婚約破棄されたので、猫になりました。

本見りん

文字の大きさ
3 / 8

まさかの婚約破棄

しおりを挟む


 ───パーティーに行く前から、少しおかしな感じはしていた。

 公爵家に王宮からの迎えが来ていつもなら一応は王宮の入り口で待っているはずのエドワルドは居なかった。……ちなみに両親と義妹は別の馬車で王宮ここに来ている。
 不審に思いながらも侍従に着いて行くとパーティーが開かれる大広間に直接案内された。……いつもなら別室に案内されるのに。

 そして父と義母を見かけたが、義妹はおらず義母はどこか挙動不審。

 極め付けは、その義妹と共に現れた婚約者エドワルド王子。と、その側近達。

 そして彼らはシャーロットを見付けると、不敵な笑顔を見せて寄ってきた。

 ───あ、コレはヤバいのかも。

 そして、王子は口を開いた。




 シャーロットは何かを言おうとする目の前の王子を見つつ友人である魔女の言葉を思い出していた。

 ……彼女はなんて言ってた? ……そう、5分で猫、だったわ。

 そう考えていると、王子から例の言葉を投げ付けられたのだ。


「……!」


 ───やっぱり馬鹿だった!!
 早く、動かないと!!


 その時シャーロットが考えたのは、魔法が発動するまでに人目のない所へ行く事、だった。
 人前で猫に変身するなんて、『オルコット公爵令嬢シャーロット』の名に汚点が付いてしまう。

 だから、シャーロットはすぐに動いた。
 真っ先に扉に向かって走り出したが、普段走るなんて事はしない上に何せドレスにヒールでは走りづらい事この上ない。
 それに途中から衛兵が道を塞ごうと動き出した。

 仕方なくシャーロットは近くの窓に行きベランダに出る事に成功する。
 そして下を覗くが……。

 結構な高さだ。これ、死にはしなくても普通にすごい怪我をする。
 周囲を見渡すと、ちょうど近くに飛び乗るのにいい感じの木があった。後ろからは衛兵の近付く音。

 ……行くしかない!

 しかし柵がある。運動神経は良い方……だと思う。ドレスのまま1メートル少しの柵になんとか足を掛けようとして───バランスを崩して落ちた。


 ───ッ! 落ちる!!


「ッご令嬢!!」

「キャー!!」


 ベランダ付近から人々の叫び声が聞こえる。

 ……しかし、シャーロットは地面に華麗に着地した!


 ───ふう。良かった~。意外にいけたわね。ふふ。なんだか身体が軽い気がするわー。
 ……ん??


 立っている筈なのに、視点が随分と低い。というか低過ぎる。私いったいどうなって……。


 思わず手を見る。

 白いふさふさの可愛い前脚。


 ……コレって、まるで猫の足……。くるりと手のひらを見ると、ピンクの可愛い肉球。

 ───本当の本当に、魔女ブレンダの言ってた猫になってるーーッ!!


 シャーロットが大混乱していると、周囲が騒がしくなって来た。おそらく彼女シャーロットを探しに来たのだろう。

 驚いて思わず身体が植え込みに当たりガサリと音を立ててしまった。


「いらしたのか!?」


 衛兵が物音がした茂みを掻き分けた。しかしそこには……。


 ガサッ……「ニャアォ……(ち、違いますよ~)」

「……なんだ、猫か」


 衛兵達は猫のシャーロットを見て行ってしまった。

 シャーロットはホッとしたものの、自分が人の言葉を喋れない事に気付き絶望する。


「ニャア、ニャニャア! ニャニャアニャウニャ~! ニャウニャウ、ニャア! ニャ、ニャニャアニャニャ……。ニャー! ニャアニャニャニャアニャアー!(ちょっと、ブレンダ! 私これからどうしたらいいのよ~!! 言葉も話せないし、詰んでる! ええと、確かこの魔法を解くには私を愛する人のキス……。無いわー! ブレンダ御伽話の読み過ぎよ!)」


 ニャアニャア叫んでからシャーロットは落胆し、落ち込んでペシャリと座り込んだ。
 しかしここでこうしていても仕方ない。なんとか気を取り直してのろのろと立ち上がりトボトボ歩き出した。

 暫く歩くと一階の部屋の一室に開かれた窓を見つける。ちょうど飛び上がって乗れるスペースもある。


 ……こうなったら思い切ってこの姿で王宮内の人々の様子を探ってみますか! 王宮内は大体分かっているのだし、何とかなるでしょ!


 そして思い切ってジャンプ! ヒラリと軽やかに窓枠に着地した。


 ……乗れた! 良かった~! この身体はすごく身が軽いわ!


 少し気分も上がり部屋に入り込む。ここは貴族の休憩室のようだ。ベッドもあるし、部屋の隅には鏡台があった。
 シャーロットはヒラリと鏡台の前の椅子に乗る。そして鏡を覗き込んだ。

 そこには一匹の白い猫が居た。


 ……うわぁ、可愛いッ! 
 ……というか私なのよね、これ……。

 その可愛い猫の姿を見て一瞬バァっと目を輝かせるが、すぐ自分が本当に猫になってしまった事実に我に返って凹む。

 ……どうしよう、本当に……。


 シャーロットは途方に暮れた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。 誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。 無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。 ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。 「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。 アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。 そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?! ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

あなたは何も知らなくていい

Megumi
恋愛
「あ、じゃあ私がもらいます」 婚約破棄された夜、死のうとしていた俺を、公爵令嬢が拾った。 「あなたの才能は、素晴らしい」 生まれて初めて、俺のすべてを肯定してくれた人。 だから—— 元婚約者の陰謀も、妬む貴族たちの悪意も、俺が処理する。 証拠は燃やし、敵は消し、彼女の耳に届く前に終わらせる。 「あなたは何も知らなくていい」 彼女は知らない。 俺がすべてを終わらせていることを。 こちらは『女尊男卑の世界で婚約破棄された地味男、実は顔面SSRでした。私が本気で育てたら元婚約者が返せと言ってきます』のヒーロー視点のスピンオフです。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/82721233/538031475 本編を読んでいなくても、単体でお楽しみいただけます。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

だから何ですの? 〜王家の系譜に「愛」など不要です〜

柴田はつみ
恋愛
貴方の系譜、ここで断絶させてもよろしくて? 〜初夜に愛を否定された公爵令嬢、国庫と軍事と血統を掌握して無能な夫を過去にする〜 薔薇の花びらが散らされた初夜の寝室で、アルフォンスはあまりに卑俗で、あまりに使い古された台詞を吐く。 「私は君を愛することはない。私の心には、リリアーヌという真実の光があるのだ」 並の女なら、ここで真珠のような涙をこぼし、夫の情けを乞うだろう。 しかし、ミレーヌの脳裏をよぎったのは、絶望ではなく、深い「退屈」だった。 「……だから何ですの? 殿下」

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

処理中です...