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第一部:本編
111:支度
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夜。先にお風呂に入ったヘルトさんに呼ばれて、お風呂に入る。
が、その前に机の奥深くにしまっていた洗浄道具を引っ張りだし、数ヵ月ぶりに自らお腹の中を空にした。
久しぶりだから変な感じがする……。
奴隷商館では、ほぼ毎日のように洗浄していたけど、ヘルトさんに買われてからは初めて。
それでも、体は覚えていて複雑な気持ちになったけど……これでヘルトさんと繋がれるのならと複雑な思いを飲み込んだ。
洗浄した後は、お風呂で体を綺麗に洗い上げてから、全身に香油を塗りたくった。
すでに商館から渡されたものは使いきり、ヘルトさんに買って貰ったものを使っている。
でも、中を綺麗にしたからだろうか……自らの体に香油を塗るだけで、体が反応する。
「っ……」
数ヵ月意識してこなかった自分の体のはしたなさに、この体をヘルトさんに晒すという事に気分が沈む。
……自分から望んだ事なのに。
でも、触れられたい。愛されたい。こんな体でもいいと言ってほしい。
「ヘルトさん……」
洗面所の鏡に映る僕は、愛される事を期待して今まで見たことのない艶のある表情をしていた。
自分がそんな表情をできることに驚きながらも、お風呂に入るために外していたピアスを改めてつける。
陶酔するような表情の横で揺れる赤いピアス。
それが一層色っぽく見える。僕なのにも関わらずだ。
自分で自分にドキドキしながらも様々な想いで昂る体をヘルトさんから貰ったチュニックで隠し、脱衣所を後にする。
すでにソルとルナは自室に戻っていて、誰もいない廊下を一人歩くのがとても長く感じた。
「ヘ、ヘルトさん……」
長く感じた廊下の旅路を終え、部屋に荷物を戻して、ヘルトさんの部屋の扉を叩く。
「……来たか」
僕の問いかけに扉が開き、中から上半身裸のヘルトさんが現れる。
裸の上半身には、魔導義手がついたままで……二本の革ベルトに支えられたそれは普段、鈍く輝いているのに今はシーツぐるぐる巻きにされていた。
「あの……腕……」
「ああ、これか? 鉄でできた腕でお前の肌に直接的触れるよりかはって、思ってな」
そう言われて、頬に熱が集まる。僕が受け入れる準備をしていたようにヘルトさんも僕を抱く準備をしてくれていたという事に。
「あ、あの……ヘルトさん……」
「真っ赤だぞ。ほら、いつまでも廊下に居てないで……入ってこい」
「は、はい……」
ヘルトさんに促されて、ヘルトさんの部屋に足を踏み入れる。
僕が入ると僅かに時間を空けて扉が閉まり、鍵のかかる音がした。
「っ……」
その音についに、抱かれるのだという思いが心を占める。
「エルツ」
「ぁ……ヘルトさん……」
鼓動が早くなった体をヘルトさんに後ろから抱き締められ、頭の上にヘルトさんの鼻が当たっているのがわかる。
「いい匂いだな」
「うぁ……あ……」
匂いを嗅がれている。それだけで、僕の頭の中はいっぱいいっぱいになってしまう。
「こっちだ」
しばらく僕を抱き締めて、堪能したらしいヘルトさんは、すでにゆだりそうな僕の手を取って、ベッドへと導く。
「ぅ……あ、……ヘ、ヘルト……さん……」
「今からそんなんで大丈夫か?」
ベッドの縁に腰かけた僕にヘルトさんが、床にひざまづきながら視線を合わせて苦笑する。
「まあ、ゆっくりといこう」
「は、い……」
緊張でガチガチの僕にヘルトさんは微笑みかけ、僕の額にキスを落とすために立ち上がった。
「んっ……ぁ……」
ヘルトさんの薄い唇が、僕の額に、頬にと落ち、赤い瞳が僕の視線と交わる。
「あ……っ……んっ……」
視線が交わると同時にヘルトさんの目元が緩み、僕の唇にヘルトさんの唇が重なる。
目を閉じて、それを受け入れれば、柔らかく頭の後ろを撫でられ、深く口づけられた。
「んんっ……! んっ……ぁっ……!」
馬車でしたものとは違う、大人なキス。
唇を厚い舌に割られ、中を丁寧に掻き回すように舌でなぞられる。
