念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

文字の大きさ
85 / 180

第85話 意外な才能

しおりを挟む
 フィオが閉じてた目を開け、自分の前に浮かんだ氷塊を見て歓喜の声を上げる。

 「おっ! おお! これってもしかして私出来てる?」
  
 「出来てます出来てます。いいですよフィオさん! さあ、今度はそれをあの的に向かって飛ばしてみて下さい」

 ロマリが部屋の壁に掛けられた的を指差す。
 
 フィオは「こう?」と言って、氷塊を手に持って野球ボールのように投げる。

 豪速球で投げられた氷塊は的に当たりパンッ! と弾けて粉々になってしまう。
  
 「あっ!」

 それを見たロマリが声を上げ、両手で頭を抱えながらその場に崩れ落ちる。

 「ああ……。違うんです。物理的に飛ばすんじゃなくて、氷を相手にぶつけるイメージをするんです」

 「そうなの!? ごめんごめん。最初からやり直しだね」

 「いえ、フィオさんのせいじゃなくて言わなかった僕が悪いんです……。それにしても初めてなのにあのサイズのものを出せるなんて思いませんでしたよ」

 「えへへ、私って才能があるのかも」

 褒められたフィオが照れくさそうに笑う。

 「才能あるんじゃないか? 俺は炎だったけど、しっかりとした形になるまでしばらく掛かったからなあ」

 「私なんて一粒も出てきてないのに、あんな大きな氷を出せるなんて才能あるわよ。先生もそう思うでしょ?」

 「プロのお墨付きだしいいんじゃないかい。さっきの二段突きといいフィオはギフトとの相性はよさそうだね」

 フィオがもう一度氷を出そうと試みてると、ロマリが魔法についていくつか補足をしてくれる。

 「魔法を新しく作るときはこういう基礎魔法から派生させていくんですよ。何度も練習してギフトラベル無しで出せるようになれば、自分で新しい魔法を開発出来ますよ」

 「そういえばソウタもオリジナルの魔法作ってわね」

 「そうそう。最初は一つしか使えなかったけど、最近は色々試してるんだよ」

 「魔法書か魔法のギフトラベルがあれば比較的簡単に使えますけど、オリジナルの魔法は難しいですからね。良ければ何か見せてもらってもいいですか?」
 
 「でも、ここで炎系の魔法使っても大丈夫ですか?」

 「構いませんよ。この部屋の壁や床は普通の物よりも頑丈に造られてますから」 
  
 「じゃあ、最近使えるようになったやつやってみますね」
 
 俺はみんなと距離をおいて、目の前の敵を炎で吹き飛ばすイメージをする。

 「よし! 《バーストファイヤー》!」

 魔法石が俺の言葉に反応して輝き、手のひらから身の丈程の炎と爆風が発生する。

 よっしゃ! 上手くいったな! 

