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一章
いいかな
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何も考えずに1日を過ごした。
そんな風に考えることもしないほどには、本当に何も考えていなかった。
決まりきった家路を登校した後をなぞらえるようにして歩く。曲がらねばならない道では自然と体が折れる。信号が赤であれば自然と体は止まる。
そして、気づけば家の前にいた。
さっさと寝てしまおう。そう思い自分の部屋に入り、ベッドに横になる。そこでズボンのポケットに入っていた携帯がブルブルと自分の居場所を強調する。
何が来たのか確認すると、小香花からの連絡だった。
話したいことがあるんだけどいいかな。いつもの公園で待ってるから。
そんな二言だけの簡素な文字列が1日機能を停止していた脳にゆっくりと溶け込んだ。
僕は急いで体を起こし、小香花の待っている公園へと向かった。
何かあるときはいつもくるこの公園。カラフルに彩られた遊具は今では命の吹き込まれていない水墨画のようだ。
そんな遊具の1つであるブランコに小香花は座っていた。僕は彼女にゆっくりと近づいていく。
彼女はそれに気がついたようで、ブランコから腰を上げこちらに手を振る。
「日向汰、来てくれたんだ」
「うん。で、なんかあったの?」
なるべく平静を装って会話をする。幸い、辺りは薄暗く表情が見られることはないだろう。
「・・・・・」
小香花からの返事はない。まだ少しある距離を少しずつつめ、僕の目の前まで来た。
そして、
何も言わずに抱きしめた。
ただ、抱きしめられた。
「いきなり、、、どう、し、、たの?」
「ひとりで、抱え込まないでいいんだよ」
「え、、、」
「ごめんね、ごめんね」
「うっ、、、う、、、」
抱きしめられたまま、彼女のそばで、涙が流れた。どうすればよかったのか、何が正解なのか、わからなかった気持ちが、何もかもをすっ飛ばして、ただ涙を流した。
「バカな私でもさ、気づいたことがあるんだ。」
彼女は僕を抱きしめたままの顔が見えない中でそう話しだした。
「修学旅行でのこと。あのときは頭が混乱しててわからなかったけどさ、そうかもしれないって思ったら、それしかないっておもって、それで、、、」
「日向汰はさ、いま、きっと、暗い世界の中にいるんだよね。」
「、、、」
「ごめんね、ごめんね」
そういうと、静かに手をほどく。僕と向き合った状態になって、僕の肩にそっと手をおいた。
そして、何も言わずに、
キスをした。
そんな風に考えることもしないほどには、本当に何も考えていなかった。
決まりきった家路を登校した後をなぞらえるようにして歩く。曲がらねばならない道では自然と体が折れる。信号が赤であれば自然と体は止まる。
そして、気づけば家の前にいた。
さっさと寝てしまおう。そう思い自分の部屋に入り、ベッドに横になる。そこでズボンのポケットに入っていた携帯がブルブルと自分の居場所を強調する。
何が来たのか確認すると、小香花からの連絡だった。
話したいことがあるんだけどいいかな。いつもの公園で待ってるから。
そんな二言だけの簡素な文字列が1日機能を停止していた脳にゆっくりと溶け込んだ。
僕は急いで体を起こし、小香花の待っている公園へと向かった。
何かあるときはいつもくるこの公園。カラフルに彩られた遊具は今では命の吹き込まれていない水墨画のようだ。
そんな遊具の1つであるブランコに小香花は座っていた。僕は彼女にゆっくりと近づいていく。
彼女はそれに気がついたようで、ブランコから腰を上げこちらに手を振る。
「日向汰、来てくれたんだ」
「うん。で、なんかあったの?」
なるべく平静を装って会話をする。幸い、辺りは薄暗く表情が見られることはないだろう。
「・・・・・」
小香花からの返事はない。まだ少しある距離を少しずつつめ、僕の目の前まで来た。
そして、
何も言わずに抱きしめた。
ただ、抱きしめられた。
「いきなり、、、どう、し、、たの?」
「ひとりで、抱え込まないでいいんだよ」
「え、、、」
「ごめんね、ごめんね」
「うっ、、、う、、、」
抱きしめられたまま、彼女のそばで、涙が流れた。どうすればよかったのか、何が正解なのか、わからなかった気持ちが、何もかもをすっ飛ばして、ただ涙を流した。
「バカな私でもさ、気づいたことがあるんだ。」
彼女は僕を抱きしめたままの顔が見えない中でそう話しだした。
「修学旅行でのこと。あのときは頭が混乱しててわからなかったけどさ、そうかもしれないって思ったら、それしかないっておもって、それで、、、」
「日向汰はさ、いま、きっと、暗い世界の中にいるんだよね。」
「、、、」
「ごめんね、ごめんね」
そういうと、静かに手をほどく。僕と向き合った状態になって、僕の肩にそっと手をおいた。
そして、何も言わずに、
キスをした。
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