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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
7:第一候補
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「まあ、まあ……落ち着いてくださいって。正式なものじゃなければいいじゃないですか」
「正式じゃないって……非公式でって事? そんな事していいの?」
どうどうと僕を落ち着ける様なジェスチャーをしたロンの言葉に、僕は不安になりながらシュロムへと視線を向ける。
「……今の第一候補の令嬢であれば、あちらも許可を出すだろう」
普通だったらあり得ない事なのに、シュロムはそう答えた。
「成人してない年齢のご令嬢だろうけど……男の側妃とのお茶会を許す保護者って……どこの家?」
「ノウリッジ……ミニスター宰相家の孫娘だ」
その言葉に、僕は目を見開く。
「ノウリッジ様の?」
父と友人であの事件の時もお世話になった人の名前に驚く。
確かにあの人なら、僕とのお茶会を許すかもしれない。
そんな事を考えていたら、シュロムが令嬢の名前を告げる。
「ああ。名前は、マリカ・ミニスター。イデアルの一つ下の令嬢だ」
そのマリカという名前に、僕は動きを止める。
それは、僕の知る未来の知識に刻まれた名前。
イデアルの妃として、イデアルを支え、励まし続けた女性の名前だった。
第一候補として、彼女の名前が上がるのは想像していなかったが、考えてみれば出自や王妃としての素質を考えた結果、正妃になるのだ。
たとえ、世界が変わっているとしても僕の知る未来で妃になる事が確定している令嬢が第一候補ではない訳がなかった。
僕がシュロムに未来を語らなくても、世界は道筋から大きく外れる事なく進むのかもしれない。
そうなると、今のリスティヒがいない世界で、内乱や隣国との戦争が巻き起こる可能性も否定できなくて嫌になるのだけど……。
「ディロス?」
「ああ……ごめん。ノウリッジ様の孫って言うからどんな子か考えてた」
僕を呼んだシュロムに咄嗟にそれっぽい事を話す。
駄目だ駄目だ。今は、遠い未来の事を気にするより目の前の事を考えないと。
「ノウリッジの孫娘ではあるが……意外とお転婆らしい」
ノウリッジ様から話を聞いているのか、シュロムが面白そうに笑う。
そう、彼女はそうだった。穏やかで優しいイデアルとは、対照的にはつらつとした描写をされていたと思う。
どちらかと言えば、ティグレに性格が近い……のかもしれない。
「それでだ。ディロス」
「なに?」
「一つ聞きたいのだが……かの令嬢は、お前の目から見て……イデアルに相応しい者だろうか」
その言葉は、今まで僕に未来を聞いてこなかったシュロムから初めて問われる質問だった。
この部屋にいるのは僕とシュロム。そしてロンとモリーの親子だけ。
ロンは僕が僕の記憶についてシュロムに話した時に部屋で控えていたし、モリーにも、モリーがロンから立場を引き継いで正式に僕専属の侍女兼護衛になった時に僕の記憶については話してある。
この場で、未来を話す事に問題はなかった。
「正式じゃないって……非公式でって事? そんな事していいの?」
どうどうと僕を落ち着ける様なジェスチャーをしたロンの言葉に、僕は不安になりながらシュロムへと視線を向ける。
「……今の第一候補の令嬢であれば、あちらも許可を出すだろう」
普通だったらあり得ない事なのに、シュロムはそう答えた。
「成人してない年齢のご令嬢だろうけど……男の側妃とのお茶会を許す保護者って……どこの家?」
「ノウリッジ……ミニスター宰相家の孫娘だ」
その言葉に、僕は目を見開く。
「ノウリッジ様の?」
父と友人であの事件の時もお世話になった人の名前に驚く。
確かにあの人なら、僕とのお茶会を許すかもしれない。
そんな事を考えていたら、シュロムが令嬢の名前を告げる。
「ああ。名前は、マリカ・ミニスター。イデアルの一つ下の令嬢だ」
そのマリカという名前に、僕は動きを止める。
それは、僕の知る未来の知識に刻まれた名前。
イデアルの妃として、イデアルを支え、励まし続けた女性の名前だった。
第一候補として、彼女の名前が上がるのは想像していなかったが、考えてみれば出自や王妃としての素質を考えた結果、正妃になるのだ。
たとえ、世界が変わっているとしても僕の知る未来で妃になる事が確定している令嬢が第一候補ではない訳がなかった。
僕がシュロムに未来を語らなくても、世界は道筋から大きく外れる事なく進むのかもしれない。
そうなると、今のリスティヒがいない世界で、内乱や隣国との戦争が巻き起こる可能性も否定できなくて嫌になるのだけど……。
「ディロス?」
「ああ……ごめん。ノウリッジ様の孫って言うからどんな子か考えてた」
僕を呼んだシュロムに咄嗟にそれっぽい事を話す。
駄目だ駄目だ。今は、遠い未来の事を気にするより目の前の事を考えないと。
「ノウリッジの孫娘ではあるが……意外とお転婆らしい」
ノウリッジ様から話を聞いているのか、シュロムが面白そうに笑う。
そう、彼女はそうだった。穏やかで優しいイデアルとは、対照的にはつらつとした描写をされていたと思う。
どちらかと言えば、ティグレに性格が近い……のかもしれない。
「それでだ。ディロス」
「なに?」
「一つ聞きたいのだが……かの令嬢は、お前の目から見て……イデアルに相応しい者だろうか」
その言葉は、今まで僕に未来を聞いてこなかったシュロムから初めて問われる質問だった。
この部屋にいるのは僕とシュロム。そしてロンとモリーの親子だけ。
ロンは僕が僕の記憶についてシュロムに話した時に部屋で控えていたし、モリーにも、モリーがロンから立場を引き継いで正式に僕専属の侍女兼護衛になった時に僕の記憶については話してある。
この場で、未来を話す事に問題はなかった。
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