交渉の決裂? あるいは、実家からのクレーム対応?)
私が頭の中で様々な「悪い予測」をシミュレーションしていると、ジェラルドがゆっくりと振り返った。
「座ってくれ、キャンディ」
勧められたソファに座る。
ジェラルドも対面のソファに腰を下ろした。
沈黙。
時計の針の音だけが響く。
「……キャンディ。君がここに来てから、約二ヶ月が経つな」
「はい。正確には五十八日と六時間です。試用期間(三ヶ月)の終了まで、あと約一ヶ月ですね」
「……そうか。もうそんなになるか」
ジェラルドは膝の上で手を組んだ。
その指が、わずかに震えているように見える。
「単刀直入に言おう。……私は、君との契約について再考したいと思っている」
「契約の再考?」
私は身構えた。
やはり、条件変更か。
「具体的には、期間についてだ。私は、君に……もっと長く、いや、ずっとここにいてほしいと考えている」
「ずっと?」
「ああ。三ヶ月や一年更新ではない。……無期限で、私のそばにいてくれないか?」
ジェラルドの青い瞳が、私を真っ直ぐに射抜く。
「つまり……キャンディ・ヴァイオレット。私と結婚してほしい」
ドキン。
心臓が大きく跳ねた。
結婚。
その二文字が、脳内で反響する。
(け、結婚……!?)
普通の令嬢なら、ここで頬を染めて「はい、喜んで!」と答える場面だ。
あるいは、「急すぎますわ」と恥じらう場面だ。
しかし、私の脳内CPUは、そのロマンチックな提案を瞬時に「ビジネス用語」へと翻訳した。
『結婚』
↓翻訳中……
『恒久的パートナーシップ協定』
『法的拘束力を持つ専属契約』
『他社への転職不可(競業避止義務)』
『契約期間:死ぬまで(終身雇用)』
「……なるほど」
私はゴクリと唾を飲み込み、冷静に問い返した。
「つまり、有期雇用契約から、無期雇用契約(正社員)への登用打診、ということでよろしいですね?」
「……は?」
ジェラルドがポカンとする。
「いや、雇用というか……結婚だぞ? 夫婦になるんだ」
「ええ、存じております。法的には『夫婦』という枠組みを利用した、最強の業務提携(アライアンス)ですね」
私は懐から手帳とペンを取り出した。
「確かに、今の『経理係』という立場のままでは、領地の重要機密にアクセスする権限が限られています。公爵夫人(CEO夫人)という役職に就けば、決裁権限も拡大し、よりスピーディな経営改革が可能になります」
「うむ……まあ、そうなるが……」
「それに、私にとってもメリットがあります。公爵夫人となれば、社交界での信用度(クレジット)が爆上がりします。新規事業の融資も受けやすくなるでしょう」
私は手帳に「メリット:社会的信用の獲得」と書き込んだ。
「しかし、ジェラルド様。無期雇用となれば、条件面も大幅な見直しが必要です」
私はペン先を彼に向けた。
「提示された『終身雇用』に対し、こちらの要求スペックを確認させてください」
「よ、要求スペック……?」
「まず、福利厚生です。年間の有給休暇日数は? 産休・育休の取得実績は? まさか『妻だから二十四時間三百六十五日働け』なんてブラックな条件ではありませんよね?」
「ち、違う! 休みは好きなだけ取っていい! 育児に関しても、乳母を雇う予算は十分にあるし、私も協力するつもりだ!」
「言質を取りました。では次、退職金について」
「退職金!?」
ジェラルドが仰け反る。
「結婚の話をしているのに、もう離婚の時の話か!?」
「リスク管理(ヘッジ)です。万が一、契約解除(離婚)となった場合、私の再就職は年齢的に厳しくなります。その際の『解決金』および『慰謝料』の算定基準を明確にしておきたいのです」
「……離婚するつもりはないが、万が一の時は、財産の半分を分与しよう」
「半分! ……公爵家の資産規模を考えれば、破格の条件ですね」
私は素早く計算した。
アイゼンハルト公爵家の総資産は、国家予算並みだ。その半分なら、遊んで暮らすどころか、小国を買える。
(これは……極めて優良なオファーだわ)
私は手帳を閉じ、真剣な眼差しでジェラルドを見つめた。
「ジェラルド様。……提示された条件、魅力的です」
「そ、そうか?」
「はい。安定した経営基盤、充実した福利厚生、そして何より……」
私は少しだけ口元を緩めた。
「最高経営責任者(あなた)の人柄を、私は高く評価しています。先日の看病の件もそうですが、従業員(私)を大切にする姿勢は、ブラック企業(実家や王家)とは大違いです」
「……従業員扱いなのは納得いかないが、評価されたならよしとするか」
ジェラルドは苦笑しながら、ポケットから小さな箱を取り出した。
パカッ。
中には、まばゆいばかりのダイヤモンドの指輪が入っていた。
「……これは?」
「契約金(サインボーナス)だと思ってくれ」
彼は指輪を摘み上げ、私の左手を取った。
「キャンディ・ヴァイオレット。改めて申し込む。……私の人生という名の企業に、永久就職してくれないか?」
「……」
ロマンチックなセリフだ。
でも、内容は完全に「ヘッドハンティング」だ。
私は自分の薬指に収まったダイヤを見つめた。
推定5カラット。クラリティIF。カットはエクセレント。
時価、金貨三千枚相当。
(……断る理由が、一ミクロンもない)
私は顔を上げ、満面の笑みで答えた。
「謹んでお受けいたします、ボス! ……いいえ、旦那様!」
「ああ、契約成立だ」
ジェラルドは安堵したように息を吐き、私の手を強く握りしめた。
「これで君は逃げられないぞ。……死ぬまでこき使ってやるからな(愛してやるからな)」
「望むところです! 骨の髄までしゃぶり尽くして(利益を出して)みせますわ!」
こうして。
私たちの婚約は成立した。
傍から見れば、公爵と令嬢の美しい愛の誓い。
実態は、超好条件の「終身雇用契約」の締結。
だが、互いに手を握り合うその体温だけは、契約書よりも確かに温かかった。
「……あ、そうだジェラルド様」
「ん? なんだ、まだ何か条件があるのか?」
「結婚式の費用ですが、スポンサーを募りませんか? ドレスや引き出物に企業のロゴを入れれば、広告収入で式代が実質タダになりますよ」
「……却下だ。一生に一度の式だぞ、金は俺が出す」
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