僕と彼女

二重世界と彼女（上）

　二重世界。

　数年前存在することが証明され、なにかと話題になっている世界。この世界には裏側がある。日本の裏側はブラジルだろ？みたいなことじゃなくて、反転世界とでもいうべきだろうか。その世界でも僕たちと同じように人が暮らしているようで、人の存在があることがすでに確認済みだという。

　そして今日、驚くべきことが発表された。

　テレビの向こう側にいるお偉いさんが言っていた。

「この世界ともうひとつの世界、すなわち二重世界が同化を始めている。これはそれぞれにある周波数がシンクロし始めていることが原因だ」

　そういっていた。

　まるで小説の中にでもはいったんじゃないか。そんな風に思わされる衝撃の出来事だった。


　この衝撃はさらなる衝撃をもって上書きされた。

　突如、夜空をそのまま地上に持ってきたかのような空間がそこに現れた。大小問わず無数に。楕円形であるその中のひとつから

　女の子が現れた。

　カメラのシャッター音よりも早く、一瞬のまばたきあとにはすでにそこにいた。世界の法則なんてものを無視したとんでもない出来事だった。

　まさしく世界がひっくり返った瞬間だった。

「私の部屋は？」

　最初の一言だった。

「へ、変態？」

　二言目だった。

「ハ、ハレンチ！」

　以下略。

　もうだめだこれは。いったい何がおこっているんだか。

「とりあえず落ち着けって。茶でも飲むか？」

「な、なにいってんのよ。ここは私の家でしょうが、なんであなたにお茶を・・・用意しなく・・・・ちゃいけないの・・・ってここどこよ？
　まさか誘拐？嘘？本当に？やだやめてよ」

　俺は一言しか言ってないのに犯罪者扱いですか。

「俺の家だよここは」

「やっぱり、誘拐だったのね。今すぐ逃げなきゃ、でもどうしよう。警察に連絡が先かしら」

　本当にごめんなさい。いやもう俺が悪かったです。許してください。


「・・・ですね。既に世界のシンクロによって影響が出ているとの報告も受けたので、なにが起こるかわかりません注意しておくようにお願いします」

　・・・

「「どうなってんだよ～～～～～～～～」」

　2人の意思があった瞬間だった。