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パーティー会場の熱狂は、もはや誰にも止められない領域に達していた。
私は、レオンハルト殿下の腕の中で、魂が口から半分はみ出したような状態で立ち尽くしていた。
「……もう、いいですわ。好きになさってください。私は、ただの『嘘つきな無能』として、静かに余生を過ごしたいだけですのに……」
「ははは、マリア。君は本当に謙虚だね。だが、君が望んだ『断罪』を、僕はまだ完遂していない。誠実な男として、君の罪をすべて白日の下にさらさなくては」
レオンハルト様は、楽しそうに目を細めると、再び会場の全員に向かって声を張り上げた。
「皆様、静粛に! 今から、僕がマリアの真の『罪』を読み上げる! これを聞いてもなお、彼女を僕の妃として認めるかどうか、皆の心に問いかけてほしい!」
(……えっ? ついに本気で私を責めてくださるの!?)
私は期待で胸を高鳴らせた。
そうよ、殿下。私がこれまでにしでかした、本当に恥ずかしい不手際や、王家の品位を汚すような振る舞いを暴露してください!
そうすれば、いくら盲目な貴族たちだって「流石にそれは……」と引くはずですわ!
レオンハルト様は、懐から一冊の手帳を取り出した。
……嫌な予感がしますわ。その手帳、私が何かするたびに殿下がこっそり書き込んでいた「マリア観察日記」ではありませんこと?
「マリアの第一の罪! 去年の冬、僕に手編みのマフラーを贈ろうとして、結局編み方が分からず、ただの『一本の長い紐』を渡してきたことだ!」
「ぶほっ!? 殿下、それは言わない約束ですわ!!」
会場から「……可愛い」「なんて健気な」「一本の紐でも王子には絆に見えたのね」という温かな声が漏れる。
「第二の罪! 僕の誕生日に、僕の肖像画を描こうとして、あまりの絵心のなさに僕を『謎の深海魚』のように描き上げたことだ! おかげで僕は、自分のアイデンティティを見失いそうになったよ!」
「やめて! あれは、躍動感を表現しようとした結果なんですのよ!」
「だが、その深海魚の絵の裏に『殿下が世界で一番大好き』と小さく書き添えてあった! その不意打ちの殺傷能力、国家転覆罪に値するほどの破壊力だ!」
「書いてません! 書いた記憶はありませんわ!!(……いえ、恥ずかしさのあまり記憶から抹消しただけかもしれませんわ!)」
会場の淑女たちが「尊い……」「愛が溢れすぎているわ……」と、ハンカチで目元を拭い始めた。
おかしい。断罪のはずが、ただの「のろけ話の暴露大会」になっている。
「第三の罪! 昨夜、僕の寝室の所有権を主張した際の、あの熟したリンゴのような真っ赤な顔! あの表情を僕一人で独占できないことが、国民に対する最大の背信行為だ!」
「殿下!! もう、もういい加減にしてくださいまし!!」
私は顔面から火が出るほどの羞恥心に耐えきれず、殿下の胸に顔を埋めた。
これ、断罪じゃありませんわ。公開処刑ですわ。私のプライバシーという名のライフはもうゼロです。
「皆様、見たまえ! このようにマリアは、その圧倒的な愛らしさで僕を翻弄し、僕の理性を常に限界まで追い詰めている! これほど罪深い女性を、僕以外の誰が御せるというのか!」
レオンハルト様は、私の肩を抱き寄せ、勝利を確信したような笑顔を浮かべた。
「マリア・フォン・ベル。君の罪に対する判決を下す。君は一生、僕の腕の中から出ることを禁ずる! そして、毎日僕から百回のキスと、千回の愛の言葉を受け取らなければならない。異議はあるかね?」
「「「異議なし!!」」」
会場の全員が、示し合わせたように拳を突き上げた。
「……異議、ありまくりですわ……。誰か、一人くらい反対してくださいまし……」
私の震えるような抗議は、周囲の祝福の嵐にかき消された。
「殿下。一言いいですか。今のやり取り、記録官がすべて公文書に書き記しました。後世の歴史家は、この日を『帝国一のバカップル誕生の日』と呼ぶことになるでしょう」
ケイン様が、これ以上ないほど冷めた目で私たちを見ていた。
そうよ、ケイン様。これが、これが私の求めていた「冷ややかな視線」ですわ!
でも、たった一人じゃ、この会場の「ピンク色の狂気」は止められませんわ!
「さあ、マリア。僕の断罪、受け入れてくれるね?」
レオンハルト様が、私の顎を優しく持ち上げる。
その誠実で、逃げ場のない瞳。
「……受刑、いたしますわ。ただし、キスは一回にまけてくださいまし……」
「ははは。執行猶予はなしだよ、マリア」
そう言って、殿下は会場のど真ん中で、私の唇に誓いの口づけを落とした。
悪役令嬢への道。
王子の「逆断罪」によって、私は全貴族の前で「愛の囚人」としての身分を確定させてしまった。
私の「婚約破棄大作戦」は、ここに来て、再起不能の完全敗北を喫したのであった。
私は、レオンハルト殿下の腕の中で、魂が口から半分はみ出したような状態で立ち尽くしていた。
「……もう、いいですわ。好きになさってください。私は、ただの『嘘つきな無能』として、静かに余生を過ごしたいだけですのに……」
「ははは、マリア。君は本当に謙虚だね。だが、君が望んだ『断罪』を、僕はまだ完遂していない。誠実な男として、君の罪をすべて白日の下にさらさなくては」
レオンハルト様は、楽しそうに目を細めると、再び会場の全員に向かって声を張り上げた。
「皆様、静粛に! 今から、僕がマリアの真の『罪』を読み上げる! これを聞いてもなお、彼女を僕の妃として認めるかどうか、皆の心に問いかけてほしい!」
(……えっ? ついに本気で私を責めてくださるの!?)
私は期待で胸を高鳴らせた。
そうよ、殿下。私がこれまでにしでかした、本当に恥ずかしい不手際や、王家の品位を汚すような振る舞いを暴露してください!
そうすれば、いくら盲目な貴族たちだって「流石にそれは……」と引くはずですわ!
レオンハルト様は、懐から一冊の手帳を取り出した。
……嫌な予感がしますわ。その手帳、私が何かするたびに殿下がこっそり書き込んでいた「マリア観察日記」ではありませんこと?
「マリアの第一の罪! 去年の冬、僕に手編みのマフラーを贈ろうとして、結局編み方が分からず、ただの『一本の長い紐』を渡してきたことだ!」
「ぶほっ!? 殿下、それは言わない約束ですわ!!」
会場から「……可愛い」「なんて健気な」「一本の紐でも王子には絆に見えたのね」という温かな声が漏れる。
「第二の罪! 僕の誕生日に、僕の肖像画を描こうとして、あまりの絵心のなさに僕を『謎の深海魚』のように描き上げたことだ! おかげで僕は、自分のアイデンティティを見失いそうになったよ!」
「やめて! あれは、躍動感を表現しようとした結果なんですのよ!」
「だが、その深海魚の絵の裏に『殿下が世界で一番大好き』と小さく書き添えてあった! その不意打ちの殺傷能力、国家転覆罪に値するほどの破壊力だ!」
「書いてません! 書いた記憶はありませんわ!!(……いえ、恥ずかしさのあまり記憶から抹消しただけかもしれませんわ!)」
会場の淑女たちが「尊い……」「愛が溢れすぎているわ……」と、ハンカチで目元を拭い始めた。
おかしい。断罪のはずが、ただの「のろけ話の暴露大会」になっている。
「第三の罪! 昨夜、僕の寝室の所有権を主張した際の、あの熟したリンゴのような真っ赤な顔! あの表情を僕一人で独占できないことが、国民に対する最大の背信行為だ!」
「殿下!! もう、もういい加減にしてくださいまし!!」
私は顔面から火が出るほどの羞恥心に耐えきれず、殿下の胸に顔を埋めた。
これ、断罪じゃありませんわ。公開処刑ですわ。私のプライバシーという名のライフはもうゼロです。
「皆様、見たまえ! このようにマリアは、その圧倒的な愛らしさで僕を翻弄し、僕の理性を常に限界まで追い詰めている! これほど罪深い女性を、僕以外の誰が御せるというのか!」
レオンハルト様は、私の肩を抱き寄せ、勝利を確信したような笑顔を浮かべた。
「マリア・フォン・ベル。君の罪に対する判決を下す。君は一生、僕の腕の中から出ることを禁ずる! そして、毎日僕から百回のキスと、千回の愛の言葉を受け取らなければならない。異議はあるかね?」
「「「異議なし!!」」」
会場の全員が、示し合わせたように拳を突き上げた。
「……異議、ありまくりですわ……。誰か、一人くらい反対してくださいまし……」
私の震えるような抗議は、周囲の祝福の嵐にかき消された。
「殿下。一言いいですか。今のやり取り、記録官がすべて公文書に書き記しました。後世の歴史家は、この日を『帝国一のバカップル誕生の日』と呼ぶことになるでしょう」
ケイン様が、これ以上ないほど冷めた目で私たちを見ていた。
そうよ、ケイン様。これが、これが私の求めていた「冷ややかな視線」ですわ!
でも、たった一人じゃ、この会場の「ピンク色の狂気」は止められませんわ!
「さあ、マリア。僕の断罪、受け入れてくれるね?」
レオンハルト様が、私の顎を優しく持ち上げる。
その誠実で、逃げ場のない瞳。
「……受刑、いたしますわ。ただし、キスは一回にまけてくださいまし……」
「ははは。執行猶予はなしだよ、マリア」
そう言って、殿下は会場のど真ん中で、私の唇に誓いの口づけを落とした。
悪役令嬢への道。
王子の「逆断罪」によって、私は全貴族の前で「愛の囚人」としての身分を確定させてしまった。
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