玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす

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第4章 エルセニム国のおてんば姫

第4章第003話 決闘ですか?

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第4章第003話 決闘ですか?

・Side:ツキシマ・レイコ

 店の外と言っても、ファルリード亭の前は普通に街道ですので、ここでやり合うのは近所迷惑です。
 そこで、運輸協会ギルドの訓練場を借りることにしました。皆でそこに移動します。
 食堂と宿を従業員に任せて、モーラちゃんにミオンさんまで着いてきましたよ…野次馬ですね。
 あの密偵っぽい男の人達も着いてきます。

 「あの、お名前を聞いても良いのかな?」

 「うーん、もういいか。一応俺はリフト、こっちがクッフとしとしてくれ」

 こちらの言葉で、八と七ですね。まぁ本名は教えてくれませんよね。どうも領ではなく国の方の人のようですが。クッフさんの方が強いとすると、番号が若いほど上位ってことかな? なんかかっこいいですね。

 「セーバスさんは"1"なんですか?」

 「昔"1"だったお方ですね。二十年くらい昔の話だそうですけど」

 鎌かけのつもりで聞いてみましたけど。あっさり答えてくれました。ローザリンテ殿下の組織ですね。
 やっぱ手練れだったんですね、セーバスさん。執事さんは伊達ではありません。



 ギルドの受付で、訓練場の使用許可をいただきます。マーリア様とセレブロ"君"? こちらを睨みつつも大人しく待ってますね。たまたま居合わせた人達が、馬鹿でかい狼見てザワついていますけど。皆さん、近寄らないだけで静観しています。
 慌てた受付の人が、ジャック会頭を呼んでくるからちょっと待って下さいだって。マーリアちゃんには、前の予定がつかえているとでも言っといてくださいと言われました。

 「先生っ!ありがとうございましたっ! …ってうわぁ!なんだこのでかいのっ!」

 ん?子供達が会議室からぞろぞろと出てきましたね。例のギルドの講習会のようですが。セレブロ君を見てみなびっくりしています。肝心のセレブロ君は、こういう反応に慣れているのか落ち着いたもんですけど。
 あっと、覇王ラウルさんも出てきました。講師、ご苦労さまです。

 「お久しぶりです。ラウルさん」

 「おお、レイコ殿。ユルガルムから帰ってきて以来だな。…いろいろあったと聞いているが、達者なら何よりだ。しかしまた凄いのを連れているな、いつぞやの白狼の親の方よりすごいんじゃないか?」

 と、マーリア様の銀狼を見て驚いています。

 「セレブロ見たいな子が、ここにもいるの?」

 マーリア様が気になったのか聞いてきます。

 「伯爵家のクラウヤート様のところに、バール君っておっきい狼が居るの」

 モーラちゃんも話しに入ってきます。バール君はどこでも人気者です。

 「でも、バール君は、かっこいいというより可愛いよね。モフモフ!、すっごいモフモフ!」

 モフモフに相当するオノマトペ、あるんですよねこちらにも。

 「なによ。セレブロだってすっごいモフモフよ!」

 マーリア様が、セレブロ君の首にしがみついて訴えます。変なところで張り合いますね。
 …モーラちゃんを手招きしていますね。試してみ?ってこと。
 モーラちゃん、物怖じせずに銀狼にしがみついています。
 もふっ…てより、首元にズブズブと潜るくらいのもモフモフですね。…ちょっとうらやましいです。

 「うおおぅ…たしかにこれは良いモフモフです」

 「そうでしょ、そうでしょ」

 セレブロ君、じっとされるがままでなんか悟った目をしています。…この子の方が空気読んでいるのかも。
 …少女二人がでかい動物にモフモフモしている風景に、なんか和んできましたけど。…決闘ですよね?ここに来た目的。



 ジャック会頭とタロウさんがやってきました。息切らしていますね? 馬車は使わなかったんですか? まぁそんなに離れていないんですが。

 「レイコ殿に刺客じゃと!」

 …ああはい。確かに刺客で間違いないですね。

 「ダーコラ国から私の評判聞いて、私をしばくか連行するかしたいそうなので、これから訓練場で決闘するところです」

 マーリア様が、その通りよ! という感じで、胸張ってドヤ顔しています。

 「…ただまぁ。見ての通りあまり悪い子ではなさそうので、適当にお相手して心折ってから事情を聞こうかなと」

 マーリア様が、なにおぉ!という感じで、睨んできます。…どぉどぉとモーラちゃんが宥めています。…なんか仲良くなっていません?

 ジャック会頭が、リフトさんとクッフさんの方を見ます。ん?お二人と顔見知りですか?
 …リフトさんが首を振って、クッフさんが頷いています。
 …こんなのでも、なにかしら意思疎通が出来たようです。

 「…なんだかよく分らんが、分かった。これから訓練場で戦うってことじゃな」

 「おお、これから模擬戦か。ならば不躾ながら私が審判を務めよう!」

 ラウルさん、模擬戦ではありませんが…。まぁいいか。



 皆で訓練場の方に出ます。以前講習で使った訓練場に併設されている、木の杭やら岩やらが散乱している場所ですね。より実践的な訓練のためだそうです。見学者は柵の外から見ています。さきほどの講習会の子供達までいますよ。

 私は、レイコ・ナックルナイフを装備です。練習はしていましたけど、実戦は初めてですね。実戦かな?これ。

 マーリア様が、持っている長物のカバーを外します。…自分の身長より長いハルバート…いや、刃が二カ所で固定されているのでバルディッ…皆まで言うまいです。普通の子供なら、とても振り回せないサイズです。
 …もう何というか、属性盛りすぎですねこの娘。

 「…なんかずるい」

 「なにがずるいっていうのよ!あんた! 得意に獲物を使うのは常道でしょ?」

 そういえばツン属性もあった。 いや、ずるいのは武器のことではないのですよ?
 銀髪ツインテール紅眼エルフ耳長獲物銀狼ツン。なんかもうお腹いっぱいです。
 …おもわず本当に「ごちそうさま」と手を合わせてしました。

 「…馬鹿にして!」

 怒った? オコなの? カルシウム足りている?
 そもそもどうしていきなり因縁付けられなきゃ成らないのか。本当なら、私が怒っている良いくらいですよね? ちょっとからかいたくなってきてます。

 「ちょっと待て。その戦斧、マジ物じゃ無いか! 駄目だ駄目だ、そんなもの模擬戦で使わせられるか!」

 「なによ。生かして連れて帰った方が価値があるって言われているから、手加減はするわよ!」

 「ラウルさん、わたしは大丈夫ですから。これで進めてください」

 ラウルさん、ジャック会頭の方を見ます。頷くジャック会頭。
 一応ラウルさんも、私の体のことは知っているはずですが。子供好きですからね、ラウルさん。見ていられないのか、なんか痛々しいものを見るような目で私達を見ていますが。致し方なしと決心したようです。

 「…では、両者ケガには本当に注意するように! …それでは…はじめっ!」

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