転生したので前世の大切な人に会いに行きます!

本見りん

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22 ライナーとセリ その弐

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「……ライナーが、最初にエレナを見つけちゃったんだ……。なんか、ごめんね……」


 まさか前世のセリであるエレナの死に最初に気付いたのがライナーだったなんて。私もレオンも姉弟揃ってライナーに看取らせたなんて、なんだか申し訳なくてつい謝ってしまった。

「謝るなよ。ていうか、セリ。そんな訳で俺は絶対もうお前と離れられない。それを先に謝っとく」

「ううん、なんかトラウマにさせちゃってごめんなさい……。それであの、重いというより私あちこちに行くからそれに全部付き合わなくて大丈夫だよ? ライナーだって用事もあるだろうし1人になりたい時だってあるでしょう?」

 セリは反対に心配になって尋ねた。
 だってライナーはなかなかどうしていい男だもの。他に誰か女性がいる訳ではないと思うけれど男女共に人気があるし。背が高くて顔は結構小さくて筋肉ガッシリだし男前だし強いし仲間に好かれてるし優しいし、不器用なところがまた可愛いし。
 ……上げだしたらキリがない程。


「セリが知らないとこ行ってたら、それだけで今の俺はもうダメになっちまうから……。スマンが俺の気の済むまで一緒に居させて欲しい。俺はセリしか愛せない。エレナの時からずっとそうだったから分かる。俺と一生一緒に……すぐじゃなくていい、結婚して欲しい」

 ライナーは真剣な顔でセリを見つめながら言った。
 セリは自分の顔が熱を持ってくるのが分かった。……絶対、真っ赤になってる。でもライナーから目が離せない。

「ッ……。だって……あれから16年だよ? ずっとって……、そんなはずないでしょう?」


 セリは、この間来た聖女マリアの事を思い出した。彼女だけじゃない。この街でもライナーはモテている。告白されている所も何度か見かけた。……まあそれはダリルとアレンもなんだけれど。この街1番の冒険者である彼らは皆結構モテているのだ。 


「……ずっと、だよ。セリ」

 ライナーはそう言って少し困ったように笑った。

 胸が、ドクンと鳴った。


 
 ……セリがエレナだった時、ライナーの事が好きだった。

 セリが前世を思い出した時、ライナーと会えたらとどこかで願っていた。

 数ヶ月前ライナーに本当に会えた時、嬉しくて嬉しくて。……この街に暫く滞在していつか絶対に声を掛けようと心に決めた。

 ライナーにパーティーの仲間に誘われた時、奇跡だ運命だと小躍りしたい位に嬉しかった。

 ライナー達と仲間となって、……益々彼に惹かれていった……。

 そして、ライナーに前世を打ち明けた時。……信じて貰えて本当に嬉しかった。そうしてその時ライナーにエレナが好きだったとまで言ってもらえた。

 ……だけど、今のセリをどう思うかまでは、聞けなかった。あれから16年も経っている。彼には今の人生や考えがある。ライナーはセリにとても良くはしてくれるけれど、それはエレナやレオンへの気遣いなのかもしれない。

 
 ……それが。ライナーが今も私が好きだと。ずっと、私だけだと、そう言ってくれた。



「ライナー……ッ。私……」

 上手く言葉が出ない。気付けばセリは涙が溢れていた。

「……ッセリ。大丈夫か? ごめん、こんな年上で重い男なんか嫌だよな。けど、俺……」

 ライナーはそんなセリを気遣い引く素振りを見せた。セリはそんなライナーに抱きついた。

「うわッ!? ……セリッ!?」

「……重くなんてないッ。年上っていうなら、エレナの時は私が年上だったんだよ? 今、私年下になれて嬉しいのに……! 私だって……ずっと、ずっと……! ライナーのこと……ッ!」

 セリはそう言ってギュッとライナーにしがみついた。

「ッセリ……」

 ライナーは少し戸惑ったようだったが、恐る恐るセリの背に手を回す。
 体格のいいライナーが小柄で細身のセリを抱きしめる。……愛する人の愛しい体温。ライナーは宝物のように大切にその温かさを感じた。
 

「セリ……。夢みたいだ……。俺、16年……、違うな、エレナと出会ったあの時からの夢が本当に叶ったんだ……。……セリ。愛してる。ずっと一緒にいよう」

 そう言ってセリを優しく包むように抱き締めた。

「ライナー……。私も、好きよ。……愛してる」


 2人はそうやって強く抱きしめ合い、愛を確かめ合った。

 
 パチパチパチ……

 不意に聞こえてきた拍手に2人がハッと我に返り周りを見渡すと、公園の中に居た人々が祝福の拍手をしてくれていた。


 ライナーとセリは、そうだここは人通りの多い公園の中だったとやっと気付く。
 

 そして居た堪れなくなった2人は周囲の生温かい視線と祝福を受けながら、真っ赤になりつつ慌ててその場を立ち去ったのだった。……2人の間でペシャンコになった食べかけのサンドイッチを持ったまま。







「あらぁ。お帰りなさい2人共。……ふーん……。そして、おめでとう?」


 公園を出て自宅に帰る途中のベンチで、2人が抱き合いその間でペシャンコになったサンドイッチを急いで食べた後、帰った2人を見たダリルの第一声だった。


「えっ。……なんだよ、ダリル。何が目出てーんだ?」

 ライナーは動揺しつつ言った。

「……あ。教皇さまとのお話? うん。教皇さまからはこちらの味方をしてくれるって言っていただいたよ。また連絡してくださるって」

 セリも多少動揺していたが、先程ライナーと両想いになったばかりでまさかダリルが知っている訳はないし、きっとこの事だよね? と思って言った。


「…………ふーん。とぼけちゃう訳?」

 えっ!?

 ライナーとセリが動揺しつつダリルを見ていると、家の奥からアレンが出て来た。


「あ! お帰りー、2人共! どうだった……って、えっ!? 何2人手なんか繋いでるの!」


 …………あ。


 ライナーとセリは繋がれた手を見てから、2人で目を見合わせた。……しっかり恋人繋ぎ。


 コレはバレるわ……。


「ふーーーーん…………。なぁに? 秘密にでもするつもりだったの? 2人で同じソースをしっかり服に付けて。抱き合っちゃったわけ? 昔の秘密は仕方ないけど今の隠し事は許せないわね……! ……じっくり、話を聞かせてもらいましょうか?」


 そう言ってニッコリ笑うダリルはとても怖かった……。なまじ美形が凄むと怖さが半端なかった。

 その横でアレンはあちゃーという顔をした。

 そしてそれでも手を離さない2人を見て苦笑したのだった。




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