やがて、舌をからめとられて、飲み込みきれない唾液が僅かに口の端を伝った。
が、その前に机の奥深くにしまっていた洗浄道具を引っ張りだし、数ヵ月ぶりに自らお腹の中を空にした。
久しぶりだから変な感じがする……。
奴隷商館では、ほぼ毎日のように洗浄していたけど、ヘルトさんに買われてからは初めて。
それでも、体は覚えていて複雑な気持ちになったけど……これでヘルトさんと繋がれるのならと複雑な思いを飲み込んだ。
洗浄した後は、お風呂で体を綺麗に洗い上げてから、全身に香油を塗りたくった。
すでに商館から渡されたものは使いきり、ヘルトさんに買って貰ったものを使っている。
でも、中を綺麗にしたからだろうか……自らの体に香油を塗るだけで、体が反応する。
「っ……」
数ヵ月意識してこなかった自分の体のはしたなさに、この体をヘルトさんに晒すという事に気分が沈む。
……自分から望んだ事なのに。
でも、触れられたい。愛されたい。こんな体でもいいと言ってほしい。
「ヘルトさん……」
洗面所の鏡に映る僕は、愛される事を期待して今まで見たことのない艶のある表情をしていた。
自分がそんな表情をできることに驚きながらも、お風呂に入るために外していたピアスを改めてつける。
陶酔するような表情の横で揺れる赤いピアス。
それが一層色っぽく見える。僕なのにも関わらずだ。
自分で自分にドキドキしながらも様々な想いで昂る体をヘルトさんから貰ったチュニックで隠し、脱衣所を後にする。
すでにソルとルナは自室に戻っていて、誰もいない廊下を一人歩くのがとても長く感じた。
「ヘ、ヘルトさん……」
長く感じた廊下の旅路を終え、部屋に荷物を戻して、ヘルトさんの部屋の扉を叩く。
「……来たか」
僕の問いかけに扉が開き、中から上半身裸のヘルトさんが現れる。
裸の上半身には、魔導義手がついたままで……二本の革ベルトに支えられたそれは普段、鈍く輝いているのに今はシーツぐるぐる巻きにされていた。
「あの……腕……」
「ああ、これか? 鉄でできた腕でお前の肌に直接的触れるよりかはって、思ってな」
そう言われて、頬に熱が集まる。僕が受け入れる準備をしていたようにヘルトさんも僕を抱く準備をしてくれていたという事に。
「あ、あの……ヘルトさん……」
「真っ赤だぞ。ほら、いつまでも廊下に居てないで……入ってこい」
「は、はい……」
ヘルトさんに促されて、ヘルトさんの部屋に足を踏み入れる。
僕が入ると僅かに時間を空けて扉が閉まり、鍵のかかる音がした。
「っ……」
その音についに、抱かれるのだという思いが心を占める。
「エルツ」
「ぁ……ヘルトさん……」
鼓動が早くなった体をヘルトさんに後ろから抱き締められ、頭の上にヘルトさんの鼻が当たっているのがわかる。
「いい匂いだな」
「うぁ……あ……」
匂いを嗅がれている。それだけで、僕の頭の中はいっぱいいっぱいになってしまう。
「こっちだ」
しばらく僕を抱き締めて、堪能したらしいヘルトさんは、すでにゆだりそうな僕の手を取って、ベッドへと導く。
「ぅ……あ、……ヘ、ヘルト……さん……」
「今からそんなんで大丈夫か?」
ベッドの縁に腰かけた僕にヘルトさんが、床にひざまづきながら視線を合わせて苦笑する。
「まあ、ゆっくりといこう」
「は、い……」
緊張でガチガチの僕にヘルトさんは微笑みかけ、僕の額にキスを落とすために立ち上がった。
「んっ……ぁ……」
ヘルトさんの薄い唇が、僕の額に、頬にと落ち、赤い瞳が僕の視線と交わる。
「あ……っ……んっ……」
視線が交わると同時にヘルトさんの目元が緩み、僕の唇にヘルトさんの唇が重なる。
目を閉じて、それを受け入れれば、柔らかく頭の後ろを撫でられ、深く口づけられた。
「んんっ……! んっ……ぁっ……!」
馬車でしたものとは違う、大人なキス。
唇を厚い舌に割られ、中を丁寧に掻き回すように舌でなぞられる。
やがて、舌をからめとられて、飲み込みきれない唾液が僅かに口の端を伝った。
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