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23 報告 その壱
しおりを挟む「ふーん、ライナーはセリの前世だったレオンの姉エレナを好きだったって言ってたものねぇ」
「その時ライナー10歳くらいだよね? 凄い執着……いや純愛だね」
ライナーとセリは2人が両想いになった事を2人に報告した。ダリルとアレンはそう言って一応納得した様子だったが……。
「というか、ライナーは相当初恋拗らせてたものねぇ。ここでも誰も相手にしてなかったし。
……で。セリは前世でライナーの事を好きだったとしても、今、本当にそれでいいの? せっかく生まれ変わったのに相手がこんなおじさんで」
ダリルはセリに問いかけた。
しかしそれはライナーとアレンにかなりのダメージを与えた。
「ダリル! おじさんはねーだろ。それにお前達も同い年だろーが!」
「うん、本当やめてダリル。地味にツライ……。26歳はまだまだ若手だよ?」
どうしてアレンまでダメージを受けてるんだと思いながら、ダリルは一応フォローを入れる。
「セリの年齢から見ればって話よ。しかもセリは生まれ変わってる。前世に縛られる必要はないのよ?」
それは本当はライナーもよく分かっていたようで、チラリと心配そうにセリを見た。
しかしセリはまるで迷う事なく答えた。
「……私。前世を思い出した時、1番に会いたいと思ったのは……ライナーだった。この街でライナーを見つけた時、本当に運命みたいで嬉しかった。……そして仲間として一緒に居られるようになって……、益々好きになったの。それが、今の私の気持ち」
そう言って3人に微笑みかけた。
ライナーは心から感動してセリを見つめ返す。
ダリルとアレンはホッとして頷いた。
「……そう。……良かった。そこの所が心配だったの。私達にとってライナーもセリも大切な仲間だから。変に前世に縛られて後悔する様な事になって欲しくなかったからね。
それにレーベン王国の事も教皇猊下が間に入ってくださるならなんとかなりそうね。
……じゃあ、今日は2人が恋人になったお祝いをしましょうか!!」
「は~~。本当安心したよ! それじゃあこんな時の為にとっといたとびっきりのお酒を開けちゃおうよ!」
2人の歓迎ムードにライナーとセリはホッとした。
「「「「かんぱ~い!!」」」」
今日はダリルとアレンはそれぞれ武具の手入れをしたり買い出しに行ったりして過ごしていたそうで、最近街で話題のテイクアウトのお店で料理を買い揃えてくれていた。
そしてとっときの美味しいお酒。
セリはまだ飲めないのでテイクアウトで一緒にジュースも用意してくれてあった。
「美味しいお酒と美味しい食事、それに大切な仲間! 最高よねぇ。それでその中の2人がくっついちゃうんだからねぇ。
それで? このこと教皇様はご存知なの?」
ダリルはご機嫌で聞いた。
「そうそう! だってライナー、前言ってたもんねー、まだ教皇様に認められてないって。あ、もしかして今日教皇様に認められたの!?」
アレンも楽しげに聞いて来た。
……アレ? とライナーとセリはお互い目を見合わす。
「えーと、教皇さまにはまだなんだけど……」
「あ、俺今日教皇様に減点食らってもうマイナスだって言われたんだった」
歯切れの悪いセリと、ライナーの言葉に『?』となったアレンが聞いた。
「へ? 何ライナー、減点って。それにマイナスって?」
「あー、話の流れで子供の頃お墓にイタズラしたって話になってさ。教皇様にめちゃ怒られてまた減点だからもうマイナスだって言われた。なんの点数だって聞いたら、セリに相応しい男の点数だって……」
悪びれなく言うライナーに、明らかダリルに怒りのスイッチが入った。
「は? 何馬鹿やってたのライナー! しかもそれを教皇様になんで流れで話しちゃうの! お墓は教会の管轄でしょう? その教会の総本山である教皇様になんて事話してるの!」
「あ、ほんとだな。でもまー子供の頃の話だしな」
あまり危機感のないライナーにアレンも心配した。
「セリとの事に教皇様の許可が絶対必要な訳じゃあないだろうけど、もし反対までされたら将来的に結婚する時がきたら教会で式が出来ないかもしれないよ?」
「ッ! それは困る! 可愛い花嫁姿のセリと教会で式を挙げるのが今の夢なのに……!」
ライナーはそこで初めてショックを受けたようだった。
「ライナー? 次教皇様の所へ行く時は、セリのご両親に挨拶に行くつもりでしっかり2人の事ご報告するのよ! 変に隠したりしたら余計に気分を害されるんだからね?」
などと2人から厳しいお叱りを受けつつ夜は更けていく……。
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