244 / 384
第7章 Welcome to the world
第7章第017話 会議は続きます
しおりを挟む
第7章第017話 会議は続きます
・Side:ツキシマ・レイコ
蟻の誘導の可能性の話はともかくとして。今は"波"をどうするかに注力することになりました
「ふむ。とりあえず計画に特に破綻はないように思える…というよりは、現在これ以上できることはないのか」
カステラード殿下が地図を睨んでいます。
「蟻に対峙した経験が小ユルガルムの一件のみですからな、挙動を予測するにも限界が。正教国はずっと西の国からアレを手に入れたとのことなので、新種の魔獣とか言う物でも無いのでしょうが。こういう虫型の魔獣は攻めてきたのはこちらでは初めてですが。まぁ虫なだけに気がつかなかっただけという可能性もありますが」
この世界、大きい虫というのはそこそこ居るそうです。…遭遇したくはないですが。
「谷の入り口近くの山の上、こことここに監視砦があります。ぎりぎりまで観測は続けてもらいますが、蟻が見えた時点でここは破棄することになるでしょうな。数匹程度との対峙ならともかく、とても常駐できる場所ではありません」
峰の上に監視塔を作ってあるそうです。普段はここに兵士さんが交代で詰めていて、北方からの魔獣を監視しているそうです。
この塔はぎりぎりムラード砦から見えるそうなので、昼は旗、夜は明かりで連絡しているそうです。
「となると、実際に見えるまでは接近はわからんか… 斥候を出したところであの谷を蟻より速く移動するのは難しいだろう、餌食になるだけだぞ」
ん? カステラード殿下がレッドさんを見ていますよ。なんですか?
「クー。 クックッククッ!」
仕方ないなという感じのレッドさん。様子を窺うようにしていたレッドさんが私の袖を引っ張ります。
「え?レッドさんいいの? それは助かるわ」
レッドさんが念話で話しかけてきますした。
「レイコ殿。小竜神様はなんと?」
ウードゥル様が聴きとめます。
「レッドさんが、朝食とお昼ご飯とおやつと夕食の前に、偵察に飛んでくれるそうです」
「おお。小竜神様の偵察か。情報収集はそれで問題は無くなるな」
ちょっとわざとらしいですよ、カステラード殿下。
殿下は、ダーコラ国との国境紛争時にレッドさんが三角州での兵士の場所と人数を正確に観測してきたことを、皆に説明してくれました。
「そこまで細かく偵察できるのか…」
「なんで食事時が基準なんだ?」
単に、三時間に一回程度という意味だそうです。
「なるほど。"波"の先端が正確にわかるのなら、これは心強いですな」
「いつ来るかと四六時中気を張るのは疲弊しますからな。来る時間が分かるのはありがたい」
これだけでも兵達の疲労はだいぶ減るでしょうね。
「あと、魔獣はマナに誘われて来るって言われてましたけど。…私やレッドさんがネイルコードにいるから湧いてきたって可能性はありますかね?」
まぁ偶然の可能性もありますが、タイミングが合うってのも気になります。
「…それならそれで、レイコ殿が魔獣を誘導できるって事かな?」
「私には、今のレイコ殿のマナはとくに大きく感じられないのだが、マナの塊ってことはそれを糧にする者からすれば存在感は大きいのだろうか?。先ほどの点滅って話は、レイコ殿に当てはまるのか?」
カステラード殿下も、マナによる身体強化は使えるそうです。騎士としても結構腕が立つそうですよ。
「私のマナ感知だと、レッドさんを感知は出来ますが、点滅しているようには見えないですね。レッドさんからみて私はどう?」
「クゥ? クゥ」
「特に点滅しては見えないそうです」
「正教国からの調査報告によると、魔獣とは目の前にある食べものならマナの豊富な物の方が好むようだが、マナその物を目指して遠距離の移動をするってことはしないようだ。もし魔獣がマナの大きさだけで誘引されるのなら、まず真っ先に赤竜神の山脈を目指していただろうしな」
赤竜神…赤井さん自身もマナの塊ですし。彼の制御下にあるマナの量も、たぶんこの惑星…いや星系随一でしょうしね。
それに多分ではありますが、北の大陸にあるマナの量も相当だと思いますよ。
