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本編
4:完全無敵の魔王様
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全てを諦めた俺だったが、突如その体が後ろへと引き寄せられる。
「う、うわっ!?」
予想していなかった突然の動きに、踏ん張ることもできず俺は、何かに引き込まれた。
視界は真っ黒で顔に触れるのは生暖かく、柔らかいなにか。だけど、その質感に比べると湿り気はなく、どこかもっちりとしているという表現がピッタリだった。
全身をそんな何かに包まれた俺だったが、――ボンッ!っと、いう音が聞こえると同時に解放される。
「無事か?」
落ち着いた甘い声に視線を上げれば、中央に穴の空いた魔王の顔があった。それも至近距離に。
「ひぇっ……」
一目惚れした相手の顔が目の前にあるという現実。俺の口から変な声が漏れでたのは言うまでもなかった。
「なっ……我が神殿の叡智の結晶を使っても無傷ですって!?」
遠くでカルラが叫んでいる様な気がするがそれどころではない。
近い。近すぎる。というより、今どんな状況!?
魔王のお膝の上with俺!
しかも、しっかりと抱き寄せられてる俺!
あ、見た目どおり胸板も腕もたくましい……。
「聖女……いや、神殿というのはあまりにも非人道的な行いをするようだ」
魔王のたくましさにメロメロになっていたら、魔王がどこか嘆くように呟く。
え、まさか俺が自爆させられそうになったの悲しんでくれるの?ってか、俺……魔王に取り込まれて助かった感じ?
えぇ……マジでぇ?すきぃ♡初対面な俺を咄嗟に庇ってくれて、自爆させられそうになったのを嘆いてくれるとかめっちゃいい人~♡
しかも、ヤバそうな爆発くらっても無傷。え、なに、無敵?無敵なの?
優しくて強いとか、めちゃめちゃスーパーダーリン。スパダリじゃん。
魔王に助けられた事で、恋心キュンキュン。乙女になりそうな俺。
もう魔王になら抱かれたっていいくらい!
「忌々しい魔族め……」
「恨み言を言うのは構わんが……そう思いたいのはこちらの方だ」
俺が女の子になっていたら、なんだか話し込んでいた雰囲気の二人が睨みあっている。魔族の目がないからおそらくだけど。
「だが、勇者も聖剣も我に害を及ぼすものではなかった。今回ばかりは見逃そう」
「なにをっ……!」
魔王の余裕を持った声に、カルラが言葉を募ろうとするが、魔王の方が早かった。
「魔女よ。やれ」
「御意に」
魔王の言葉に答えたのはメディ。その声にカルラとアンヌは驚いたように目を見開いた。
「メディ!? 貴女……!」
「メディ! ま……待ってくれ!」
「ごめんなさい?我が君の望みなの」
メディが笑みを浮かべると、カルラとアンヌの足元に魔方陣が浮かび、二人が魔方陣の中に閉じ込められる。
「神殿と王宮に伝えよ。二度目はないと」
魔王の怒りが籠った低い声が玉座の間に響く。
その声は、俺に向けた優しいものではなく、外見に見合った低く地を這うような声だった。
「う、うわっ!?」
予想していなかった突然の動きに、踏ん張ることもできず俺は、何かに引き込まれた。
視界は真っ黒で顔に触れるのは生暖かく、柔らかいなにか。だけど、その質感に比べると湿り気はなく、どこかもっちりとしているという表現がピッタリだった。
全身をそんな何かに包まれた俺だったが、――ボンッ!っと、いう音が聞こえると同時に解放される。
「無事か?」
落ち着いた甘い声に視線を上げれば、中央に穴の空いた魔王の顔があった。それも至近距離に。
「ひぇっ……」
一目惚れした相手の顔が目の前にあるという現実。俺の口から変な声が漏れでたのは言うまでもなかった。
「なっ……我が神殿の叡智の結晶を使っても無傷ですって!?」
遠くでカルラが叫んでいる様な気がするがそれどころではない。
近い。近すぎる。というより、今どんな状況!?
魔王のお膝の上with俺!
しかも、しっかりと抱き寄せられてる俺!
あ、見た目どおり胸板も腕もたくましい……。
「聖女……いや、神殿というのはあまりにも非人道的な行いをするようだ」
魔王のたくましさにメロメロになっていたら、魔王がどこか嘆くように呟く。
え、まさか俺が自爆させられそうになったの悲しんでくれるの?ってか、俺……魔王に取り込まれて助かった感じ?
えぇ……マジでぇ?すきぃ♡初対面な俺を咄嗟に庇ってくれて、自爆させられそうになったのを嘆いてくれるとかめっちゃいい人~♡
しかも、ヤバそうな爆発くらっても無傷。え、なに、無敵?無敵なの?
優しくて強いとか、めちゃめちゃスーパーダーリン。スパダリじゃん。
魔王に助けられた事で、恋心キュンキュン。乙女になりそうな俺。
もう魔王になら抱かれたっていいくらい!
「忌々しい魔族め……」
「恨み言を言うのは構わんが……そう思いたいのはこちらの方だ」
俺が女の子になっていたら、なんだか話し込んでいた雰囲気の二人が睨みあっている。魔族の目がないからおそらくだけど。
「だが、勇者も聖剣も我に害を及ぼすものではなかった。今回ばかりは見逃そう」
「なにをっ……!」
魔王の余裕を持った声に、カルラが言葉を募ろうとするが、魔王の方が早かった。
「魔女よ。やれ」
「御意に」
魔王の言葉に答えたのはメディ。その声にカルラとアンヌは驚いたように目を見開いた。
「メディ!? 貴女……!」
「メディ! ま……待ってくれ!」
「ごめんなさい?我が君の望みなの」
メディが笑みを浮かべると、カルラとアンヌの足元に魔方陣が浮かび、二人が魔方陣の中に閉じ込められる。
「神殿と王宮に伝えよ。二度目はないと」
魔王の怒りが籠った低い声が玉座の間に響く。
その声は、俺に向けた優しいものではなく、外見に見合った低く地を這うような声だった。
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