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仕方がない
しおりを挟む「───だって仕方がないだろう! 知らなかったんだから!」
そう言ってユリアナに突っかかってきたのは、婚約者だったルードヴィヒ。
ユリアナは内心、『ああまたか』と思った。
「───ええそうね。仕方がないわよ。貴方は知らなかった。……知ろうともしなかった。……だから今こうなっているの」
美しいウェディングドレスを身にまとったユリアナは憐れむようにルードヴィヒを見た。
「ッそうだ、知らなかったんだ! だからあの『婚約解消』は無効だ! 君と結婚するのは婚約者であるこの僕だ!」
身勝手にそう叫ぶルードヴィヒを横目にユリアナはため息を吐いた。
◇
───8年間、婚約者だった。
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金髪碧眼の、まるでお伽話の王子様のような美少年だったルードヴィヒ。子供達が集まるお茶会では一際目立っていたし令嬢達は彼に近づこうと必死になっていた。
……ユリアナもその中の1人だったのだけれど。
ユリアナがルードヴィヒと婚約を結べたのは、単にユリアナが伯爵家の跡取り娘だったからだろう。彼の両親も三男がその美しさで伯爵家の婿となれる事に大変満足そうだった。
ユリアナも一目惚れした、まるで王子様のような少年の婚約者になれてとても嬉しかった。
…………そう、あくまでも過去形である。
───だってルードヴィヒは、ユリアナが突然両親を亡くし何よりも力になって欲しいその時に、『婚約破棄』を突き付けたのだから。
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