私で蟻を誘引できるのなら、いざという時には囮となって街から引き剥がすとか考えたのですが。自力でマナの点滅できるかな? まぁ利用できるかは追々考えましょう。
というわけで"波"の間、私はムラード砦に詰めることとなりました。
「一応蟻は資源としても有用ですので。レイコ・バスターとやらは最後の手段ですな」
蟻の素材は、作業用ヘルメットや眼鏡のフレームだけではなく、鎧や盾の様な防具の一部から装飾品まで、いろいろ用途が模索されています。まんま鼈甲ですね。
前回の分の蟻でまだ年単位で需要は満たしていますが。今後安定した供給が今後望めるのか?あたりは、産業育成的に大切な問題です。
「もちろん領の安全が優先ですので。いざとなったら吹き飛しますけどね」
「ふむ、かたじけないレイコ殿。最初はレイコ殿になるべく頼らずに防衛して見せようと思っておったのじゃがな」
ナインケル辺境候がちょっとしょぼんとしています。
「お気遣いありがとうございます。でも、人死にが出てまで踏ん張るところでもないでしょう」
「領都の雰囲気が多少緩んでいるのはレイコ殿がおられるからでもありますが。レイコ殿がいなくても対処できなければユルガルム領の存続に関わる話ですからな。もちろん油断はせずに挑みますぞ」
「女の子が最前線に赴くなんて、いくら赤竜神の巫女様でもと今でも思います。以前の小ユルガルムの時には大変なことになったと聞きましたし…」
アイズン伯爵と一緒に会議を聞いていたターナンシュ様が心配してくださいます。シュバール君もいっしょ。
「あのときは、早く元を絶たないと街の方が大変でしたから仕方無しでしたけど。今度は大丈夫ですって。間合いさえちゃんと取れれば、むしろ一番安全簡単な手段です」
「それでも心配させてくださいな。兵や街の者達も、巫女様がいるから大丈夫って浮かれているんですから」
ナインケル様とウードゥル様が苦笑しています。今回は、彼がウードゥル様が砦の指揮官となります。
「そうですね。領地全体で蟻も洩らさずとはならないでしょうから、領地の警邏は油断せずお願いします」
「うむ。もちろん承知しておる。レイコ殿が砦に行ってくれるので、周囲の警戒の方に人が割けてむしろありがたいくらいだ。ターナ、一応楽観はしているが。いざという時には領都を脱出する心積もりはしておいてくれ。身重に心労をかけて申し訳ないが、普段から心構えは忘れんようにな」
「お腹の子とシュバール、義父さまにユルガルムの民もですが。とうぜん貴方も心配なのです。レイコ様とカステラード殿下の言われることをよく聞いて、危ないことはされないようにね」
「…だれが子供だかわからんな。ははは」
仲睦まじいですねこの夫婦も。
私も子供扱いしないで…って言うところですかね?ここ。
・Side:ツキシマ・レイコ
蟻の誘導の可能性の話はともかくとして。今は"波"をどうするかに注力することになりました
「ふむ。とりあえず計画に特に破綻はないように思える…というよりは、現在これ以上できることはないのか」
カステラード殿下が地図を睨んでいます。
「蟻に対峙した経験が小ユルガルムの一件のみですからな、挙動を予測するにも限界が。正教国はずっと西の国からアレを手に入れたとのことなので、新種の魔獣とか言う物でも無いのでしょうが。こういう虫型の魔獣は攻めてきたのはこちらでは初めてですが。まぁ虫なだけに気がつかなかっただけという可能性もありますが」
この世界、大きい虫というのはそこそこ居るそうです。…遭遇したくはないですが。
「谷の入り口近くの山の上、こことここに監視砦があります。ぎりぎりまで観測は続けてもらいますが、蟻が見えた時点でここは破棄することになるでしょうな。数匹程度との対峙ならともかく、とても常駐できる場所ではありません」
峰の上に監視塔を作ってあるそうです。普段はここに兵士さんが交代で詰めていて、北方からの魔獣を監視しているそうです。
この塔はぎりぎりムラード砦から見えるそうなので、昼は旗、夜は明かりで連絡しているそうです。
「となると、実際に見えるまでは接近はわからんか… 斥候を出したところであの谷を蟻より速く移動するのは難しいだろう、餌食になるだけだぞ」
ん? カステラード殿下がレッドさんを見ていますよ。なんですか?
