転生腐男子、BLゲー主人公となり解釈違いだと叫ぶ。

海野璃音

文字の大きさ
19 / 31
神子の大神殿での日々

十九話

しおりを挟む
 大神殿での平穏な日々は続き、シオンとの文通も相変わらず順調だ。

 季節は二度目の冬を迎え、今度の春でここで暮らすようになって三年目になる。神子として、神官としての教育はほとんど終わり、今では貴族社会の礼儀作法を集中して学んでいるがそれがまた難しい。

 カトラリーの使い方だったり、立食パーティーのマナーだったり、給仕への貴族らしい対応だったり……。そんなのいいから、祈ってだけ暮らしたいと思ってしまうのは逃げである。

 推し達と学園生活をエンジョイしたいから頑張るしかないのだが。

 今日もリアンと一緒にマナーの勉強をした。レオーレ様は、冬に出る魔物が大量発生し、王都の周辺の村々が被害にあったらしく、一か月ほど前からその討伐と復興支援にあたっている。

 被害を聞いた時は、自分の力不足を嘆いたが、神子が居ない時に比べると被害が少なく、死者がいなかったと聞き、自分が祈る事の意味を失わずに済んだ。

 レオーレ様が大神殿を出た日から毎日のようにレオーレ様の無事と被害にあった村々の一日も早い復興を願いながら祈り、勉学に励んでいる。

 今日の授業を終え、リアンにお茶を入れてもらいながら一人休んでいると部屋の扉が叩かれた。

 リアンが扉を開け、外の神官といくつか話して戻ってくる。

「ルカ様。レオーレ様がご帰還されたようですよ」
「ホントに!?」

 一か月近く会っていなかったので、リアンからもたらされた知らせは俺の心を湧きたたせた。

「出迎えたいけど、今どこに居るのかな!?」
「すぐにこちらにいらっしゃると思いますが……まずはナザール様に報告されるでしょうし、おそらくはそちらかと」

 ナザール様への報告は仕事だから邪魔できないけど、ナザール様の部屋に行く前に顔ぐらいは見れるかもしれない。

「リアン、おかえりだけでも言いたいんだけど……ダメ?」
「……仕方ないですね。少しだけですよ?」
「わかってる!」

 リアンから許可がでたので、白いコートを着せてもらって廊下に出る。外は雪が降っているし、回廊のようになっている廊下もとても寒い。

 白い息を吐きながら同じ区画にあるナザール様の部屋へと向かえば、廊下の反対側から茶色い毛皮のコートを着たレオーレ様が歩いてきた。

「レオーレ様!おかえりなさい!」
「ルカ様!?なぜこちらに」
「レオーレ様が帰ってきたと聞いてお迎えしようと思って」

 俺の着ているコートよりもふもふな毛皮を纏っているレオーレ様に抱き着けば、手袋越しにレオーレ様が俺の頭を撫でてくれる。

 子供っぽいと怒られたらどうしようかと一瞬よぎったけど、優しくなでてくれる手に甘える様にすり寄った。

「わざわざ寒い中ありがとうございます」
「少しでも早く会いたかったから」

 レオーレ様が仕事で大神殿を出る事は多々あれど、俺がいるからか長くても一週間……二週間なかったくらいだから、今回は本当に長い間いなかったのだ。

 レオーレ様のいない日々は寂しく、リアンやナザール様に心配されるくらいには大人しかったらしい。いつも通り振舞っていたと思うんだけど……俺の心の平穏にレオーレ様は必須らしい。

「そうですか」

 俺の言葉にレオーレ様はその美しい顔で微笑み俺の頬を撫でる。

「私も、ルカ様と会いたくて仕方がなかったですよ」

 蕩けるような慈しみと優しさあふれる微笑みを直視し、顔にボッ……!っと、熱が昇った。倒れなかっただけ褒めてほしい。

「これからナザール様への報告があるので、終わったらルカ様のお部屋に向かいます。この一か月、なにをして過ごしていたかお聞かせ願えますか?」
「うん……れ、レオーレ様が何をしてきたかも聞いていいですか?」
「もちろん」

 最後にもう一度頭を撫でてもらってからレオーレ様から離れる。

「リアン、ルカ様を部屋まで頼む」
「かしこまりました」

 レオーレ様に一礼したリアンと共にナザール様の部屋へと入っていくレオーレ様を見送り、部屋へと戻る事にした。

「リアン、レオーレ様とのお茶会の準備をお願いできる?」
「はい。冬の旅路は凍えたでしょうから、温かな紅茶とそれに合う茶菓子を用意しましょうね」
「ありがとう」

 リアンと一緒に冷たい風の吹く廊下を歩く。それなのに心はわくわくして寒さを感じなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!

モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。 その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。 魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。 その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?! ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。

贖罪公爵長男とのんきな俺

侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。 貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。 一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。 そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。   ・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め ・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。 ・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。 ・CP固定・ご都合主義・ハピエン ・他サイト掲載予定あり

神様は身バレに気づかない!

みわ
BL
異世界ファンタジーBL 「神様、身バレしてますよ?」 ――暇を持て余した神様、現在お忍び異世界生活中。 貴族の令息として“普通”に暮らしているつもりのようですが、 その振る舞い、力、言動、すべてが神様クオリティ。 ……気づかれていないと思っているのは、本人だけ。 けれど誰も問いただせません。 もし“正体がバレた”と気づかれたら―― 神様は天へ帰ってしまうかもしれないから。 だから今日も皆、知らないふりを続けます。 そんな神様に、突然舞い込む婚約話。 お相手は、聡明で誠実……なのにシオンにだけは甘すぎる第一王子!? 「溺愛王子×お忍び(になってない)神様」 正体バレバレの異世界転生コメディ、ここに開幕!

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした

和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。 そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。 * 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵 * 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。 ✻✻✻ 2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。

(仮)攫われて異世界

エウラ
BL
僕は何もかもがイヤになって夜の海に一人佇んでいた。 今夜は満月。 『ここではないどこかへ行きたいな』 そう呟いたとき、不意に押し寄せた波に足を取られて真っ暗な海に引きずり込まれた。 死を感じたが不思議と怖くはなかった。 『このまま、生まれ変わって誰も自分を知らない世界で生きてみたい』 そう思いながらゆらりゆらり。 そして気が付くと、そこは海辺ではなく鬱蒼と木々の生い茂った深い森の中の湖の畔。 唐突に、何の使命も意味もなく異世界転移してしまった僕は、誰一人知り合いのいない、しがらみのないこの世界で第二の人生を生きていくことになる。 ※突発的に書くのでどのくらいで終わるのか未定です。たぶん短いです。 魔法あり、近代科学っぽいモノも存在します。 いろんな種族がいて、男女とも存在し異種婚姻や同性同士の婚姻も普通。同性同士の場合は魔法薬で子供が出来ます。諸々は本文で説明予定。 ※R回はだいぶ後の予定です。もしかしたら短編じゃ終わらないかも。→ちょっと終わらないので長編に切り替えます。スミマセン。

処理中です...