お飾り婿の嫁入り 血の繋がらない息子のために婿入り先の悪事を暴露したら、王様に溺愛されました

海野璃音

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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

16:専属侍女

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「はぁ……」

 お昼を食べ、アグノスのお昼寝にティグレが付き合ってくれたのを寝かしつけてから、一人書庫で本に囲まれてため息を吐く。

 イデアルに偉そうな事を言ったんじゃないかと反省中なのだ。

 夫婦や伴侶の形は数あれど……僕も覚悟を決めたようでまだ揺れているからね。

 もっとしっかりしていたら良かったんだけど……どことなく不安定なのは、やっぱり自分自身に自信がないのだろう。

 取り柄といえば読書くらいしかないからね僕。

 前世の知識から考えても根っからの読書好きだったことは伺える。

 シュロムとの距離が近づいたのも互いに趣味が読書だったからだし……僕の根幹を支えるものであるのは間違いないんだけどね。

 でも、もっとこう……これだけは負けないって物があれば良かったのになぁ……。

 一人で時間を過ごせば過ごすほど思考がぐるぐるとする。

 出口のない迷路に居るかのようだ。

「ディロス様ー。そろそろ、休憩にお茶はいかがですかー?」

 思考の渦に囚われていたところにいつの間にかモリーがお茶を持ってきてくれていた。

「それじゃあ……いただこうかな」
「はーい」

 ゆるい口調とは、対照的にてきぱきとお茶と焼き菓子をテーブルに並べてくれるモリー。

 前の離宮から僕に付いてくれている彼女の動きは、だいぶ完璧な侍女らしいものになっている。成長したなぁと思うのは、主としてよりかは、親心や兄心といったところだろうか……。

 あの事件で、顔に傷ができてしまったけど、愛嬌のある顔をしているし、護衛騎士達の間では、人気が高いらしい。

 結婚するなら強い人しか興味がないと言っているから、恋愛的な事情は一切感じられないのが彼女らしいのだけど。

 ただ、僕の護衛騎士長であるミゲル様いわくモリーが人気の理由は、愛嬌だけではないとの事だった。

 護衛騎士は、王直属の王家を守る騎士である。

 時には、家族よりも王家を優先しなければならない事もあるゆえに忠誠心を結婚した妻に理解されなかった場合、離縁状を叩きつけられる場合もあるらしく……職務に理解のある同僚の護衛騎士のご息女や離宮勤務の侍女、暗部に所属する女性などが特に人気なのだそうだ。

 そして、モリー。実はこの三つを満たしている。

 実父が護衛騎士団団長のイロアス様で母方は祖母の代から王家に仕える従者や侍女の家計。そして、暗部のトップであるロンの養女。

 上司である実父や養父の厄介さを理解してなお、王家を優先しても理解してくれるという確信が持てる家柄。

 そして、命を賭ける事となっても僕の元へ戻った忠誠心等が若い護衛騎士達の心を射止めているらしい。

 ほぼ同様の理由で、彼女の姉であるマリーも同様の理由で人気が高いのだけど……まあ、彼女もしばらくは結婚するつもりないそうだ。

 姉妹ともに職務に生きるつもりなんじゃないかと心配してたりする。

 こういうの老婆心っていうのかな? 僕が心配しても仕方ないんだけどね……。

 でも、ロンに似てきたけど彼女の明るさには救われているし、彼女が僕の侍女であるかぎりは頼りにしようと思ている。
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