「クー。 クックッククッ!」
仕方ないなという感じのレッドさん。様子を窺うようにしていたレッドさんが私の袖を引っ張ります。
「え?レッドさんいいの? それは助かるわ」
レッドさんが念話で話しかけてきますした。
「レイコ殿。小竜神様はなんと?」
ウードゥル様が聴きとめます。
「レッドさんが、朝食とお昼ご飯とおやつと夕食の前に、偵察に飛んでくれるそうです」
「おお。小竜神様の偵察か。情報収集はそれで問題は無くなるな」
ちょっとわざとらしいですよ、カステラード殿下。
殿下は、ダーコラ国との国境紛争時にレッドさんが三角州での兵士の場所と人数を正確に観測してきたことを、皆に説明してくれました。
「そこまで細かく偵察できるのか…」
「なんで食事時が基準なんだ?」
単に、三時間に一回程度という意味だそうです。
「なるほど。"波"の先端が正確にわかるのなら、これは心強いですな」
「いつ来るかと四六時中気を張るのは疲弊しますからな。来る時間が分かるのはありがたい」
これだけでも兵達の疲労はだいぶ減るでしょうね。
「あと、魔獣はマナに誘われて来るって言われてましたけど。…私やレッドさんがネイルコードにいるから湧いてきたって可能性はありますかね?」
まぁ偶然の可能性もありますが、タイミングが合うってのも気になります。
「…それならそれで、レイコ殿が魔獣を誘導できるって事かな?」
「私には、今のレイコ殿のマナはとくに大きく感じられないのだが、マナの塊ってことはそれを糧にする者からすれば存在感は大きいのだろうか?。先ほどの点滅って話は、レイコ殿に当てはまるのか?」
カステラード殿下も、マナによる身体強化は使えるそうです。騎士としても結構腕が立つそうですよ。
「私のマナ感知だと、レッドさんを感知は出来ますが、点滅しているようには見えないですね。レッドさんからみて私はどう?」
「クゥ? クゥ」
「特に点滅しては見えないそうです」
「正教国からの調査報告によると、魔獣とは目の前にある食べものならマナの豊富な物の方が好むようだが、マナその物を目指して遠距離の移動をするってことはしないようだ。もし魔獣がマナの大きさだけで誘引されるのなら、まず真っ先に赤竜神の山脈を目指していただろうしな」
赤竜神…赤井さん自身もマナの塊ですし。彼の制御下にあるマナの量も、たぶんこの惑星…いや星系随一でしょうしね。
それに多分ではありますが、北の大陸にあるマナの量も相当だと思いますよ。
私で蟻を誘引できるのなら、いざという時には囮となって街から引き剥がすとか考えたのですが。自力でマナの点滅できるかな? まぁ利用できるかは追々考えましょう。
というわけで"波"の間、私はムラード砦に詰めることとなりました。
「一応蟻は資源としても有用ですので。レイコ・バスターとやらは最後の手段ですな」
蟻の素材は、作業用ヘルメットや眼鏡のフレームだけではなく、鎧や盾の様な防具の一部から装飾品まで、いろいろ用途が模索されています。まんま鼈甲ですね。
前回の分の蟻でまだ年単位で需要は満たしていますが。今後安定した供給が今後望めるのか?あたりは、産業育成的に大切な問題です。
「もちろん領の安全が優先ですので。いざとなったら吹き飛しますけどね」
「ふむ、かたじけないレイコ殿。最初はレイコ殿になるべく頼らずに防衛して見せようと思っておったのじゃがな」
ナインケル辺境候がちょっとしょぼんとしています。
「お気遣いありがとうございます。でも、人死にが出てまで踏ん張るところでもないでしょう」
「領都の雰囲気が多少緩んでいるのはレイコ殿がおられるからでもありますが。レイコ殿がいなくても対処できなければユルガルム領の存続に関わる話ですからな。もちろん油断はせずに挑みますぞ」
「女の子が最前線に赴くなんて、いくら赤竜神の巫女様でもと今でも思います。以前の小ユルガルムの時には大変なことになったと聞きましたし…」
アイズン伯爵と一緒に会議を聞いていたターナンシュ様が心配してくださいます。シュバール君もいっしょ。
「あのときは、早く元を絶たないと街の方が大変でしたから仕方無しでしたけど。今度は大丈夫ですって。間合いさえちゃんと取れれば、むしろ一番安全簡単な手段です」
「それでも心配させてくださいな。兵や街の者達も、巫女様がいるから大丈夫って浮かれているんですから」
ナインケル様とウードゥル様が苦笑しています。今回は、彼がウードゥル様が砦の指揮官となります。
「そうですね。領地全体で蟻も洩らさずとはならないでしょうから、領地の警邏は油断せずお願いします」
「うむ。もちろん承知しておる。レイコ殿が砦に行ってくれるので、周囲の警戒の方に人が割けてむしろありがたいくらいだ。ターナ、一応楽観はしているが。いざという時には領都を脱出する心積もりはしておいてくれ。身重に心労をかけて申し訳ないが、普段から心構えは忘れんようにな」
「お腹の子とシュバール、義父さまにユルガルムの民もですが。とうぜん貴方も心配なのです。レイコ様とカステラード殿下の言われることをよく聞いて、危ないことはされないようにね」
「…だれが子供だかわからんな。ははは」
仲睦まじいですねこの夫婦も。
私も子供扱いしないで…って言うところですかね?ここ。
37
あなたにおすすめの小説
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?
サクラ近衛将監
ファンタジー
神様の眷属の過失が原因の事故に遭って死んだ桜庭雄一が異世界に転生したら、とある国の忌避すべき王子として幽閉されていた。
転生にはチートがつきもののはずだが、事故で死んだ者が300名を超えるために、個別にチートは与えられず、転生先の者の能力を生かせと神に告げられている。
「神の加護」ではないけれど、「恩寵」が与えられているので、当該異世界では努力を為した分、通常に比べると成果があるらしい。
これはとある国の幽閉王子に転生した男の冒険譚である。
原則として、毎週月曜日20時に投稿予定です。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる