転生腐男子、BLゲー主人公となり解釈違いだと叫ぶ。

海野璃音

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神子の大神殿での日々

二十話

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 部屋に戻ってコートを脱ぎ、リアンにお茶の準備を整えてもらう。

 レオーレ様が来るのをワクワクしたまま待っていると、三十分くらい経った後、部屋の扉が叩かれた。

「リアン!」
「はい」

 扉に駆けつけて開けたいけど、俺が自分で開けるのは、マナーとしてはNGだから、リアンの名前を呼び、急かす。ホントはそれもダメなんだけど、この一ヶ月レオーレ様とあっていなかった為か、リアンから注意が飛ぶことはなかった。

「失礼します。ルカ様、お待たせして申し訳ありません」

 リアンが開けた扉の向こうからレオーレ様が入ってきて、リアンは扉を閉めた。

「ううん、待ってるのも楽しかったから来てくれて凄く嬉しいです」

 笑みを浮かべた俺にレオーレ様も優しく笑みを返してくれる。

 リアンがレオーレ様のコートを預かり、レオーレ様は俺の隣へと座った。

「レオーレ様……?」

 いつもは正面に座るのに、同じくソファーに座られて少し驚く。

「先ほど抱きつかれるほど喜ばれたので、こちらの方が喜んで貰えるかと思いまして」

 レオーレ様を見上げた俺に、レオーレ様は少し悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 その麗しさたるや、あまりにも尊い笑みで、こう……じゅっ!……っと、浄化されそうになる。

 神子である俺以上に、ホント神々しい人だよ。

「っ……う……すごく、嬉しい……です……」

 意識が飛びそうになりながら、何度か絞り出した声にレオーレ様が嬉しそうに笑う。

 ……っ!?はっ……!?一瞬飛んだ。意識飛んだ。

 レオーレ様のご尊顔に耐性ついたと思ってたのに、この一ヶ月のブランクで一切合切なくなってる気がする!

 この近距離でお茶会が終わるまで耐えられるの俺!?

 心臓がバクバクしてるのを感じていたら、横でリアンがレオーレ様に紅茶を入れている。

 俺の分も新しいのに変えてくれたから少し飲んで落ち着こう。このまま直視し続けてたら間違いなく意識を失う。

「ルカ様はこの一ヶ月どうされてましたか?」

 自分の鼓動を誤魔化すように紅茶をに口をつけたら、レオーレ様からこの一ヶ月何をしていたか尋ねられた。

「えっと……いつものように祈って、リアンに勉強を教えて貰ってました」
「そうですか。私が居なくとも頑張っておられたんですね」

 俺の答えにレオーレ様が微笑み、頭を撫でてくれる。

 笑顔の尊さと撫でられる嬉しさに内心顔をくしゃくしゃに歪めた。そんなどうしようもない顔を表に出さないだけスッゴい頑張ってると思う。

「その……神子としての、役目も……頑張ってたんですけど……いつも、レオーレ様の無事を、祈ってました」

 顔が崩れないように取り繕いながらそう言えば、レオーレ様はキョトンとした表情を浮かべた。

 ぐっ……超絶美人のキョトン顔は、俺に効くっ……!!

「そうですか……ルカ様にそんなにも思っていただけて私は幸せですね」

 なんとか致命傷で済んだと思ったらとびきりの笑顔が目の前に浮かぶ。

 あ、これヤッバイ。

「ルカ様?」

 あまりの美しさに硬直した俺にレオーレ様が首を傾げる。

「あ……その、レオーレ様の方は、いかがでしたか?」

 名前を呼ばれたことによりなんとか戻ってこれた俺は、そう言いながら手に持っていたカップをテーブルに置いた。

 危なかった。あのままだったら紅茶を溢していただろう。

「討伐に復興支援もしてきたんですよね?」

 覚悟を決めて、レオーレ様を見上げれば、レオーレ様は俺の問いが嬉しかったのか柔らかい笑みを浮かべる。

 すでに、HPがギリギリである俺はそれだけでノックアウト寸前だ。

 おそらく、気合いだけでHP1のまま堪えている。

「ええ。いつもより被害は少ないといえど、数は多く手こずりました」
「大丈夫だったんですか?」
「ルカ様が祈ってくださるおかげか、討伐中吹雪く事もなく、討伐隊に怪我人はいませんでした。今回のように雪と共に発生する魔物は、吹雪の中を襲撃してくるので、天候が荒れなければ倒す事は難しくないのです」

 ゆっくりと語ってくれるレオーレ様。討伐隊に被害がなかったと聞いて安堵した。

 今回の討伐は大神殿の人だけでなく、王国騎士団も参加しての大所帯。祈りが全員に行き渡るか不安だったのだ。

「村の復興もスムーズに進みまして……負傷者は我々神官が治療し、家屋の修理や死者の弔いは、騎士団が担当しました」
「……やっぱり、死者はいたんですね」

 以前よりずいぶん減ったと聞いたが、それでも心は痛む。

「……ルカ様。以前は、一つ二つ村が滅んでもおかしくない災害でした。ルカ様の祈りは確実に届いております」

 痛ましいものを見るような表情でレオーレ様が俺を見下ろす。

 そして、伸ばされた手が俺の肩を掴むと優しく俺の体を引き寄せ、抱き締めた。

「亡くなった者へ心を寄せるのは、良いことですが、痛めるのではなく、死後の安寧を祈ってあげてください。我らが創造神の身元で安らかに過ごせるように」
「……はい」

 抱き締められる温もりと上から降ってくる優しい諭すような声に、心が安らぐ。

 会えて嬉しかったのに、落ち込んで、忙しいな俺の情緒。

 でも、落ち込んでもレオーレ様がこうやって導いてくれるから神子としてあれるのだと実感しながら、寄り添って貰えることに幸福を覚えるのだった。
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