転生腐男子、BLゲー主人公となり解釈違いだと叫ぶ。

海野璃音

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神子の大神殿での日々

十一話

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 さて、大神殿に迎えられた日から数日が経った。レオーレ様とリアンさんのやり取りに尊みを感じた俺は、なんやかんやと大神殿での生活を満喫している。

 基本的に朝目覚めたら、着替えて、朝食を取って、お祈りして、レオーレ様に授業を受けて、昼食を取って、庭を散歩して、ナザール様やレオーレ様とお茶したり、図書室で借りた本を眺めたり、夕食を取って、お風呂に入って、寝る。と、いう生活を繰り返している。

 今の所、神子である俺に直接かかわろうとする神官はいないから平穏だけど、ちょっと廊下を歩いていたら、上位神官や下位神官からの陰口というものが聞こえてきた。

 やっぱりというか、孤児で平民育ちの神子というのは神子としての力を目の当たりにしても心証が悪いらしい。

 陰口というのを聞く時は、側にリアンさんもいるから、それを聞くたびにリアンさんの笑みが強くなって怖いのだけど、陰口を言った神官達はその後見かけなくなっているので、リアンさんがレオーレ様やナザール様に報告しているようだ。

 彼らがどこに行ったのか俺に知る由もないが、三人が俺を平穏に暮らしてもらう為に仕事をしているのだと思って何も聞かない事にした。

 それに、不良神官について考えるより、神様達にお祈りしていた方が有意義だからね。

 毎日のお祈りを移住区の聖堂で行うようになったらお祈りも最初に大聖堂で祈った時のような派手な反応はしない?っぽいので、安心してお祈りできる。

 それでも、神子が祈る事は他の神官が祈るより効果は強いらしく、最近では魔物の出現が落ち着いたというのをレオーレ様から聞いた。

 いやはや……すごいね神子パワー。たった数日でこんなにも効果があるんだから、王家も貴族も取り込みたいというのがすごくわかる。

 そんなわけで、自分の加護に驚きながらも今日も今日とて教育係であるレオーレ様との勉強会です。

 今教えてもらっているのは、村の神殿でも軽く聞かされていた神話について。神が世界を作り、生物が生まれ、その中でも脆弱過ぎた人間を守護する為の神々を作り、今に至るというのが神話の通説?というより、神殿の教義となっている。

「今日は、神子を虐げ創造神から見捨てられた国の話をしましょうか」

 そう言って、レオーレ様は黒板に文字を書きはじめる。

「神話で語られるほど、遠い昔。創造神の加護を得た神子を虐げた国がありました。

 その神子は貴族のような特権階級の生まれだったようですが不義により生まれた私生児であり、その様な者が神子であるはずないと特権階級の者たちは神殿へと反発したようです。

 もちろん、神殿へ神子が入る事もなく、神官達は何度も神子を虐げる者達へと言葉を重ね、神々に神子の無事を祈りました。

 そんなある日。その国から神々の加護が消え去りました。幸いにも祈りを捧げていた神官達の加護は残っていましたが、そうでない平民や特権階級の者達は突然の事に恐れを感じたようです。

 しかし、恐れていたのは神官達も同じ。神子の身に何かがあったのだと悟りました。

 神官達は、神子の安否を確かめる為に神子の元へと駆けつけました。阻もうとする人間もいたようですが、加護を失った者は、加護の残る神官達の敵ではありませんでした。

 神子が閉じ込められているであろう部屋にたどり着いた神官達はそこで信じられないものを見ました。

 やせ細り、生きているかも怪しい神子の姿を。

 そして、全てを理解しました。消えた加護は神々の怒りであると。

 神官達は意識のない神子を神殿へと連れ帰りましたが、神子はそのまま命を落とし、神子は神官達の手によって手厚く葬られましたが神官達へ残っていた加護も消え去りました。

 そして、神子が命を落としたその夜。その国へ裁きの雷が落ち、神殿以外のすべてを焼き尽くしたそうです」

 ……恐ろしい話である。神子の身としても、一市民としても。

「なぜ、神々は自ら神子を助けなかったんでしょうか?」
「それは、最後まで人の善性を信じたかったのでしょう。ですが、それは叶わぬ願いとなりました。それ以降、人が人を裁く為に私のような裁きの神の加護を持つ者が現れたそうです」

 なるほど、それが裁きの神が生まれるきっかけになったって感じか。

「他の神々への祈りとは違い、加護を持つ者だけしか使えず、加護を持つ者も道を誤れば、神の裁きを受けるほどの加護です。力を持ちえたものは皆神殿に入る事が定められており、時として貴族や王さえも裁く事を求められています」
「そうなんですね……レオーレ様はその加護が辛いと思った事はないんですか?」

 聞いているだけで、精神的な負担の大きそうな加護だ。誰かの罪を裁くとか、俺には想像もできない。

「その様に思った事はないですね。むしろ、神官として正しく生きる事を神々から望まれている事を誇りに思うほどです」

 俺の質問へ答えてくれるレオーレ様の表情は誇らしい笑みに満ちていて、自信が溢れているように感じる。
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