お飾り婿の嫁入り 血の繋がらない息子のために婿入り先の悪事を暴露したら、王様に溺愛されました

海野璃音

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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます

26:見送り

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 子供達を加えたお茶会のマナー講座も終わり、エリーを見送る為に玄関へと向かうと久しぶりにシュロムが早めに帰ってきた。

「おかえり。今日は早いねシュロム」
「ああ、たまにはと思ってな。エリーは今から帰りか?いつもすまないな」
「いえいえ、お二人のお力になれるのであれば、この老体でも駆けつけますとも」

 シュロムを迎えれば、シュロムはエリーと話し出す。

 もしかしたら、久しぶりにエリーの顔でも見たかったのかもしれない。

 シュロムは、この二週間エリーのいる時間帯に帰ってくる事はなかったからね。

 でも……こっちに来る前にエリーがシュロムの所に顔だしてたりしてそう……じゃあ、単純に早く帰ってきただけかも?

「しかし、残念だな。子供達も参加した茶会をしてると聞いて帰ってきたのだが……俺も久しぶりにエリーに作法見てもらおうと思ったんだがな」

 あ、そっち。皆参加してたから、自分も参加したくて、急いで仕事終わらせてきた感じか。

「シュロム様は、私の講義などもう必要ないでしょうに……ですが、未だに師として慕ってもらえるのは嬉しいことですね」

 シュロムの言葉に乳母としてか、師としてか、あるいはどちらとしても嬉しいのかエリーが笑みを浮かべる。

「しかし、あなた様も教鞭を取るに相応しい作法を身に付けていらっしゃるのですから、ディロス様や殿下方の頑張りを見てあげてくださいな」

 そう言ってエリーが子供達へと視線を向ければ、シュロムの視線も子供達へと向き、ティグレとアグノスの目が輝く。

「父上! 俺ちゃんとエリーからお茶の飲み方おしえてもらったんです!」
「父上! アグノスも! アグノスも!」

 エリーと話している間は邪魔しないように大人しくしていた二人だけど、シュロム達の視線が自分達に向いた事で話してもいいと思ったのか、あっという間にシュロムの元に駆け寄ってぴょんぴょんと跳ねだす。

「そうか。偉いな……それじゃあ、夕食後の茶が出された時にでも見せてもらおうか」

 そう言いながらティグレとアグノスの頭を撫でるシュロム。

 その笑みはすごく優しい父親のものだった。

 あの顔するシュロムを見るとやっぱり嬉しいし、好きなんだよなぁ……。

 王であるシュロムもかっこいいけど、父親の顔をしているシュロムの表情も優しいから好きだ。

 ……僕を見つめる優しい顔も、あれはあれで好きなんだけど。……子供達もエリーもいるからにやけそうなの我慢しなきゃ。

 なんて、思っていたらシュロムと目が合う。

 あんな事考えてたからちょっと気恥ずかしい……。

 目が合いながらもちょっと視線をさ迷わせていたら、シュロムが優しく僕へと微笑む。

 っ……!

 その微笑みに僕の顔が赤くなるのがわかった。

 妃として、働くのならこういうのも隠せるようにならないと……なれるかな……。

 自分のわかりやすさを反省しながら、僕の様子に首を傾げる子供達と元凶のシュロムと共に、微笑ましげなエリーを見送るのだった。
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