 「お見事です! いやースゴいですね! それがソウタさんのオリジナル魔法ですか」

 ロマリが俺の魔法に拍手をしながら称賛してくれる。

 「飛距離はそんなにないんですけど、敵に密着されたときとかにいいかなと思って編み出したんですよ」

 「僕達は常に敵と距離をおいて戦うからその発想はなかったですね。よろしければ後で記録させて下さい」

 「むしろこんなので良ければ全然使ってやって下さい」
 
 「すごく助かります。それとその魔法石ちょっと見せてもらっていいですか?」

 俺がペンダントを首から外してロマリ君に手渡すと、魔法石を顔に近づけてじっくりと鑑定をする。
  
 「すごい……。これ、どこで買ったんですか?」

 「それはこの世界の知人に貰ったんですよ」  

 「貰った? これを……ですか?」
  
 「ええ、気前よくくれたんですよ。色んな人が言うには結構いいやつらしいですね」  

 「いいやつどころか、もしランク分けするならSランク相当の魔法石ですよ。これをくれた人を紹介してもらえませんか?」

 これってそんなに良いやつなの!? でもアリエルって違法ギフトも作ってるみたいだから、紹介していいものか悩むな。

 「ああ……今度本人に聞いてみますね。今どこか出掛けてるらしくて、連絡が付かないんで戻ってきてからでもいいですか?」
  
 「そうですか。もし連絡が付けばよろしくお願いしますね。では、魔法についてはこの辺でいいですかアハナさん?」

 ロマリ君が俺ペンダントを返してくれ、アハナさんに確認をする。

 「ありがとうございましたロマリ君。皆さんもこれで実技を終了してよろしいですか?」

 「ああ、見せてもらったんでどんなもんか解ったよ。技も魔法もそのギフトラベルってやつに記録したら使えるようになるってことだね」

 「魔法系や固有スキル系はほとんどこのギフトラベルになります。一部例外がありますけど、基本的にはこのギフトラベルがどの分野においても幅広く使用されてますね」

 「詳しく説明してくれてありがとう。勉強になったよ」

 「まだ話すことは沢山ありますけど今日はこの辺にしておきましょう。気になることがあればまた聞きに来て下さい」

 「団長さんも連日すまなかったね。おかげでこの世界のことが知れたよ」
 
 「いえ、皆さんの力も見せてもらいましたし、先程も協力していただき助かりました。これならアークの連中をどうにか出来るかもしれません」

 「私達は別に力を見せつけたかったわけではないからそこだけは誤解しないでもらいたい。ただ、目的は同じのはずだから、互いに協力しあえればどうにかなるんじゃないかと思ってるだけさ」

 ウラガン団長はイネス先生の言葉に共感し、力強く首を縦に振る。
 
 「本音を言うと自分達だけでどうにかしたいですが、今はこの国のギフトを悪用させないようにするのが最優先です。是非とも皆さんの力を貸してください」

 「奪う以上何か策があるはずだから早いとこ取り返さないとね。そのためにはこっちも一枚岩になる必要がある。一方的な頼みごとばかりですまないが、改めてよろしく頼むよ」

 「国王にも私から言っておきましょう。それからロマリ。ウェアリ殿の具合はどうだ?」

 「さっき自室で元気そうに羊羮を食べてましたけど、呼んできましょうか?」

 「いや、元気そうなら良かった。まだ安静にしてた方がいいだろうから、後でこのことを伝えておいてくれ」
 
 「解りました。じゃあ僕はこの辺で失礼しますね」

 「ほお、あのじいさんまだ生きてたんだね。中々しぶといじゃないか」
  
 ウェアリさんの生存を聞いたイネス先生が顎に手を当ててボソッと呟く。

 残念そうに言うんじゃない!

 まったく……すぐウェアリさん殺したがるんだからイネス先生にも困ったもんだな。

 ロマリは部屋から出る前に何かを思い出し、壁に置かれたいくつかの武器の中から杖を取り出してリネットに渡す。

 「リネットさんこれを使ってみて下さい。これがあればすぐにさっきの魔法を使うことが出来ますよ」

 「え? こんなの貰っていいの?」   

 「ええ、先程の魔法石とギフトラベルもプレゼントしますので、これと合わせて是非とも魔法を習得してください」

 ロマリはそう言って部屋を出ていき、リネットは貰った杖を大事そうに抱える。

 「良かったなリネット。それって多分その辺には売ってないやつだぞ」

 「ふふっ、見てなさいよソウタ。すぐに大魔法使いになってやるんだからね」

 リネットは不敵な笑みを浮かべ杖を握りしめる。

 一人だけ魔法が使えなかったのがかなり悔しかったみたいだな……。
 
 「いい物も貰ったことだし、そろそろ帰りますかイネス先生?」

 「そうしようかね。今日も随分と長くお世話になったことだし、そちらが良ければまた明日にでもしようか」

 俺達は帰り支度をして外に出ると日が落ち始めていた。

 エクシエルさん達は先に帰ったって言ってたけど俺達が長居しすぎたんだな。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...