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秋雨と彼女
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雨が降っている。そう雨が降っているんだ。それも小雨じゃない。横殴りの大粒の雨だ。
僕はそんな中でやみくもにたたずんでいる女の子を見つけた。
今日の天気はくもり。降水確率は50%。降らないんじゃないかと思いつつも折り畳み傘を持って学校に向かった。
天気の悪い日ってのはなんでこんなに憂鬱なのだろうか。こんな日だと授業を受ける気がしなくなる。まぁ普段からまともにやっていないのだが。
僕はノートに落書きをしながら、テキトーに授業を受ける。これを6回繰り返し今日の授業も終わりを告げる。
さぁ、学校は終わった。雨はまだ降り出してはいない。さっさと帰ってゲームでもしよう。そう心に決めるといつもより少し早足で家へ向かった。
家までは20分ほどで着く。自転車ならもう少し早いのだが、歩きの方が自由が利くから僕は歩きが好きだ。ちょうど折り返し地点だろうか、ところどころに傘をさして歩く人の姿が見える。空を見上げると、ぽつ、ぽつ、と雨が降り出してきた。そして、時間をかけることなく土砂降りの大雨となった。
「すごい雨だな」
念のため入れておいた折り畳み傘をひらき身体に当たる雨を防ぐ。
そんななか、傘もささず立ちすくんでいる一人の女の子がいた。
「さっきからいたっけ?」
まさか、人がいきなり現れたなんてことはないよなと思いつつただ空を眺めている彼女に近づく。
そっと持っていた傘で彼女を覆い反応を待つ。それでも僕を見るどころか、身動きひとつしなかった。
「大丈夫?」
肩を叩き、自分の存在を主張する。
「………」
それでも反応はない
「ねぇ」
「………」
「ねぇ」
「………助けて」
彼女が僕に抱きついてきた。とっさのことすぎて言葉も出なかった。彼女の身体は冷たく、弱々しかった。
「どうしたの?」
「私、もうダメだよ」
彼女は泣いていた。
「僕で良ければ話を聞くよ?」
「もう少しこのままでいさせて。」
「わ、わかった」
雨の降るなか、二人で立ち尽くす。
どれくらいだったのだろうか、わからない。彼女の身体は少しずつ暖かくなっていき、激しかった雨もいつの間にか止んでいた。
「もう大丈夫」
「そっか、よかった」
僕は目を見開き、彼女を見ようとする。するとそこには誰もいなかった。
空は雲から抜けた太陽の優しい眼差し。
僕はなんとなくその太陽はさっき見た彼女なんじゃないかなとおもった。
僕はそんな中でやみくもにたたずんでいる女の子を見つけた。
今日の天気はくもり。降水確率は50%。降らないんじゃないかと思いつつも折り畳み傘を持って学校に向かった。
天気の悪い日ってのはなんでこんなに憂鬱なのだろうか。こんな日だと授業を受ける気がしなくなる。まぁ普段からまともにやっていないのだが。
僕はノートに落書きをしながら、テキトーに授業を受ける。これを6回繰り返し今日の授業も終わりを告げる。
さぁ、学校は終わった。雨はまだ降り出してはいない。さっさと帰ってゲームでもしよう。そう心に決めるといつもより少し早足で家へ向かった。
家までは20分ほどで着く。自転車ならもう少し早いのだが、歩きの方が自由が利くから僕は歩きが好きだ。ちょうど折り返し地点だろうか、ところどころに傘をさして歩く人の姿が見える。空を見上げると、ぽつ、ぽつ、と雨が降り出してきた。そして、時間をかけることなく土砂降りの大雨となった。
「すごい雨だな」
念のため入れておいた折り畳み傘をひらき身体に当たる雨を防ぐ。
そんななか、傘もささず立ちすくんでいる一人の女の子がいた。
「さっきからいたっけ?」
まさか、人がいきなり現れたなんてことはないよなと思いつつただ空を眺めている彼女に近づく。
そっと持っていた傘で彼女を覆い反応を待つ。それでも僕を見るどころか、身動きひとつしなかった。
「大丈夫?」
肩を叩き、自分の存在を主張する。
「………」
それでも反応はない
「ねぇ」
「………」
「ねぇ」
「………助けて」
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「どうしたの?」
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「もう少しこのままでいさせて。」
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「もう大丈夫」
「そっか、よかった」
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僕はなんとなくその太陽はさっき見た彼女なんじゃないかなとおもった。
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