【第一部&番外編・完】故郷の英雄と歩む冒険者生活~家族に売られた僕は憧れの冒険者のものになりました~

海野璃音

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第一部:本編

53:ダンジョン『パドヴ地下遺跡』

「楽しそうなところ悪いけど……あんまり気を緩めんなよ? 守ってやるつもりだが何があるかわからないんだからな」

 僕の気の緩みに気づいたのかヘルトさんが注意の言葉をくれる。

「は、はい!」
「あー、あー……緊張しすぎも良くねぇからリラックスリラックス」

 今度はガチガチに固まった僕にヘルトさんが苦笑した。

 気を緩めずにリラックス……む、難しい。

「まー、俺も初めてはそうだったし、仕方ねぇんだけどよ」

 からからとヘルトさんは笑って、僕の肩を軽く叩く。

「ま、とりあえず油断しすぎるなって事だ」
「わかりました」

 まだ、浮き足立つような感じはするけど気をつけていこう。

「よし、それでいい」

 僕が落ち着いたのを見て、ヘルトさんが僕の頭を撫でる。

「それじゃ、行くぞ」
「はい」

 先導するヘルトさんの後ろをついて階段を降りていく。

 長い長いまっすぐ降りる階段。その作りは、石レンガの壁でできており、ここが一般的に人工ダンジョンと呼ばれる遺跡型のダンジョンだという事がわかる。

 こういうタイプのダンジョンは、ヘルトさんが求めるような魔導具関連やポーションなどの人工物の宝物が多いらしい。

 宝物の系統で分けると、巨塔系のダンジョンも似たような傾向になるらしい。

 まあ、巨塔の場合は、装飾品やポーションが多いらしいのだが。

 そんな事を考えていると、階段にようやく終わりが見えてきた。

「ここがダンジョンパドヴ地下遺跡の第一層だ」

 階段を降りた先で立ち止まったヘルトさんが僕へと視線を向ける。その顔は、ワクワクとした表情を隠しきれない子供のような顔をしていた。

 だけど、そんなヘルトさんに僕よりはしゃいでるじゃないですかと、笑みを浮かべる事はできなかった。

「……すごい」

 降り立ったダンジョンの天井は、遥か上。おそらく、僕のいた召喚の屋根より高い場所にあった。

 見上げるだけで首が痛くなるアーチ状の天井は、薄暗く地上付近で辺りを照らしている魔導ランプの明かりでわずかに見える程度。

 そんなものが、地下にある。

 ダンジョンは人ならざる存在が作ったと言う通説に納得せざるを得ない作りだった。
感想 42

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