27 / 31
神子の大神殿での日々
二十七話
しおりを挟む
レオーレ様に触れてもらえなくなって数ヶ月が過ぎた。
シオンとの仲は、相変わらず共犯者な友人を保っているけど、何も知らない周りからはやはり、婚約者候補筆頭として扱われている感じはする。
ナザール様とのお茶会の際にも、シオンの事が話題にあがるくらいには。
「最近、シオン様とはいかがですか?」
「仲良くしてもらってます。ただ、まだマナーについて注意される事も多いですけど……」
「シオン様は、貴族社会の子息の中でも身分の高い方ですからね。我々のように神に仕えるべく、貴族社会から離れた者に比べたら、望むレベルが高いのでしょう」
叱られている事を思い出しながら苦笑する俺に、ナザール様はそう告げる。
シオンの身分が高いのは当然だけど、それ以上に幼い頃から王太子の婚約者として王太子妃教育や王妃教育を浮けていたのが厳しさの原因だとは思う。
それと、俺が神殿に戻るとしても、生まれのせいで貴族に舐められないように、神子として完璧を目指させたいってのもあるんだろう。
未だに授業はレオーレ様がしてくれるけど、その成果をシオンに見せて、より細かく直されているって感じだ。
褒めてくれる時は褒めてくれるけど……作法に関してはホント厳しいんだ……。
毎回ちょっと凹むけど、シオンの持ってきてくれるお土産で回復する俺はチョロいと思う。
「……誰を選ぶかは、ルカ様次第ではありますが……シオン様との関係は、大切にすると良いでしょう。きっと、貴方を助けてくれるはずですから」
シオンの話をしていると、ナザール様がそんな事を話す。
その言葉は、シオンを選ばない可能性も含めたものだったので少し驚いた。
でも、今シオンと仲良くても、学園に行ったらその関係も変わるかもしれない。
その事を含めた言葉なのだろう。
「はい。シオンは友達ですから」
ナザール様の言葉にそれだけ答えて、しばらくまた別の事を話してからお茶会を終えた。
ナザール様の部屋を後にし、俺はリアンを連れて、神殿の廊下を歩く。
廊下の外にある庭は、青々とした木々が枝を伸ばし、爽やかな風に揺れていた。
「リアン。少し庭に出ていい?」
「ええ、構いませんよ」
この後特に予定は入っていないはずだから、少し散策しようとリアンに声をかけてから、廊下から庭へと降りる。
庭は砂利と芝生で覆われていて、生け垣や低木で飾られている。春であれば花に覆われているが、今の季節は緑が眩しい。
木々の揺れる音を聞いていると、俺の側に椅子とテーブルが用意されていた。
「ありがとうリアン」
「いえ」
リアンが手配した椅子に座って、風と木々の音を楽しんでいると、廊下を他の神官と一緒に歩いていたレオーレ様と目が合った。
目の合ったレオーレ様は、柔らかく笑みを浮かべ、軽く手を振ってくれる。
それが嬉しくて俺も笑みを浮かべて手を振り返した。
引き締まった顔で仕事をしているのに、俺を見ると笑みを浮かべてくれる姿が尊い。
節度は保たれているけど……レオーレ様はなんだかんだ俺に優しい。
それが寂しくないかと言われたら寂しいんだけど。
「休憩中ですか?」
「うん……なんだか風が気持ち良さそうだと思って」
「確かに……今日は風が心地よいですね」
神官達と別れて庭まで降りてきたレオーレ様が俺の言葉に頷き、ざわめく木々へと視線を向けた。
「……レオーレ様も休憩されませんか?」
最近、部屋でのお茶会を断られる事もあるが、一目のある庭ならまだ一緒に過ごしてくれるんじゃないか?なんて、思ってレオーレ様を誘ってみる。
チラリと視線を向ければ、レオーレ様は少し悩んでから笑みを浮かべた。
「少し時間に余裕があるのでご一緒させていただきます」
「ホントに!リアン!椅子お願い!あとお茶用意してもらってもいい!?二人分!」
「かしこまりました」
レオーレ様の椅子をお願いするとすぐに用意され、お茶もほどなく運ばれてくる。
「外で飲むお茶というのも良いものですね」
「はい!」
俺としては、レオーレ様とお茶が出きるってだけでも凄く嬉しいんだけど。
「レオーレ様。今日は、何をされてたんですか?」
「今日は、王宮から呼ばれていくつかの真偽を判別したのと……近々、また騎士団の討伐に加わる事になったのでその日程の相談に行っていました」
大神殿から出る事も増えてきたレオーレ様は、毎日忙しそうだ。
でも、俺が来るまでに比べるとそれでも減っているというのだから働きすぎだと思う。
社畜だ社畜。俺の前世もどっこいどっこいだけど。
そんな感じで久しぶりのレオーレ様とのお茶会を堪能してたら腹がちゃぷちゃぷになった。
ナザール様のところでも、お茶したしな……。
でも、久しぶりに満たされたので些細な事だった。
シオンとの仲は、相変わらず共犯者な友人を保っているけど、何も知らない周りからはやはり、婚約者候補筆頭として扱われている感じはする。
ナザール様とのお茶会の際にも、シオンの事が話題にあがるくらいには。
「最近、シオン様とはいかがですか?」
「仲良くしてもらってます。ただ、まだマナーについて注意される事も多いですけど……」
「シオン様は、貴族社会の子息の中でも身分の高い方ですからね。我々のように神に仕えるべく、貴族社会から離れた者に比べたら、望むレベルが高いのでしょう」
叱られている事を思い出しながら苦笑する俺に、ナザール様はそう告げる。
シオンの身分が高いのは当然だけど、それ以上に幼い頃から王太子の婚約者として王太子妃教育や王妃教育を浮けていたのが厳しさの原因だとは思う。
それと、俺が神殿に戻るとしても、生まれのせいで貴族に舐められないように、神子として完璧を目指させたいってのもあるんだろう。
未だに授業はレオーレ様がしてくれるけど、その成果をシオンに見せて、より細かく直されているって感じだ。
褒めてくれる時は褒めてくれるけど……作法に関してはホント厳しいんだ……。
毎回ちょっと凹むけど、シオンの持ってきてくれるお土産で回復する俺はチョロいと思う。
「……誰を選ぶかは、ルカ様次第ではありますが……シオン様との関係は、大切にすると良いでしょう。きっと、貴方を助けてくれるはずですから」
シオンの話をしていると、ナザール様がそんな事を話す。
その言葉は、シオンを選ばない可能性も含めたものだったので少し驚いた。
でも、今シオンと仲良くても、学園に行ったらその関係も変わるかもしれない。
その事を含めた言葉なのだろう。
「はい。シオンは友達ですから」
ナザール様の言葉にそれだけ答えて、しばらくまた別の事を話してからお茶会を終えた。
ナザール様の部屋を後にし、俺はリアンを連れて、神殿の廊下を歩く。
廊下の外にある庭は、青々とした木々が枝を伸ばし、爽やかな風に揺れていた。
「リアン。少し庭に出ていい?」
「ええ、構いませんよ」
この後特に予定は入っていないはずだから、少し散策しようとリアンに声をかけてから、廊下から庭へと降りる。
庭は砂利と芝生で覆われていて、生け垣や低木で飾られている。春であれば花に覆われているが、今の季節は緑が眩しい。
木々の揺れる音を聞いていると、俺の側に椅子とテーブルが用意されていた。
「ありがとうリアン」
「いえ」
リアンが手配した椅子に座って、風と木々の音を楽しんでいると、廊下を他の神官と一緒に歩いていたレオーレ様と目が合った。
目の合ったレオーレ様は、柔らかく笑みを浮かべ、軽く手を振ってくれる。
それが嬉しくて俺も笑みを浮かべて手を振り返した。
引き締まった顔で仕事をしているのに、俺を見ると笑みを浮かべてくれる姿が尊い。
節度は保たれているけど……レオーレ様はなんだかんだ俺に優しい。
それが寂しくないかと言われたら寂しいんだけど。
「休憩中ですか?」
「うん……なんだか風が気持ち良さそうだと思って」
「確かに……今日は風が心地よいですね」
神官達と別れて庭まで降りてきたレオーレ様が俺の言葉に頷き、ざわめく木々へと視線を向けた。
「……レオーレ様も休憩されませんか?」
最近、部屋でのお茶会を断られる事もあるが、一目のある庭ならまだ一緒に過ごしてくれるんじゃないか?なんて、思ってレオーレ様を誘ってみる。
チラリと視線を向ければ、レオーレ様は少し悩んでから笑みを浮かべた。
「少し時間に余裕があるのでご一緒させていただきます」
「ホントに!リアン!椅子お願い!あとお茶用意してもらってもいい!?二人分!」
「かしこまりました」
レオーレ様の椅子をお願いするとすぐに用意され、お茶もほどなく運ばれてくる。
「外で飲むお茶というのも良いものですね」
「はい!」
俺としては、レオーレ様とお茶が出きるってだけでも凄く嬉しいんだけど。
「レオーレ様。今日は、何をされてたんですか?」
「今日は、王宮から呼ばれていくつかの真偽を判別したのと……近々、また騎士団の討伐に加わる事になったのでその日程の相談に行っていました」
大神殿から出る事も増えてきたレオーレ様は、毎日忙しそうだ。
でも、俺が来るまでに比べるとそれでも減っているというのだから働きすぎだと思う。
社畜だ社畜。俺の前世もどっこいどっこいだけど。
そんな感じで久しぶりのレオーレ様とのお茶会を堪能してたら腹がちゃぷちゃぷになった。
ナザール様のところでも、お茶したしな……。
でも、久しぶりに満たされたので些細な事だった。
22
あなたにおすすめの小説
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!
モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。
その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。
魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。
その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?!
ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
贖罪公爵長男とのんきな俺
侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。
貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。
一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。
そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。
・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め
・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。
・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。
・CP固定・ご都合主義・ハピエン
・他サイト掲載予定あり
神様は身バレに気づかない!
みわ
BL
異世界ファンタジーBL
「神様、身バレしてますよ?」
――暇を持て余した神様、現在お忍び異世界生活中。
貴族の令息として“普通”に暮らしているつもりのようですが、
その振る舞い、力、言動、すべてが神様クオリティ。
……気づかれていないと思っているのは、本人だけ。
けれど誰も問いただせません。
もし“正体がバレた”と気づかれたら――
神様は天へ帰ってしまうかもしれないから。
だから今日も皆、知らないふりを続けます。
そんな神様に、突然舞い込む婚約話。
お相手は、聡明で誠実……なのにシオンにだけは甘すぎる第一王子!?
「溺愛王子×お忍び(になってない)神様」
正体バレバレの異世界転生コメディ、ここに開幕!
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。
おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。
✻✻✻
2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。
(仮)攫われて異世界
エウラ
BL
僕は何もかもがイヤになって夜の海に一人佇んでいた。
今夜は満月。
『ここではないどこかへ行きたいな』
そう呟いたとき、不意に押し寄せた波に足を取られて真っ暗な海に引きずり込まれた。
死を感じたが不思議と怖くはなかった。
『このまま、生まれ変わって誰も自分を知らない世界で生きてみたい』
そう思いながらゆらりゆらり。
そして気が付くと、そこは海辺ではなく鬱蒼と木々の生い茂った深い森の中の湖の畔。
唐突に、何の使命も意味もなく異世界転移してしまった僕は、誰一人知り合いのいない、しがらみのないこの世界で第二の人生を生きていくことになる。
※突発的に書くのでどのくらいで終わるのか未定です。たぶん短いです。
魔法あり、近代科学っぽいモノも存在します。
いろんな種族がいて、男女とも存在し異種婚姻や同性同士の婚姻も普通。同性同士の場合は魔法薬で子供が出来ます。諸々は本文で説明予定。
※R回はだいぶ後の予定です。もしかしたら短編じゃ終わらないかも。→ちょっと終わらないので長編に切り替えます。スミマセン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる