転生腐男子、BLゲー主人公となり解釈違いだと叫ぶ。

海野璃音

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辺境の村の神子

六話

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 夕食を食べた後、レオーレ様と大神殿に到着した後の予定を少しだけ話して寝ることになった。

 レオーレ様は、護衛もかねて同じ部屋で寝てくれている。俺とは別のベッドで寝ているとはいえ、レオーレ様ほどの美形が同じ部屋にいると思うと眠れない。昼間気絶してたのもあるんだけどな。

 薄暗い部屋の中、レオーレ様のベッドへと視線を向ければ、仰向けで目をつぶっているレオーレ様の姿が窓から差し込む月明かりに照らされている。その様子はレオーレ様の美貌も相まってあまりにも神秘的過ぎた。

 ……どう考えても、攻略対象レベルで顔が整っているんだよなぁ。

 原作では、主人公君の大神殿時代はさらりと流されたし、ゲームの始まりも加護の儀の回想から始まったので大神殿でこんな美形にお世話されていたという話はなかったはずだ。

 もしかしたら、俺の持っている前世の記憶以降で続編とかファンディスクとか出たのかもしれないけど……正直、そこまでの確信は持てない。

 なにより、大神殿に行くまでの道中でワイバーンに襲われるなんてことがあったら普通に俺の知っている原作で語られるはずだろうしな。

 ということは、ここは俺の知っている原作に非常に近い異世界という可能性もある。まあ……それも確定ではないんだけど。

 レオーレ様に向けていた視線を戻し、天井を見つめる。そして、前世を思い出してから何度も考えていた原作について考え始めた。

 俺の前世の記憶にある原作と読んでいる作品は『メディウムフェリシテ』と呼ばれるBLゲーム。

 十歳に受ける加護の儀で創造神の加護を得た主人公『(デフォルトネーム:ルカ)』が十五歳で王侯貴族の子息達が通う王立学園に入学するという王道ストーリー。

 攻略キャラと恋愛を楽しみながら、モブ貴族達からの差別や偏見を乗り越えて、卒業式で婚約を発表するのがハッピーエンド。バッドエンドはなく、誰とも成就しなかったらノーマルエンドとして大神殿に戻り、神子として一生を過ごす。

 俺の記憶を思い出してからの目標としてはこのノーマルエンドだ。主人公君になったとしても俺は俺だし、俺が推しとイチャイチャするのは解釈違いだからな。

 そして、俺の推しでもある攻略キャラは五人。

 金髪碧眼、正統派美青年でこの国の第一王子レックス。

 銀髪赤眼、長髪でクールビューティー美人な公爵家出身の宰相子息ジェレミア。

 茶髪茶眼、体育会系好青年で侯爵家出身の騎士団長子息リッド。

 黒髪紫眼、高身長メカクレ隠れイケメンで伯爵家出身の魔術師団長子息エレノア。

 黒髪桃眼、小悪魔系美少年侯爵家出身、レックスの元婚約者シオン。

 いずれも王族、または上位貴族と大盤振る舞いのメンバーだ。そして、メインヒーローは当然王子のレックス。

 王子として神子を伴侶にと望まれる苦悩や国が祝福を得るために神子の人生を国や神殿に縛っていいのかという葛藤を抱えながら主人公君と交友していくうちにその人柄に惚れていくが、前述した苦悩と葛藤に苦しむレックスと互いの困難を乗り越えていくという流れになる。

 イベントも多く、イベントの数だけスチルも多い。善良な正統派王子らしいストーリーは流石メインヒーローと言って過言ではない。

 なのだが……それと同じくらいイベントが多く優遇されているのがレックスの元婚約者のシオンだ。

 シオンは攻略キャラでもあるが、生まれた時から十歳までレックスの婚約者として決められていたのに、俺が表れてしまったせいでレオンとの婚約が白紙となったせいで、最初は嫌われている。

 だが、なんだかんだと正義感が強くお人好しな部分があり、主人公君がモブ子息にいじめられていたところを一番最初に気づいてくれるのがシオンなのだ。

 お人好し系ツンデレ小悪魔はこれがまた可愛くて可愛くて……攻略が進んだ暁には黒髪黒目の主人公君と双子コーデをしたり、えっちなシーンで見せる雄顔がたまらなくいい!

 推しの中で一番周回したのはシオンだと断言できる。

 そして、この二人。元婚約者同士ということもあり、関連イベントが多い。主人公君が二人以外のルートに進んだら元鞘を匂わされる公式回答も確かあった。

 主人公至上主義の過激派の人達からは蛇足!と厳しい言葉もあったが、それはそれ、これはこれと二次創作がはかどる!と荒ぶる同士もいた。

 それぐらい二人は公式で優遇されている。どちらかというと主人公至上主義推奨派である俺からしたらまあ……ルート外とはいえ、主人公君を思ってくれなかったのは悲しいが、二人にも二人の人生があると思いながら、次の周回ではどっちかのルートを選択したものだ。

 まあ、俺が主人公君に転生してしまったから二人には二人で幸せになってもらいたいところだけど。

 ちらっとSNSで見かけた3P二次創作みたいには絶対にならない。ならない!!!!!

 ワイバーンの事があったし、今後の人生がどう転ぶことになるかは予想がつかない。最悪も……最悪も考えておかねば……。攻略キャラ全員に監禁調教ルートとか……。いやだぁあああっ!解釈違い!解釈違いだー----!

 創作では美味しいジャンルかもしれないけど、俺自身がそうされるのはいやだぁあああっ!
             
「……ルカ様?どうされました?」

 最悪の想像をして、ベッドで寝がえりを打つように転がっていたら、その音に気づいたレオーレ様がベッドから体を起こしていた。

「えっと……落ち着かなくて……起こしてごめんなさい……」
「いいえ、大丈夫ですよ。あのような事がありましたからね。昼間も意識を失っておられましたし……眠れなくても仕方ありません」

 俺の言葉に優しく返してくれるレオーレ様に心苦しくなる。嘘は言ってないけど……昼間の事で落ち着かないわけじゃないんです。自分で妄想膨らませすぎて自滅しただけなんです。きっかけは昼間の事だと思うけど。

「ルカ様が眠れるまでお傍にいましょう。一人だから落ち着かないのかもしれませんし」
「あ、いえ!そこまでしてもらうわけには……!」

 レオーレ様を止めようとしたけど、レオーレ様はベッドから起きだし、俺のベッドへと歩み寄ってくる。

「明日も馬車ですから寝ないと辛いですよ。私は大丈夫ですので気にせずお休みください」

 俺のベッドの淵へと腰掛け、レオーレ様は俺の頭を撫でる。頭を撫でられながら見上げたレオーレ様は月明かりに照らされ、穏やかにきらめく金髪が美しく、ゲームであったら神スチルだといえるような構図だ。

 あまりに美しい姿にドキドキしながらも、頭を撫でられる心地よさにだんだんと眠くなってくる。

「おやすみなさいルカ様」

 うっつらうっつらとしている時に耳に届いたレオーレ様の声はすごく優しい響きをしていて、それに安心するかのように俺は眠りについたのだった。
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