知性を再設計する──生成AI時代の“思考と生き方”のデザイン ChatGPTを「第二の脳」として使いこなす、まったく新しい知的戦略

綾月 想真

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第3章:AIと人間の「知的チーム化」戦略

3-1. AIを「脳内チームメンバー」にする

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 では、次のステップに進みましょう。
ここまでの章では、生成AIの本質や、思考を加速させるための基礎的な使い方についてお話ししてきました。
第3章からは、いよいよ“実際にどう使いこなすか”という応用フェーズに入っていきます。
今回のテーマは、あなたの思考の中に、生成AIを“チームメンバー”として迎え入れる方法についてです。

 これは、あなたが会社員として働いている時、またはフリーランスとして新しい場所へ羽ばたく時、そして、あなた自身の将来の方向性を決めていく時や、他の誰かには相談しにくい計画を進めたいと感じる時など、どんな場合でも役に立ちます。

 実際、生成AIは「何を聞くか」よりも、「どう巻き込むか」で発揮される真価が変わります。
 その真価は、普段は脳内のみでしか行うことができない、あなた自身だけでやる脳内会議を、作業スペースを広げて、よりやり易く、まとめやすく、整理しやすく展開できるというところにあり、この作業の充実具合は、大勢の人間で行う会議と同じく、どれだけ話の軸を歪めずに進めていくかで変動します。
 あなた自身も、会社などで会議を行った際に、「これは有意義な会議だったな。」なんて思うこともあれば、「なんだったんだあの会議は。」と思ってしまうこともあると思います。
 恐らく、会議が充実しなかったときは、何かしらで話の腰が折れ、議題に対する答えが有耶無耶になった、または答えが出たとしても根本的な解決にはならなかった場合が多いのではないでしょうか?
 
 生成AIを、あなた自身のチームメンバーとして扱うのであれば、あなたの話の進め方次第では、大勢の人間と行うものよりも、はるかに有意義な時間を過ごすことができると断言しましょう。

 それではこれから、あなたの頭の中に生成AIという同僚を生み出し、有意義な脳内会議を行う方法を、具体例を交えて紹介していきます。
 
 例えばですが、あなたが日常へモヤモヤを感じ、何かを変えたいと思い立ったとします。
 しかし、具体性のある案がすでに思いついていないのならば、一体何を目指して、何から手をつけ、何を調べればいいのかわからないという壁に直面すると思います。
 もしそうなってしまったら、思い立って行動を起こす火種を撒く前に、置かれている現状や、見通しの立たなさにより、行動を起こす気をなくし、モヤモヤする現状に仕方なく甘んじてしまう結果になることが多いのではないでしょうか。
 ここで、その脳内会議に、生成AIをチームメンバーとして加えるのです。
 そうすることにより、あなたの思考を止めていた“霧”を晴らすことができます。

 何事も、ことを進めるには、取っ掛かりとなるヒントが必要です。
 そのヒントを掴むには連想ゲームをするのが最適なわけですが、ここで活躍するのが生成AIです。
 まずは、あなた自身が置かれている環境や、その環境に対する想いを生成AIに打ち明けてみましょう。
 そうすると、会話を発展させていく過程で、あなた自身の性格的傾向や、潜在的な望み、今後の展望をどのようにしていきたいかという意思を、あなた自身が放った言葉から、汲み取り、わかりやすいようにまとめて提示してくれます。
 また、あなた自身が気付いていない、潜在的な得意分野を教えてもらうことも可能なので、今後の展望に対して、大きな後押しとなるでしょう。

 では、このブレインストーミングで、あなたが今後やっていきたいことが決まったとします。
 ここから、連想ゲームで発想を広げていくわけですが、その間に知識を蓄えていくことを忘れてはいけません。
 生成AIの提示してくれる情報内に、もしわからないところや、素通りするには不安なところがあれば、そこについて尋ねれば、専門的な知識をもとに、懇切丁寧に教えてくれます。

 実はここで、特におすすめしたい新機能があるのです。
 ChatGPT 4oに最近追加された「Deep Research機能」は、特定の話題をより深く、そして専門的な視点で掘り下げることを可能にしてくれます。
 この機能を使えば、例えば、「なぜ集中できないのか?」という悩みに対して、脳科学・習慣・心理の視点から原因を探ったり、「どんな副業が自分に向いているか?」という問いに対して、性格やスキル傾向から多角的に導き出してくれたりします。
 単なる定義の羅列ではなく、文脈を読み取りながら、体系立てて情報を返してくれる──それがDeep Researchの強みなのです。
 こうした「情報の質と深さの補強」は、まさに“思考のチームメンバー”にリサーチャーを加えるような感覚であり、あなたのアイデアの裏付けや方向性を、より信頼性のある形へと導いてくれるはずです。
 そして、これらの深い内容のディスカッションを、もしあなた自身で理解が難しいような展開であったとしても、何度でも繰り返し、さらに表現をかみ砕きながら、足りない情報を補充して提示してくれるのです。こういった特徴は、まさに生成AIならではの、明らかな優位性を持つ特徴なのではないでしょうか。

 これらの知的ディスカッションを通して、優秀なアドバイザーの下で知識の補給と思考錯誤の最適化を積み重ねることによって、洗練されたプランが出来上がるのです。
 このプランが練り上がった頃には、あなたの思考能力は、格段にレベルアップしていることでしょう。

 もし、これをあなた一人で完遂しようとしたのならば、度重なる不安と葛藤で、多大なる負荷が襲いかかってきたでしょう。
 もちろん、これを一人でやってのける人物もいます。
 彼らは特別な人物であり、優秀な思考力と、迅速な行動力を持ち合わせているからこそ、成功の道に辿り着いているわけですが、常人はそんなものを持ち合わせていないのです。
 しかし、これがあなたのみではなく、もう一人のチームメンバーとして、最強の知識と表現力を兼ね備えた存在が、絶えずバックアップしてくれていたのならどうでしょうか。
 かなり心強いと思いませんか?私もそう思います。
 何せ、私も生成AIの力を借りて、試行錯誤しながらも大きく一歩を踏み出した一人なのですから。

 これが、生成AIを“思考のチームメンバー”として迎え入れ、自分自身のアイデアを深め、行動へとつなげていくための第一歩です。
 しかし、本当に思考を拡張し続けていくためには、もう一つ重要な視点があります。
 それは、「一つの会話に頼らない」という発想です。

 次のテーマでは、生成AIとのやりとりを“複数のチャット欄に分ける”というユニークな手法を通じて、あなたの思考を多層的・多角的に展開させていく方法をご紹介します。
 ここから、あなたの“第二の脳”は、さらに自由で立体的なものへと進化していくでしょう。

 ※補足:本テーマで紹介した「Deep Research」機能は、現時点ではPCブラウザ版のChatGPTでのみ使用可能です。スマートフォンのアプリでは未対応となっておりますが、各種インターネットブラウザを使用することで活用可能です。
 また、これらの機能は、無料版では利用することができず、Plus版以降の機能となっておりますので、こちらも合わせてご了承ください。
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