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「……か、かわいい……? いま、……かわいいって……おっしゃいましたか……?」
シャリー・フォンスの思考回路は、完全に焼き切れていた。
大好きなシリウス様が、瓦礫の山の中で、泥だらけの自分を「可愛い」と言って微笑んでいる。
その衝撃は、先ほどの愛の爆発(物理)を上回る威力で彼女の脳内を直撃した。
(ああ……! 天国だわ。ここは天国なのね。きっと私は、シャンデリアを支えた時に寿命を使い果たして、今、幸せな幻覚を見ているんだわ!)
「……シャリー? 顔が……怖いよ。ものすごく幸せそうなのに、冥界の門が開いたような顔になってるよ」
シリウスは苦笑しながら、シャリーの震える指先をそっと包み込んだ。
「ひゃ、……ひゃわわわわ……っ!!」
シャリーの心臓が、限界を超えたビートを刻む。
あまりの幸福感に、彼女の体内に残っていた魔力が再び暴走の兆しを見せ、周囲の瓦礫が「ふわっ」と宙に浮き始めた。
「あ、危ない! シャリー、落ち着いて! 君が喜ぶと学園の重力が狂うみたいだ!」
「……ご、……ごめんなさい……。……うれしくて……。……でも、……わたし……。……こんなに、……めちゃくちゃにして……しまって……」
シャリーは、半壊したダンスホールを見渡して肩を落とした。
豪華だったシャンデリアは壁の向こうへ消え、床はクレーターだらけ。
逃げ遅れた学生たちは、遠巻きに「愛の重さが物理法則を超えている……」と震えながらこちらを見ている。
そこへ、瓦礫の下からひょっこりとララ・メルが這い出してきた。
「おめでとうございます! シャリー様、王子! ついに、ついに歴史が動きましたね!」
ララはボロボロの制服のまま、キラキラと目を輝かせて二人の元へ駆け寄った。
「……ララ様。……あなた、……無事だったの?」
「当然です! 推しのハッピーエンドを見届けるまでは、例え核爆発が起きようとも私は死にません! 見てください王子、このシャリー様の潤んだ瞳を! 先ほどまでの暗殺者オーラが嘘のようです!」
「……うん。……確かに、……今はわかるよ。……この殺気だと思っていたものは、……全部、……僕への『熱量』だったんだね」
シリウスは、今さらながらに、これまでの恐怖体験を振り返った。
毒物だと思った真っ黒なクッキーは、徹夜の献身。
暗殺の道具だと思った銀の杭(万年筆)は、魔力のこもった贈り物。
そして自分を追い詰めるあの眼光は、瞬きも惜しむほどの情熱――。
「……ごめんね、シャリー。……君を、……あんなに怖がらせて。……僕が、……あまりにも君の愛に、……耐えうる器じゃなかったんだ」
「……いいえ。……わたしが、……不器用なのが……いけないのです……。……これからも、……きっと……。……また、……顔が怖くなったり、……物を壊したり……してしまいます……」
シャリーは、申し訳なさに再び顔を歪ませた。
その結果、彼女の表情は「……貴様、私の本性を知ってもなお、生きていられると思うなよ」という、究極の脅迫顔になった。
「ひっ、……あ、……あはは……。……今の顔も、……『恥ずかしいから見ないで』っていう意味なんだよね? ……うん、……だいぶ翻訳できるようになってきたよ」
シリウスは頬を引き攣らせながらも、シャリーの手を離さなかった。
「……シリウス、さま。……ほんとうに……。……わたくしで……よろしいの……ですか?」
「……もちろんだよ。……君ほど、……僕の命を全力で……(物理的に)守ってくれる女性は、……世界中どこを探してもいないからね」
シリウスは、ようやく本当の意味で「覚醒」した。
彼は、シャリーという「あまりにも強すぎる愛」を受け止める決意を固めたのだ。
「さあ、シャリー。……踊ろう。……音楽は止まってしまったけれど、……僕たちのダンスは、……ここから始まるんだ」
「……し、……シリウス、さま……!」
シャリーは、差し出された手を取り、立ち上がった。
二人は、瓦礫の山の中、クレーターの縁で、静かにワルツを踊り始めた。
シャリーがステップを踏むたびに、床が「めきっ」と音を立てる。
シリウスが彼女の腰を抱くたびに、シャリーの体から「幸せの冷気」が漏れ出し、周囲の空気にダイヤモンドダストが舞う。
「……ああ、……尊い……。……この光景、……全校生徒に配信したい……!」
ララは、どこからか取り出した画板に、猛烈な勢いでその光景をスケッチし始めた。
周囲の生徒たちも、最初は恐る恐るだったが、二人の醸し出す「あまりにも不器用で、あまりにも巨大な愛」の空気に当てられ、次第に拍手を送り始めた。
「……おめでとう、氷の令嬢!」
「……王子、命を大事にしろよー!」
そんな野次馬たちの声さえ、今のシャリーには祝福の福音に聞こえた。
不器用すぎる悪役令嬢と、それを受け入れる覚悟を決めた王子。
最悪の婚約破棄騒動から始まった二人の物語は、瓦礫だらけのダンスホールで、最高に美しく、そして最高に物騒なハッピーエンドへと向かって加速していく。
シャリー・フォンスの思考回路は、完全に焼き切れていた。
大好きなシリウス様が、瓦礫の山の中で、泥だらけの自分を「可愛い」と言って微笑んでいる。
その衝撃は、先ほどの愛の爆発(物理)を上回る威力で彼女の脳内を直撃した。
(ああ……! 天国だわ。ここは天国なのね。きっと私は、シャンデリアを支えた時に寿命を使い果たして、今、幸せな幻覚を見ているんだわ!)
「……シャリー? 顔が……怖いよ。ものすごく幸せそうなのに、冥界の門が開いたような顔になってるよ」
シリウスは苦笑しながら、シャリーの震える指先をそっと包み込んだ。
「ひゃ、……ひゃわわわわ……っ!!」
シャリーの心臓が、限界を超えたビートを刻む。
あまりの幸福感に、彼女の体内に残っていた魔力が再び暴走の兆しを見せ、周囲の瓦礫が「ふわっ」と宙に浮き始めた。
「あ、危ない! シャリー、落ち着いて! 君が喜ぶと学園の重力が狂うみたいだ!」
「……ご、……ごめんなさい……。……うれしくて……。……でも、……わたし……。……こんなに、……めちゃくちゃにして……しまって……」
シャリーは、半壊したダンスホールを見渡して肩を落とした。
豪華だったシャンデリアは壁の向こうへ消え、床はクレーターだらけ。
逃げ遅れた学生たちは、遠巻きに「愛の重さが物理法則を超えている……」と震えながらこちらを見ている。
そこへ、瓦礫の下からひょっこりとララ・メルが這い出してきた。
「おめでとうございます! シャリー様、王子! ついに、ついに歴史が動きましたね!」
ララはボロボロの制服のまま、キラキラと目を輝かせて二人の元へ駆け寄った。
「……ララ様。……あなた、……無事だったの?」
「当然です! 推しのハッピーエンドを見届けるまでは、例え核爆発が起きようとも私は死にません! 見てください王子、このシャリー様の潤んだ瞳を! 先ほどまでの暗殺者オーラが嘘のようです!」
「……うん。……確かに、……今はわかるよ。……この殺気だと思っていたものは、……全部、……僕への『熱量』だったんだね」
シリウスは、今さらながらに、これまでの恐怖体験を振り返った。
毒物だと思った真っ黒なクッキーは、徹夜の献身。
暗殺の道具だと思った銀の杭(万年筆)は、魔力のこもった贈り物。
そして自分を追い詰めるあの眼光は、瞬きも惜しむほどの情熱――。
「……ごめんね、シャリー。……君を、……あんなに怖がらせて。……僕が、……あまりにも君の愛に、……耐えうる器じゃなかったんだ」
「……いいえ。……わたしが、……不器用なのが……いけないのです……。……これからも、……きっと……。……また、……顔が怖くなったり、……物を壊したり……してしまいます……」
シャリーは、申し訳なさに再び顔を歪ませた。
その結果、彼女の表情は「……貴様、私の本性を知ってもなお、生きていられると思うなよ」という、究極の脅迫顔になった。
「ひっ、……あ、……あはは……。……今の顔も、……『恥ずかしいから見ないで』っていう意味なんだよね? ……うん、……だいぶ翻訳できるようになってきたよ」
シリウスは頬を引き攣らせながらも、シャリーの手を離さなかった。
「……シリウス、さま。……ほんとうに……。……わたくしで……よろしいの……ですか?」
「……もちろんだよ。……君ほど、……僕の命を全力で……(物理的に)守ってくれる女性は、……世界中どこを探してもいないからね」
シリウスは、ようやく本当の意味で「覚醒」した。
彼は、シャリーという「あまりにも強すぎる愛」を受け止める決意を固めたのだ。
「さあ、シャリー。……踊ろう。……音楽は止まってしまったけれど、……僕たちのダンスは、……ここから始まるんだ」
「……し、……シリウス、さま……!」
シャリーは、差し出された手を取り、立ち上がった。
二人は、瓦礫の山の中、クレーターの縁で、静かにワルツを踊り始めた。
シャリーがステップを踏むたびに、床が「めきっ」と音を立てる。
シリウスが彼女の腰を抱くたびに、シャリーの体から「幸せの冷気」が漏れ出し、周囲の空気にダイヤモンドダストが舞う。
「……ああ、……尊い……。……この光景、……全校生徒に配信したい……!」
ララは、どこからか取り出した画板に、猛烈な勢いでその光景をスケッチし始めた。
周囲の生徒たちも、最初は恐る恐るだったが、二人の醸し出す「あまりにも不器用で、あまりにも巨大な愛」の空気に当てられ、次第に拍手を送り始めた。
「……おめでとう、氷の令嬢!」
「……王子、命を大事にしろよー!」
そんな野次馬たちの声さえ、今のシャリーには祝福の福音に聞こえた。
不器用すぎる悪役令嬢と、それを受け入れる覚悟を決めた王子。
最悪の婚約破棄騒動から始まった二人の物語は、瓦礫だらけのダンスホールで、最高に美しく、そして最高に物騒なハッピーエンドへと向かって加速していく。
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